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正義の使者〈Last Report〉
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捜査本部は岐阜県警と合同で、すぐさま救出作戦を開始した。
『今夜は快晴。星がよく見えるだろう。崖の上に水樹が現れるはずだ。一条春菜を連れて、飛ぶために』
慎重な対応が必要だと、指揮官が各員に注意する。俺と瀬戸さん、他の捜査員も情報を共有し、役割分担した。日が暮れるまでに、その場所で待機しなければならない。水樹に気取られないよう、ひそかに。
「焦って管理棟に突入しなかったのは、正解だったわね」
「二人がどうしているのか状況が分からないし、水樹を刺激すれば、取り返しのつかないことになりますから」
しかし、俺はずっと不安だった。
三国は二人が生きていると言ったが、崖崩れから逃れたとしても、無事であるとは限らない。というより、やはり逃げそびれて、とうに死んでいるのではないか。
だから、崖の上に二人が現れた時は心から安堵し、同時に緊張した。俺だけでなく、警察官全員がこれ以上ないほどの緊張状態で、地面に伏せていたのだ。
あまりにも静かな場所であり、恐ろしくなるほど星がきれいだった。
「それにしても、すっかり騙されたわ。管理官と打ち合わせ済みだったなんて」
「……すみません」
俺が拳銃を構えたことだ。
「敵を欺くにはまず味方から。周りが驚いてくれると、水樹の注意を引けるので」
「まあいいわよ。でも、撃ったのが子安さんだと聞いて納得したなあ。彼なら、あの状況でも間違いなく狙えるもの」
子安というのは、以前、一条さんのことで俺を責めた本部の捜査員だ。しかし、彼女が警察に協力するためGPSを仕込んだと分かると、『俺にできることがあれば、何でも言ってくれ』と、謝ってくれた。
「子安さんが機動隊出身で、狙撃の名手と聞いてたから頼んだんです。いよいよとなったら、俺の合図で水樹を撃って、止めてくださいって」
「そして、見事にやってくれたってわけか。本当に、びっくりさせられたわよ」
俺が水樹を引きつける間に、子安さんが脇に回り、狙撃の体勢をとった。タイミングは俺に任され、合図は「伏せろ」だった。
「俺だって、あんなことはしたくなかった。水樹が本気で飛び降りる気なのが分かったから、本気で止めなければと思ったんです」
「そうね。皆、ギリギリの状態だった。一条さんは特に」
発砲音がしてすぐ、彼女は崩れ落ちた。まるで、彼女が撃たれたかのように、気を失ってしまったのだ。
「ショック死したのかと思って、焦ったわ」
「限界だったんですよ。無理もないです」
一条さんの必死な顔。叫び声。あれはまるで、死に瀕した我が子を救わんとする母親だった。変なたとえかもしれないが、俺の心に、実感として残っている。
『今夜は快晴。星がよく見えるだろう。崖の上に水樹が現れるはずだ。一条春菜を連れて、飛ぶために』
慎重な対応が必要だと、指揮官が各員に注意する。俺と瀬戸さん、他の捜査員も情報を共有し、役割分担した。日が暮れるまでに、その場所で待機しなければならない。水樹に気取られないよう、ひそかに。
「焦って管理棟に突入しなかったのは、正解だったわね」
「二人がどうしているのか状況が分からないし、水樹を刺激すれば、取り返しのつかないことになりますから」
しかし、俺はずっと不安だった。
三国は二人が生きていると言ったが、崖崩れから逃れたとしても、無事であるとは限らない。というより、やはり逃げそびれて、とうに死んでいるのではないか。
だから、崖の上に二人が現れた時は心から安堵し、同時に緊張した。俺だけでなく、警察官全員がこれ以上ないほどの緊張状態で、地面に伏せていたのだ。
あまりにも静かな場所であり、恐ろしくなるほど星がきれいだった。
「それにしても、すっかり騙されたわ。管理官と打ち合わせ済みだったなんて」
「……すみません」
俺が拳銃を構えたことだ。
「敵を欺くにはまず味方から。周りが驚いてくれると、水樹の注意を引けるので」
「まあいいわよ。でも、撃ったのが子安さんだと聞いて納得したなあ。彼なら、あの状況でも間違いなく狙えるもの」
子安というのは、以前、一条さんのことで俺を責めた本部の捜査員だ。しかし、彼女が警察に協力するためGPSを仕込んだと分かると、『俺にできることがあれば、何でも言ってくれ』と、謝ってくれた。
「子安さんが機動隊出身で、狙撃の名手と聞いてたから頼んだんです。いよいよとなったら、俺の合図で水樹を撃って、止めてくださいって」
「そして、見事にやってくれたってわけか。本当に、びっくりさせられたわよ」
俺が水樹を引きつける間に、子安さんが脇に回り、狙撃の体勢をとった。タイミングは俺に任され、合図は「伏せろ」だった。
「俺だって、あんなことはしたくなかった。水樹が本気で飛び降りる気なのが分かったから、本気で止めなければと思ったんです」
「そうね。皆、ギリギリの状態だった。一条さんは特に」
発砲音がしてすぐ、彼女は崩れ落ちた。まるで、彼女が撃たれたかのように、気を失ってしまったのだ。
「ショック死したのかと思って、焦ったわ」
「限界だったんですよ。無理もないです」
一条さんの必死な顔。叫び声。あれはまるで、死に瀕した我が子を救わんとする母親だった。変なたとえかもしれないが、俺の心に、実感として残っている。
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