恋の記録

藤谷 郁

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記録【12】

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4月28日――


二匹の狼が僕を訪ねてきた。

隣人トラブルだの、恋人が殺されただの、第一発見者だの、何を言っているのかさっぱり分からなかった。

どうやら虚言癖があり、しかも守秘義務を知らない馬鹿な総務部員が、あることないことオスに吹き込んだらしい。

あんなおかしな話を信じて、僕を嗅ぎ回る狼にも困ったものだ。そんな暇があるなら、さっさとオスを捕まえろと言いたい。

カメラの解析などしている場合か。

いつの時代も警察は的外れだ。


その点、ハルは僕の求めるものが何かよく分かっている。賢くて可愛い、僕の大切な家族だ。

だから僕は守り抜く。


おかしな奴が今日もうろついていた。目的は不明だが、偶然ではないと確信する。早急に排除すべきだが、今夜は彼女がいないので実行できなかった。

やるなら明日だ。

準備は既に整えてある。


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