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崇高な愛 2
しおりを挟む貴方たち二人の愛情はそんなに崇高で美しいの?
その愛情と傲慢で私のことを殺したくせに?
声を上げて笑う二人は、それから二人の言う”面白い”話題をペラペラと喋りだした。
伯爵夫人はまた肥えただとか、侯爵令嬢は股が緩いだとか、そういう人間の悪い部分の話ばかりを、きたない汚物のような言葉で表して、面白おかしく二人は扉越しに笑うのだった。
フィーネは二人の顔が見えなくてよかったと思った。そんな話をしている二人のことを見てしまったら、今までと同じように接することができないような気がしたから。
そして話を聞きつつ考えた。それでも、こんな風に自分も成れればハンスと対等に話ができるのか、と、それにどうりで様々な話題を振っても良い反応が返ってこないわけである。
そうなることは簡単なように思えたが、簡単であってもフィーネにはできはしないと思うのだった。
それにそうはなりたくない。他人の不幸にばかり飛びついて笑い、自分だけはきれいな愛情を持っているかのように勘違いをしながら生きるなんて嫌だった。
そう、美しく思うのは勘違いだ、彼らの愛情は幼稚で凄惨で……気持ちがるい。
「っ……」
フィーネは咄嗟に口元を手で覆った。そんな彼女を見てカミルはひどく体調が悪そうなことに気が付いて、フィーネの手を取って、ゆっくりと部屋に戻った。
ふらついてしまっている彼女に少し早急に動きすぎたかな、と心配しつつも、それでも助かってくれなければ困るんだ、となんとか自分を奮い立たせて、先を急いだ。
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