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しおりを挟む「舐れ」
短く言われた命令に体が跳ねた。命令に逆らうなとはよく言われるもののこんな風に有無を言わせない命令をされることも少ない。横暴なことを言われるときにも、どこかオリヴァーに甘えているようなそんな雰囲気を感じるが、今はただ冷たい響きをしている。
……出来るか、分かりませんけど、命令ですし、やらなければ。
そうとぎれとぎれに思考するけれども、仕方が分からなくて、しばらく逡巡する。その硬直している間にレオンハルトは言う。
「どうした、オリヴァー。ああ、やり方がわからないのか? お前は、女を相手にしたことすらないし当たり前か」
きつくつかんでいた髪を離されて、丁寧に頭をなでつけられる。
「常に俺の生活を支えていたからな、たった一日の休日すら与えなかったんだ、女を知る機会もなかったんだろ。不憫だなお前は」
それから唇に指が触れて、オリヴァーの気持ちなど関係なく唇を割って指を中に入れる。
「ただこの舌で俺のものを慰めればいい、出来るのだろう? 何があっても俺を見捨てないといったのだから」
「……」
舌を指先で撫でられて、レオンハルトのの指が自分の口の中にあることにも、自分で彼のものを舐めろと言われている事にもとにかく衝撃的で、けれども言われた通りに口を開いて舌を出す。
……別に、知ってますし、分かってます。前世の動画で見たことありますし。
そんな風にオリヴァーは心のなかだけで言い訳をして、手を自分の背後で組んだまま、頬に触れてるレオンハルトの熱くそそり立っているものを舌でぺろぺろと舐める。
たしかに、オリヴァーは、前世での知識は一応ある。しかし、若くして死んで女性を知らないのも、こちらでも女性を抱いたこともないのも事実であり、実際にどんなだったかはあまり覚えていない。
それはひとえにまったく自分とは無関係だと思っていたからだ、だからレオンハルトとこんなことをする想定などしていないし、いざその状況になるとあまりに罪悪感を感じるというか、日常からかけ離れすぎてきて、思考が追い付かない。
それでも、言われた通りに短い舌を使ってぺろぺろと舐めていると急に舌をつままれた。
「うっ」
「……オリヴァーはなんでも器用にこなす賢い人間だと思っていたが、こうして無知な部分もあるのだと思うと幾分安心できる」
「……」
何がどうとは言わないがなんとなく馬鹿にされていることはわかって、それでも確かに自分でも少し違う気がしたのでオリヴァーは顔を背けて、羞恥心を紛らわした。
しかし、すぐに両手で包み込むように顔を固定されて、見えないながらもレオンハルトを見上げて頭に疑問符を浮かべた。
「口を開けろ、舌を使えとは言ったが、子犬じゃないんだ。口を使って奉仕をするときにはこうする」
素直に口を開けると、レオンハルトのものを差し込まれて、咄嗟に体を引こうとするがそれを許さないとばかりに押さえられて、口いっぱいに男性器を含まされて、突発的な生理的嫌悪感で「うえっ」とえづく。
「歯を立ててはいけない、口を閉じても、つらいだろう。しかし女性は大概出来るものだからお前もできるようになれ」
平坦な声で言われて、オリヴァーは必死にその声に従うようにして、ひたすらに口を開けて舌と口の柔らかい部分だけでレオンハルトのものを包む、口を開けていると唾液が出来てきて、顎が痛い、それでもやるしかなくて歯を当てないままちゅう、と吸う。
「健気だな、オリヴァー。しかし、それだけでは到底出来てるとは言えないぞ、自ら動いて満足させなければ、出来るな」
「あ、ゔ」
言いながら後頭部をぐっと押され、手を使うことが出来ないオリヴァーは喉奥まで彼のものを受け入れ、あまりの苦しさにもだえるような声を出した。すぐにでも手を出して逃げ出したいような苦しさなのにそれは出来ないし、言う事を聞くことに慣れ親しんだ体はそう簡単にレオンハルトの言いつけを破ることはできない。
「……ほら、自分で動け、俺の手を患させるな」
……自分で、やるんですか、これ。結構、苦しいんですけど。
言い訳を頭の中で浮かべつつも、手を離されて一度、引き抜き、震える呼吸を鼻でして喉の奥までそれを受け入れて、ぐっと押し付ける。
えずいてしまいそうなのを我慢して耐えて、自分の手で手を抵抗してしまわないように強く握り、生理的にあふれる涙はリボンに染みこむ。
ぐじゅっと音がして喉の奥をつくたびに口を閉じたくなる。でも歯を当ててしまっては意味がない。無防備になった柔らかな口内を擦るのが心地いいからこうしているのだと思うし、少しでも噛んではいけないのだと思う。
……なんか、苦しくて、頭、ぼんやりしますね。これ、喉もつらいし、息もしづらいですし。
「っ、っ、ぐ」
引き抜いて、呼吸を置いてからまた喉の奥に充てる。顎が痛くて、唾液をぬぐう事も出来ないまま根元まで口に含む。
「悪くない。上手く出来てるぞ、オリヴァー」
そんな上から目線の誉め言葉が、こんな状況だからかオリヴァーは妙にうれしく感じて、普段は誇らしい気持ちになるだけだったのに、今までの冷たい態度とのギャップで頭の奥がしびれるような感覚に包まれた。
そして褒められたからにはと、疲れていてもう苦しいのも体は拒絶していて、嫌なのにも目をつむって堪えるようにしながら喉の奥でレオンハルトのものを受け入れた。
褒められたくて、ずっとそうしているとさらに酸素が足りなくなって、合間に細かく呼吸をしてすぐに奥にいれる。頭がくらくらとして、足の指先がしびれるが、それがなぜか心地よく感じていつの間にか彼の優しさをまたほしくなって下品な水音も気にせずにピストンを繰り返す。
たまにレオンハルトの細かい息づかいが聞こえて、オリヴァーで気持ちよくなってくれているのだと感じて、満たされるような心地がする。
じゅうっと吸い上げて、それから口の奥に入れたまま舌を使って包み込むようにしてピストンをする。どんな風にするのか知らなくても、慣れてくれば男としてどんな風にされるのが気持ちいいのか想像もつくし、苦しいのさえ我慢できれば、上手くできる。
だんだんと、聞こえる呼吸の音が短くなり、口に含んだレオンハルトのものが一層張りつめる。
それから、どこでどう射精するのだろうとふと考えて、前世で見たアダルト動画のフィニッシュを思い浮かべた。口を離せばいいのかと考えて、そうしようと身を引くが、レオンハルトはオリヴァーの後頭部をぐっとよせる。
「ぅゔっ」
「飲め」
ごりっと喉の奥を突かれる感覚、準備ができておらずに咄嗟にえずくがそれは許されないとばかりに精が放たれる。体ががくがくと震えて、奥に出されたものを必死に嚥下する。
ごくごくと音を鳴らして、胃に送り込んでいくけれど尋常ではない苦しさに視界がパチパチとスパークしてぱっと手を離された時には体に力が入らずにそのままガクッと床に倒れこむ。
それでも手は離さなかったし、きちんと拒絶はしていない。オリヴァーは意志の力はすごいものだと自分を褒めてやりたくなった。シャツの肩口で口の周りをぬぐって、それから体を叱咤して膝をついて起き上がり、今まで彼がいた場所にあっと口を開けた。
「……なんだ、本当に飲んだのか。ふっ、まったく健気だ」
機嫌のよさそうな声がして、その声音に安堵する、これでレオンハルトに信用してもらえただろうかと、オリヴァーはうれしくなって、手を離した。
きつく握っていた手は動かしてみると痺れていて、縋るように手を伸ばしたが、バシンとその手を払われて、心臓が跳ねる。
「誰が手を離していいといった?」
また冷めた声が聞こえてきて、歯の根が合わなくなる。髪を無造作につかまれて頭をゆすられるようにされて、痛みに呻く。
「オリヴァー、どうした。お前の忠誠はこんな程度か?」
違うと思い咄嗟に頭を振る。するとのどを鳴らしたような笑い声が帰ってきて、髪を引かれて、立ち上がらせられる。
「そうだ丁度いいからそのまま服を脱いでベットに上がれ、もちろん目隠しはそのまま、口も利くなお前の言葉など聞きたくもない」
「っ、」
「出来ないのか? 逃げ出してみるか? さっさとしろ。主を従者が待たせてどうする」
追い打ちのように言われて、けれどもそれはその通りで、従うほかない。命令なのだから、ここまでやったのだから信頼してくれなんて自分から言えるわけもない。
……それでも、服を、脱げ。ですか、自分で……。
彼の前では常にきちんとして、毎日をレオンハルトの高い身分にふさわしいように整えて、優雅になるように髪も伸ばして丁寧に彼の為に務めるために毎日を繕ってきたオリヴァーにとって、裸体を主にさらすなどとうてい出来ない行為だった。
それにせめて、抱くというのなら、脱がせてほしいなんて女々しい思考が頭をよぎるけれども口を利くなと言われたら懇願すらできない。
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