気まぐれの遼 二年A組

hakusuya

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ボッチはいつも班分けに翻弄される

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 学校は相変わらず退屈だった。目新しいものとして、ホームルームで十一月の修学旅行について話し合いがあった。前回までの話し合いで、いくつかあった候補地の中から最終的に沖縄に決まっていた。
 今回は班分けがなされた。独り者だったりょうは、小磯こいそ栗原くりはらの班に入ることになった。
 小山内おさないと同じ班でなくて良かったと遼は思った。小山内と一緒だと落ち着かない。
 とは言うものの、小磯は男子学級委員で少々神経質なところがあり、班分けで敬遠されるタイプだったし、栗原は百九十超えの大男で、かつてS組十傑と言われた一人で大変目立つ奴だったから、地味に修学旅行を楽しむという遼の目論見が叶うか疑わしかった。
香月かづきくん、一緒にまわれるね」高原和泉たかはらいずみが明るい笑顔を向けた。
 何かあると高原は遼のところにやってきて話をする。それも忍びのような速さと音のなさでいつの間にか近寄っているのだ。
「和泉もイケメンに目がないな」栗原が高原をいじった。
 高原は「何よ、耀太ようた」とジト目を向けている。
 このクラスでは高原と栗原はかなり距離が近い。互いに名前で呼びあっている。A組にそういうキャラは少ない。
 そして高原の班には神々廻璃乃ししばりの東矢泉月とうやいつきがいた。高原は敢えてお喋りする友人たちと一緒の班にならず、孤高の二人の面倒をみる選択肢をとったのだと遼は思った。
「大変な班だな、お疲れ」遼は無愛想に労った。
 総合成績学年五位以内の三人が集まる班だ。高原以外にまとめ役はいない。せいのお蔭でそれくらいのことは遼にもわかるようになっていた。
「どうして大変なのかな?」高原はまるで気にしていない。
「よろしくな、香月くん」栗原が遼の肩を叩いた。
 痛いな。遼は顔を歪めないように努めた。栗原はかるく叩いたつもりなのだろうが、体格の良さが指の先まで伝わっているようだ。
「君と一緒になれるとは思わなかったよ」と小磯が言った。
 小磯も学級委員をしているが親しい友人があまりいないタイプだ。こういう機会でもなければ話をすることもない相手だった。
「ああ、ボクも入れてくれる班があって助かったよ」
 それはある意味本音でもあった。入る班がないなんて星が聞いたら何とののしられるかわかったものではない。
 それはともかく、この男子の班も栗原の人望でまとめていくのだろうと、遼は他人事のように思った。
 その班分けの話を帰宅してから夕食の席で星に言うと、星は意外に理解を示す態度をみせた。
「どこも班分けは大変みたいよ。同じ部屋になる三、四名で組むことになっているから、なかなか決まらない。学級委員はあぶれた人と班を組むことが求められるから大変ね」
「星は引く手あまただっただろう?」
「あはは、私の場合、仲の良い子が三人いて、その三人で班を組んでもらったから、私があぶれたわ」
 しかし星は誰とでもうまくやっていくだろうと遼は信じていた。
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