悪役令嬢の弟転生 ~断罪回避の為に”なんでも”してたら、攻略対象が愛を告げてきた~

ぽんぽこ狸

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「アアッ……イくっ! イッ、っ、あ、はっああ!!」

 グレンは僕の事を上からじっと見て、中に押し込められた指はまだ前立腺をトントンと刺激していて、精液があふれるように押し出される。

 射精をともなう絶頂は、疲労の体感がドライでイくのとは比較にならない。

 それに気持ちよさだって全然違う、腰を逸らせて快感を逃がそうとするのに指は引き抜かれることなくずっと中を擦っていて、散々慣らされたそこはいつも以上に敏感に感覚を拾う。

「も、やだっ、もぉ、イけなっ、あっ、あっ、アウッ、んああ!」
「本当にイけなくなったら、やめるから大丈夫、だよ。ニコ、それにそろそろ、いい具合かな」

 言いながらグレンは指を引き抜いて、一度、僕の頭の下にある枕の位置を調節してから、足首を持って足を開いた。

 彼の視界には散々前戯で乱れたあられもない姿の僕が移っているだろう。

 もう何回イったかわからないし、涙とか汗とか後はカウパーとかいろんなものが枯れそうなほど出尽くして満身創痍だった。

 後孔が少し広げられている感覚がして、グレンは僕のことを改めてじっと見た。

「はーっ、はぁ……はぁ」

 もっと高揚しているのかと思っていたが、本人は案外平然としていて、あんなに執拗に責めて、過激な執着を見せていたのに冷静そうに見える。男にしては少し長い銀髪を耳にかけて、ふいに近づいてくる。

「……ぼんやりしてる? ニコラス、俺のせいでこんな風になってるんだよね。……うれしい」

 頬にキスされて頭をゆっくりと大きな手が撫でる、髪を手櫛で梳くみたいに何度も。

 この手が何度も僕の事を責め立てているというのに、不服なのに愛おしくて、安心する。

 ……そ、そうだ、グレンが僕のこと好きだっていうなら、べたべたに甘えてもいいんだ。

 甘えたいし、媚びたいし、尽くしたい。

 理性で今までずっと押さえていた欲求。グレンはノンケで僕の事なんか端から恋愛対象じゃなくて、女の子みたいに気持ちを向けても気持ち悪いと思われるだけ。

 そんなの分かっていたから、自分の好きなしたいこと、ちゃんと抑えられるように壁を作っていた。

「可愛いなぁ、ニコラス。ずっと言いたかったし、ずっとこうしたかったって今ならわかる。今、すごく幸せ」

 少し微笑んで、藍色の瞳が細められる。まるでエッチな事なんかしていないみたいな純粋な笑み。

 画面越しにルシアに向けられていた瞳、それが自分に向いていて、こんな風にみだらな行為を共にしている。汚してしまっているし、僕じゃあだめだろうという気持ちになる。

 でも本当にたしかに満たされていそうで、嬉しそうでいいなと思う。

 ……僕も、そんな風に安心したい。

 本当はずっとずっとこうしてみたかった。向き合ってお互いを認識して快楽を感じたかった。

 うらやましい気持ちが最後に残った理性のタガを外して、もうそれを意識することはできない。

「……ぐれん……ぎゅってして」

 手を伸ばして、その胸板に触れる。少し汗ばんだ熱い体に顔に出なくても興奮していることがわかって、不思議な気持ちになった。

「ん、わかった。……挿れるよ」
「っ、ふ、うん」

 体が密着して触れ合っている全身で彼を感じることができる。腕の動き、心臓の鼓動、耳元の吐息。

 体が逃げないように頭を抱えるように抱きしめられて、後孔にグレンの熱く張り詰めた先があったって、いつもはなんてことない挿入で全然、体が強張ったりしないのに、解されすぎて緩くなったそこに少し力を込めた。

「っ、う、うっン」

 しかし滑剤も使っているのでその程度で挿入を拒むことはできない。中の壁をぐっと押し広げるようにして、腹の奥まであっという間に入ってしまう。

「ああっ、あっ、っくぅ」
「くるしい? ごめんね、ニコ」

 ふと離れていってグレンが、快楽と圧迫感に顔をゆがめている僕を見て、困っているような笑っているような顔でそういった。

 声も隠し切れない嬉しさみたいなものが混じっていて、なんで、と疑問に思うけれど先ほど言っていた、僕を自分が乱しているという喜びからなのか。

 長年反応を殺した行為を続けた結果、どんなでも乱れていたらそれが嬉しいと思うようになったとでもいうのだろうか。

 ……こわ、っ、ていうか、それじゃ、ぼくも、わるい、けどっ。

「うごく、よ。あなたの好きなところ、たくさん、ついてあげるから」
「うっ、っあ、ぅぅ」

 そういって引き抜かれると、いつもとは非にならない感覚に必死にグレンを搔き抱いてその肩口に頬をこすりつける。涙が堪えられずに頬を伝って落ちていく。

 抜き差しするたびに鳴る水音と、腰が砕けてしまいそうな痺れる快楽、前立腺に固い亀頭が圧迫するようにゴリゴリと当たって、堪らなく気持ちいい。

「っ、はっ、はっうっ、あっダメッ!! っ~!!」

 ぐっと押しつぶされて、快感を逃がす間もなく精を放つ。

 もうイけないはずなのにこれ以上なんて考えられなかったはずなのに、快楽は留まるところを知らず、際限なく気持ちがいい。

 息が切れて心臓が爆発しそうなのに、グレンのが僕の中を擦りあげる少しの感覚も鮮明に拾う。

「あ、はぁ。よかったニコ、まだイけるね。いっぱい、気持ちよくなれる」
「はぁ、はっ、あや、やらぁ、っ、ンアッっ、グレンぅ」
「なぁに、ニコ、ニコラス、っ、かわいい」

 グレンも今までの前戯で相当我慢していたのか、普段よりも余裕がない様子で抽挿を続ける。

 抜ける限界まで引き抜いて、一気に押し込めたり、奥の一番深い所をこねるみたいについてみたり、前立腺をこすりあげてどんなにグレンにしがみついて懇願するような声を上げても容赦はない。

 いや、グレン自身は容赦しているつもりなんだろう、体を二つ折りにされてぐっと押し込められると、苦しくて圧迫感があって堪らないのに同時に何故だか馬鹿みたいに幸福で、縋れることが名前を呼べることがこんなにも嬉しい。

「ぅああっ、ア、ひっ、っグレンっ、ぐれん、っん、ゔ」
「っ、ふ……」

 いやだいやだといいつつ、それでもグレンとの行為が好きだ。多分、今まで出会った誰よりも相性がいいし、替えなんかいない、彼と以外はありえない。

 頭がおかしくなりそうなほど気持ちよくて、逃げ出したいのに、逃げ出したいと嫌だといいつつ縋れる相手がいることが僕はなにより満たされる。

 僕が子供みたいに名前を呼ぶと、グレンはすごくうれしそうに顔を赤らめながらも頭を撫でて、手のひらにキスをする。

 ゆっくり、腰を打ち付けられてまたすぐに堪らなくなって、腰を浮かせるけれどきつくそそり立っている僕のにグレンは優しく包み込むように触れて、怖さと嬉しさの二つの感情が両方あった。

「アッ、っ、っ~……ぅぐぅ」
「すごいしまる、ぐって、はぁ。前も気持ちいよな、ニコ」

 体を縮こまらせて、ぶるぶる震えて、あまりの快感に体が硬直して涙が出てくる。

 それでもその中をかき回すように突き上げられると、もうダメで、そんなセックスを時間を忘れて僕らは続けたのだった。



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