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しおりを挟む私を図書館に連れ出してくれていた二人だったが、ある時から教えてくれる内容が変わってしまった。
歴史が専門の秀一が歴史の話しをしなくなった。
特に、私が存在しているであろう戦国時代の話しを避けるようになったのだ。
その代わりに、『近代日本史』とかいう少し前の歴史に重点を置くようになっていた。
そこで私は意を決して尋ねてみた。
「なあ~確かに近代日本の話しは興味深いけど・・戦国時代の話しはもう終わりなのか?前によく言ってた徳川家康や豊臣秀吉、あと織田信長?の詳しい話しはもうないの?」
二人は顔を見合せ、秀一は歯切れ悪そうに言った。
「あ~その三人というか・・戦国時代の話しは長くなるから後にしようかなって思ってたんだ。最近の歴史から遡った方が覚えやすいかなと思ってさ。幕末の話しとかの方が面白いだろう。坂本龍馬や新選組とか、岩崎弥太郎の三菱財閥の話しとか、そうそう第二次世界大戦は外せないしな!」
「そうか・・でもおれは過去から知りたいな・・」
「そうか・・三郎がそういうなら・・続きを少し話そうか・・」
そう言う秀一の表情は何故か暗かった。
「まえに戦国時代の話しはちょっとしたよね。」
(うんうん天下取りのために武士たちが戦ったってその中に私や豊臣秀吉とかいうやつがいたんだろう)
「その時、織田信長や豊臣秀吉の話しは途中までしたよね。」
(そうそう私が天下取りに一番近かったって話しまでは聞いてる)
「でもその後、織田信長は本能寺で明智光秀に討たれて50歳て亡くなってしまうんだ。」
「えっ!」思わず声に出してしまった。
その後、秀一は延々と私、織田信長が死に至るまで、そしてその後、秀吉から家康の江戸幕府までの話をしてくれた。
半分放心状態で聞いていた私だが、ふとある事に気が付いた。
「なあ…徳川家康ってもしかして松平の竹千代なの?」
「そうだよ。松平元信、幼名竹千代。後の徳川家康だよ。」
(え~!竹千代が天下人?何故そんなことになるんだ?今川はいったいどうなったというんだ?そして私は50歳で討死!そんな~だって私は秀一がいう織田信長のような冷淡な人間ではないぞ!)
頭がグルグルと回り出し、私は狼狽えた・・
困惑している私を見て、歌奈も秀一も「今日は帰ろう」と・・早々に帰路についた。
歴史が専門の秀一が歴史の話しをしなくなった。
特に、私が存在しているであろう戦国時代の話しを避けるようになったのだ。
その代わりに、『近代日本史』とかいう少し前の歴史に重点を置くようになっていた。
そこで私は意を決して尋ねてみた。
「なあ~確かに近代日本の話しは興味深いけど・・戦国時代の話しはもう終わりなのか?前によく言ってた徳川家康や豊臣秀吉、あと織田信長?の詳しい話しはもうないの?」
二人は顔を見合せ、秀一は歯切れ悪そうに言った。
「あ~その三人というか・・戦国時代の話しは長くなるから後にしようかなって思ってたんだ。最近の歴史から遡った方が覚えやすいかなと思ってさ。幕末の話しとかの方が面白いだろう。坂本龍馬や新選組とか、岩崎弥太郎の三菱財閥の話しとか、そうそう第二次世界大戦は外せないしな!」
「そうか・・でもおれは過去から知りたいな・・」
「そうか・・三郎がそういうなら・・続きを少し話そうか・・」
そう言う秀一の表情は何故か暗かった。
「まえに戦国時代の話しはちょっとしたよね。」
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(そうそう私が天下取りに一番近かったって話しまでは聞いてる)
「でもその後、織田信長は本能寺で明智光秀に討たれて50歳て亡くなってしまうんだ。」
「えっ!」思わず声に出してしまった。
その後、秀一は延々と私、織田信長が死に至るまで、そしてその後、秀吉から家康の江戸幕府までの話をしてくれた。
半分放心状態で聞いていた私だが、ふとある事に気が付いた。
「なあ…徳川家康ってもしかして松平の竹千代なの?」
「そうだよ。松平元信、幼名竹千代。後の徳川家康だよ。」
(え~!竹千代が天下人?何故そんなことになるんだ?今川はいったいどうなったというんだ?そして私は50歳で討死!そんな~だって私は秀一がいう織田信長のような冷淡な人間ではないぞ!)
頭がグルグルと回り出し、私は狼狽えた・・
困惑している私を見て、歌奈も秀一も「今日は帰ろう」と・・早々に帰路についた。
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