80 / 236
妖怪と女
3
しおりを挟むハウラナを陥れるつもりが自分達の首を絞めることになった側室達。
特にレーネは焦って愚行に走り、取り返しがつかない事態に無い頭を痛めていた。
「どうしてうまくいかないの!私には時間がないのに!」
第三側室レーネはあと1週間で年季が終わる、つまり正妃になるチャンスはほぼ消えたのだ。
すでに離縁の為の引っ越し準備も帝国側が始めている、契約通りなので文句も言えない。
最後の手段にと、皇帝の寝室へ夜這いをかける計画をたてたが護衛たちがそれを許さなかった。
ふつう王宮に居室を持つものだが、皇帝は隣接された黒曜宮に住んでいた。
そこは軍部の機密組織でもあるため、簡単には入れない。
たかが側室など通されるわけもないのだ。
屈強な護衛を排除しなければ到底無理だし、侵入したとて謀反人として捕縛され処罰されるだろう。
結局なんの打開もできないまま、レーネは母国イースレッドへ帰された。
とうぜん白い結婚だ、皇帝クレイブとは赤の他人に戻った。
帰国後、レーネは軍国の姫らしくドレスから軍服に着替え凛とした姿に戻り鼻息荒く宣った。
「ゼベールを討つべし」
怒りの矛先をハウラナの母国ゼベールへ向けたレーネは、父である国王と王太子の兄ルードに国力にものを謂わせ潰せないかと相談したのだ。
「ふむ、お前の無念は、余の無念でもある。しかしだな相手は小国なれど優れた魔導士が大勢おる、簡単には墜とせまいよ」
軍事国家イースレッドは軍艦建造に力を入れており海戦に強い、帝国に次ぐ強さを有してはいるが魔法国と戦ったことはない。それゆえに王は危惧しているのだ。
「お気の弱いことを、あの国の脅威などほとんど聞いたことがないですわ!文献にもございません、他国も我が国も魔法を使う者がほとんどいないせいで警戒しすぎなのですわ!」
咆える妹の声に兄が言う。
「うむ、確かにな……蔑称で”臆病な鎖国”と言われてもいたな、たしかにあの国を落とせば魔道具技術は我が手に……悪くはない、艦隊と戦用に開発した魔道具を有すれば帝国さえ敵でなくなるぞ」
王太子ルードのその言葉に気を良くしたレーネはほくそ笑む。
「さすがですわ兄様!ゼベールは東海に位置する小国です、背後は険しい山脈があり逃げるのも一苦労でしょう、海側から攻めればひとたまりもないですわ」
王子と王女の強い意気込みにイースレッド王は長考し口を開く。
「我が代で偉業を達するのも悪くないだろう、優れた船を幾隻と持とうが持ち腐れ。ルードよ、ゼベールに探りをいれろ。」
「御意、すぐに密偵を放ちましょう」
特にレーネは焦って愚行に走り、取り返しがつかない事態に無い頭を痛めていた。
「どうしてうまくいかないの!私には時間がないのに!」
第三側室レーネはあと1週間で年季が終わる、つまり正妃になるチャンスはほぼ消えたのだ。
すでに離縁の為の引っ越し準備も帝国側が始めている、契約通りなので文句も言えない。
最後の手段にと、皇帝の寝室へ夜這いをかける計画をたてたが護衛たちがそれを許さなかった。
ふつう王宮に居室を持つものだが、皇帝は隣接された黒曜宮に住んでいた。
そこは軍部の機密組織でもあるため、簡単には入れない。
たかが側室など通されるわけもないのだ。
屈強な護衛を排除しなければ到底無理だし、侵入したとて謀反人として捕縛され処罰されるだろう。
結局なんの打開もできないまま、レーネは母国イースレッドへ帰された。
とうぜん白い結婚だ、皇帝クレイブとは赤の他人に戻った。
帰国後、レーネは軍国の姫らしくドレスから軍服に着替え凛とした姿に戻り鼻息荒く宣った。
「ゼベールを討つべし」
怒りの矛先をハウラナの母国ゼベールへ向けたレーネは、父である国王と王太子の兄ルードに国力にものを謂わせ潰せないかと相談したのだ。
「ふむ、お前の無念は、余の無念でもある。しかしだな相手は小国なれど優れた魔導士が大勢おる、簡単には墜とせまいよ」
軍事国家イースレッドは軍艦建造に力を入れており海戦に強い、帝国に次ぐ強さを有してはいるが魔法国と戦ったことはない。それゆえに王は危惧しているのだ。
「お気の弱いことを、あの国の脅威などほとんど聞いたことがないですわ!文献にもございません、他国も我が国も魔法を使う者がほとんどいないせいで警戒しすぎなのですわ!」
咆える妹の声に兄が言う。
「うむ、確かにな……蔑称で”臆病な鎖国”と言われてもいたな、たしかにあの国を落とせば魔道具技術は我が手に……悪くはない、艦隊と戦用に開発した魔道具を有すれば帝国さえ敵でなくなるぞ」
王太子ルードのその言葉に気を良くしたレーネはほくそ笑む。
「さすがですわ兄様!ゼベールは東海に位置する小国です、背後は険しい山脈があり逃げるのも一苦労でしょう、海側から攻めればひとたまりもないですわ」
王子と王女の強い意気込みにイースレッド王は長考し口を開く。
「我が代で偉業を達するのも悪くないだろう、優れた船を幾隻と持とうが持ち腐れ。ルードよ、ゼベールに探りをいれろ。」
「御意、すぐに密偵を放ちましょう」
0
お気に入りに追加
131
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/mystery.png?id=41ccf9169edbe4e853c8)
それは奇妙な町でした
ねこしゃけ日和
ミステリー
売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。
バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。
猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
SP警護と強気な華【完】
氷萌
ミステリー
『遺産10億の相続は
20歳の成人を迎えた孫娘”冬月カトレア”へ譲り渡す』
祖父の遺した遺書が波乱を呼び
美しい媛は欲に塗れた大人達から
大金を賭けて命を狙われる―――
彼女を護るは
たった1人のボディガード
金持ち強気な美人媛
冬月カトレア(20)-Katorea Fuyuduki-
×××
性悪専属護衛SP
柊ナツメ(27)-Nathume Hiragi-
過去と現在
複雑に絡み合う人間関係
金か仕事か
それとも愛か―――
***注意事項***
警察SPが民間人の護衛をする事は
基本的にはあり得ません。
ですがストーリー上、必要とする為
別物として捉えて頂ければ幸いです。
様々な意見はあるとは思いますが
今後の展開で明らかになりますので
お付き合いの程、宜しくお願い致します。
呪鬼 花月風水~月の陽~
暁の空
ミステリー
捜査一課の刑事、望月 千桜《もちづき ちはる》は雨の中、誰かを追いかけていた。誰かを追いかけているのかも思い出せない⋯。路地に追い詰めたそいつの頭には・・・角があった?!
捜査一課のチャラい刑事と、巫女の姿をした探偵の摩訶不思議なこの世界の「陰《やみ》」の物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
マクデブルクの半球
ナコイトオル
ミステリー
ある夜、電話がかかってきた。ただそれだけの、はずだった。
高校時代、自分と折り合いの付かなかった優等生からの唐突な電話。それが全てのはじまりだった。
電話をかけたのとほぼ同時刻、何者かに突き落とされ意識不明となった青年コウと、そんな彼と昔折り合いを付けることが出来なかった、容疑者となった女、ユキ。どうしてこうなったのかを調べていく内に、コウを突き落とした容疑者はどんどんと増えてきてしまう───
「犯人を探そう。出来れば、彼が目を覚ますまでに」
自他共に認める在宅ストーカーを相棒に、誰かのために進む、犯人探し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる