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難なくアーサーは勝つ プレセア暦三〇四八年 ローゼンタール王都学院
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空中トラックのスタートラインに騎士科一年生十人が横並びに浮いていた。
アーサーは内側から三人目だ。トラック競技である以上、内側が有利なのは間違いない。
アーサーより内側の二人はそれほど目立つ生徒ではなさそうだ。というより騎士科一年生でアーサーより体格の良い生徒はいなかった。
個人競飛行のコースは一周。飛鉱石がはめられただけのステッキを使って空中飛行する。加速や方向転換は自らの魔法で行わなければならない。その他身体強化などの魔法は認められているが、一緒に飛ぶ競争相手を直接攻撃する魔法は禁じられていた。
審判がスタートの合図を示す閃光空気弾を上空に放った。
予想通りアーサーがスタートダッシュに成功した。トップで第一コーナーにさしかかる。
そのままトラックの最内側に沿って旋回した。
二番手はアーサーの後につづいて曲がったが、三番手は第一コーナーの外に立つ支柱を蹴って方向転換し、加速した。これによりアーサーにかなり迫ることに成功した。
しかし第一コーナーと第二コーナーとの間は、第二と第三に比べて短い。すぐに第二コーナーにさしかかった。
ここで先頭を行くアーサーが速度を落とさずに支柱に到達し、支柱を蹴って方向転換して加速した。
コーナーをトラックに沿って曲がっていた二番手は一時アーサーにならびかけていたが、アーサーの支柱を使った方向転換による加速で再び距離をあけられた。
要するに支柱を使う方向転換は第二、第四コーナーで行う方が効果的なのだ。第一、第三だとすぐに次のコーナーになり、加速効果が失われる。
スタートとともにトップにたったアーサーだから王道のレースができたのだ。
どう考えてもこのままアーサーがトップでゴールインするのは間違いなかった。
だからそれを阻止するべく、アーサーを憎く思う上級生たちが第四コーナーの支柱のそばに集結していたのだった。
アーサーはそのままトラックに沿って第四コーナーをカーブしても一位は間違いなかった。しかし個人競飛行のランク付けはタイムによるのだ。タイムが同着のときだけ、レースの順位が加味される。だからアーサーは第四コーナーの支柱を蹴るはずだった。
アーサーが支柱を蹴る瞬間に、妨害工策をする生徒たちはアーサーに向けて気づかれない程度の閃光魔法やら風魔法を放ったり、支柱を揺らす振動魔法を放つ準備をしていた。
だからロアルドはそれら全てを刈り取った。
アーサーは何の苦も無く支柱を蹴り、方向転換して、最後の直線コースをフルスロットルに加速した。
アーサーはステッキに跨っていない。ステッキを握ったままステッキと平行になるように両脚を揃えて真一文字の姿で飛んでいた。
アーサーはトップでゴールインした。そのタイムは現時点で個人競飛行のトップに躍り出るものだった。
妨害工策を行おうとしていた連中は顔を見合わせていた。全員が不思議そうな顔をしている。
なぜ魔法が発動されなかったのか。そんなおかしな現象があるのか。
しかしその疑問はその後も続いた。
彼らはその後行われたレースもすべて妨害しようと試みた。おそらくアーサーに対する私怨を持つものだけの集まりではなかったのだろう。体育祭賭博に関係した妨害だったようだ。
オッズの低い、人気の高いチームが負けるように工作していたようだが、ロアルドは可能な限り彼らの工作を邪魔した。
何度も歯を食いしばり息を止めたからロアルドは疲れた。
少しは褒めてくれても良いのではないかと、ロアルドは姉マチルダの顔を思い浮かべた。
アーサーは内側から三人目だ。トラック競技である以上、内側が有利なのは間違いない。
アーサーより内側の二人はそれほど目立つ生徒ではなさそうだ。というより騎士科一年生でアーサーより体格の良い生徒はいなかった。
個人競飛行のコースは一周。飛鉱石がはめられただけのステッキを使って空中飛行する。加速や方向転換は自らの魔法で行わなければならない。その他身体強化などの魔法は認められているが、一緒に飛ぶ競争相手を直接攻撃する魔法は禁じられていた。
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予想通りアーサーがスタートダッシュに成功した。トップで第一コーナーにさしかかる。
そのままトラックの最内側に沿って旋回した。
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しかし第一コーナーと第二コーナーとの間は、第二と第三に比べて短い。すぐに第二コーナーにさしかかった。
ここで先頭を行くアーサーが速度を落とさずに支柱に到達し、支柱を蹴って方向転換して加速した。
コーナーをトラックに沿って曲がっていた二番手は一時アーサーにならびかけていたが、アーサーの支柱を使った方向転換による加速で再び距離をあけられた。
要するに支柱を使う方向転換は第二、第四コーナーで行う方が効果的なのだ。第一、第三だとすぐに次のコーナーになり、加速効果が失われる。
スタートとともにトップにたったアーサーだから王道のレースができたのだ。
どう考えてもこのままアーサーがトップでゴールインするのは間違いなかった。
だからそれを阻止するべく、アーサーを憎く思う上級生たちが第四コーナーの支柱のそばに集結していたのだった。
アーサーはそのままトラックに沿って第四コーナーをカーブしても一位は間違いなかった。しかし個人競飛行のランク付けはタイムによるのだ。タイムが同着のときだけ、レースの順位が加味される。だからアーサーは第四コーナーの支柱を蹴るはずだった。
アーサーが支柱を蹴る瞬間に、妨害工策をする生徒たちはアーサーに向けて気づかれない程度の閃光魔法やら風魔法を放ったり、支柱を揺らす振動魔法を放つ準備をしていた。
だからロアルドはそれら全てを刈り取った。
アーサーは何の苦も無く支柱を蹴り、方向転換して、最後の直線コースをフルスロットルに加速した。
アーサーはステッキに跨っていない。ステッキを握ったままステッキと平行になるように両脚を揃えて真一文字の姿で飛んでいた。
アーサーはトップでゴールインした。そのタイムは現時点で個人競飛行のトップに躍り出るものだった。
妨害工策を行おうとしていた連中は顔を見合わせていた。全員が不思議そうな顔をしている。
なぜ魔法が発動されなかったのか。そんなおかしな現象があるのか。
しかしその疑問はその後も続いた。
彼らはその後行われたレースもすべて妨害しようと試みた。おそらくアーサーに対する私怨を持つものだけの集まりではなかったのだろう。体育祭賭博に関係した妨害だったようだ。
オッズの低い、人気の高いチームが負けるように工作していたようだが、ロアルドは可能な限り彼らの工作を邪魔した。
何度も歯を食いしばり息を止めたからロアルドは疲れた。
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