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乾杯
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「どうりで様子が変だと思ったよ。まったく君って男は」
四人揃ってテーブルに着くと、マスターが物まねの件を秀一さんに明かし、彼を呆れさせた。
「でも、薫ちゃんからそっくりだとの太鼓判をいただきましたから」
「ええっ? た、太鼓判というほどでは……」
焦る私を見て、マスターはニヤニヤしている。
「話を合わせただけだよ。な、薫」
「いいや、薫ちゃんは心の底から俺の物真似に感動していた。『な、薫』」
調子に乗って物まねするマスターに、秀一さんはむっとした。
「君は昔から悪ふざけが過ぎるんだ。いい加減にしないと、真琴さんに嫌われるぞ」
秀一さんは真面目に抗議するが、マスターはニヤニヤするばかり。何だか様子がおかしかった。
「すみません、島先生。知宏さんたら最近ずっとこうなんですよ。一人でニヤニヤ笑ってる感じで」
「ワタシはね、箸が転んでも可笑しい年頃なんです」
「何を言ってるんだ、四十男が」
「それはお互い様でしょー!」
秀一さんとマスターのやり取りを聞くうちに、私はあることを思い出した。
「そういえばマスター。今夜はサプライズがあるって聞きましたけど」
「いいタイミングだねえ、薫ちゃん!」
マスターがいきなり立ち上がった。気のせいか、かなり興奮している。
「な、何がですか?」
「まあまあ、あとのお楽しみ。そろそろ用意しなくちゃ」
カウンターへ向かうマスターに、秀一さんが声をかけた。
「村上君、つまみならじゅうぶんあるよ」
「俺は今夜、サービスに徹するの。貸し切り五人ぶんの世話くらい軽いもんだ」
「……五人?」
私たちは顔を見合わせる。マスターが人数を間違えるなんて。
「四人だよ、知宏さん。大丈夫?」
真琴の声に、マスターはVサインで応える。間違えて言ったわけではなさそうだ。
「どういう意味かしら」
貸し切り五人――サプライズと関係があるのだろうか。
しばらくするとマスターがカウンターから出てきた。彼は手にしたボトルをテーブルの真ん中へ静かに置いた。
「シャンパンか」
秀一さんが訊くと、マスターは嬉しそうに頷く。
「今夜は皆で祝ってほしいのさ」
「祝う?」
三人ともマスターに注目する。誰の、何を祝うと言うのか……
「特別ゲストがもうすぐ到着する。俺にとっても、そして薫ちゃん、君にとっても大切な人が」
大切な人――
「松山君か」
秀一さんがつぶやくように言い、私ははっと顔を上げる。
マスターは神妙な顔つきで肯定した。
サプライズ
特別ゲスト
祝ってほしい
よく冷えたシャンパンのボトルを、私は震えながら見つめる。
そういえばマスターは、この飲み会に秀一さんを熱心に誘っていた。あの時から、この席を設ける準備を進めていたに違いない。
さよならも言わずに別れてそれでいいのかと、今の秀一さんと同じように考えてくれたのだ。
「先生、ごめんなさい!」
真琴が秀一さんに謝った。彼女は今でも心配しているのだ。
秀一さんと松山さんの関係を。
「真琴さん。村上君は昔から本当に変わらない。ふざけているようで、人をよく見ている」
彼が真琴に向けたのは、嘘のない微笑みだった。
秀一さんは立ち上がり、マスターと視線を合わせた。マスターは少し気まずそうに、だが逸らすことはない。
「村上君は男らしく、思いやりのある男です。真琴さんは必ず幸せになれる」
「先生……」
真琴はどぎまぎした様子で胸を押さえる。マスターも目を丸くして秀一さんを見つめた。
「どうした村上君。僕らしくない台詞だったかい」
「いや。島さんならわかってくれると信じてた。松山も島さんも、俺は大好きだから、一緒に飲んでほしかった。それを考えると楽しくて、でも、いざとなると緊張して。だけど、二人なら実現できると信じてたんだ。男と男でトイメン勝負……」
言葉を途切れさせ、下を向いた。伏せた睫が光っている。
秀一さんはマスターをグイと引き寄せると、そのままがっちりと抱いた。
「君を抱きしめるなんて、最初で最後だ」
マスターは黙って身を任せる。ふざける余裕もなく、ただうなずいていた。
秀一さんはマスターを離すと、苦笑交じりで言った。
「だけど村上君。少し前の僕だったら、こうはいかなかった。薫を連れてすぐに店を出てしまっただろう。融通が利かないからね」
「……うん。それでもやっぱり、島さんは分かってくれると思ってたよ」
マスターの言葉に、秀一さんがふっと笑う。
男二人は何も言わず、椅子に座り直した。
「先生、何かあったんですか?」
真琴が訊くと、秀一さんは少し考えてから答えた。
「この数日で、革命とも言えるできごとが起こった」
「革命?」
「そう、僕の頑固な、固い殻を破るようなできごとだ。松山君のことを僕は勝手に誤解していた。薫がそれを、解いてくれたんだ」
「薫ちゃんが……」
マスターが私を見て、目を潤ませた。
「さすが薫ちゃん。それでこそ松山が惚れた女性だ」
「ちょっと、知宏さんたら!」
真琴が秀一さんに気を遣うが、もうその必要はなかった。私も落ち着いている。
「松山君も僕も、薫に惚れている。それは純粋で、積極的に向き合うべき事実だ」
秀一さんは穏やかに言葉を継いだ。
「男同士、美味い酒を酌み交わそう」
ドアの開く音がした。
秀一さん以外は皆、打たれたようにビクッとする。
「こんちはー。失礼します」
野太い声とともに、重量感ある足音が近づいてくる。
緊迫する空気。
松山さんはフロアに入るとマスターに挨拶をして、それからテーブルに着く面々を見るなり石化した。
彼にも知らされていなかったのだ。
マスターが仕掛けた、徹底的なサプライズである。
「松山君」
固まった空気を動かしたのは、秀一さんだった。
「は……はい」
松山さんは石化した身体をゆっくりと動かし、声の主へと目を当てる。
信じられないだろう。秀一さんから声をかけるなんて。しかも、親しみのあるトーンで。わけが分からず、彼はきっと混乱しているだろう。
秀一さんが松山さんに歩み寄った。
「この前は、電話で失礼なことを言った。本当に済まないと思っている」
「えっ?」
あの夜の話だ。松山さんはますます困惑し、だけどやがて、真意を確かめるように秀一さんを見返す。
二人は見つめ合い、熱く焼けるような視線を交わした。
私は逃げ出したい気持ちになった。でも逃げるわけにはいかない。
きちんと見届けなければ。
「ま、とにかく二人とも座ってくれよ」
しばらく後、立ったままの彼らをマスターが椅子に落ち着かせた。
テーブルを挟み、秀一さんと松山さんが差し向かいで座る。私は秀一さんの隣、松山さんと並ぶのは真琴。マスターは一人別に座り、サービスに徹する構えだ。
「え~、ではまず、今夜の主役をご紹介したいと思います」
マスターはあらたまった口調で言うと、急に声を高くした。
「来月10月に北海道へと住まいを移し、新たなる人生へと旅立つ、我らが兄弟、松山なお~と~!」
リングアナウンサーのような紹介に、松山さんは恥ずかしそうに、けれど少し嬉しそうな、複雑な表情になった。
「知宏さん、プロレスじゃないんだから」
真琴がたしなめるが、マスターはとぼけた顔。彼のテンションは、いつもより高くなっている。
「そんなわけで今夜は松山の、門出のお祝いをさせていただきます。酒もつまみも充分にあるから、どんどんやってくれい」
「俺が主役なんて聞いてないし。そんなことならもう少しマシな格好して来れば良かった」
彼はポロシャツにジーンズと言う普段着で、髪も適当に流してあるだけ。
「松山、いつものお前でじゅうぶんだ。今さら気取らなくってもいいの」
「そうすか?」
「村上君の言う通りだよ。気取らなくていい」
秀一さんが口を挟んだ。真琴はそわそわするが、マスターだけは冷静に見守っている。
「今さら何を隠し立てするんだ。俺も君も、同じ女性を好きになった男同士だろ。いつもどおり薫に接すればいいし、俺に遠慮は無用だよ」
「……」
松山さんは呆けている。無理もない反応だった。
「で、でも先生、か……じゃなくて……」
「薫と呼んでいい。普段着のままでいいんだ」
秀一さんは袖口のボタンをはずすと腕まくりをし、シャンパンのボトルを掴んだ。
「村上君、乾杯だ。今夜はしっかり飲ませてもらうよ」
マスターは待っていたように勢いよく立ち上がると、シャンパンを受け取った。
「よっしゃあ! 調子がついてきたね、先生」
松山さんと目を合わせた。驚いた目と目は、だけど自然に弓なりになり、いつものように笑い合う。
びっくりするよね、こんなこと。でも……
――俺、あの人を男だと思ってる。
いつか彼が言った言葉。
そのとおり、今夜は男同士、杯を交わすのだ。
最後の夜、それとも最初の夜?
それはもちろん……
乾杯のグラスが爽やかな音を響かせ、私たちに始まりを告げた。
四人揃ってテーブルに着くと、マスターが物まねの件を秀一さんに明かし、彼を呆れさせた。
「でも、薫ちゃんからそっくりだとの太鼓判をいただきましたから」
「ええっ? た、太鼓判というほどでは……」
焦る私を見て、マスターはニヤニヤしている。
「話を合わせただけだよ。な、薫」
「いいや、薫ちゃんは心の底から俺の物真似に感動していた。『な、薫』」
調子に乗って物まねするマスターに、秀一さんはむっとした。
「君は昔から悪ふざけが過ぎるんだ。いい加減にしないと、真琴さんに嫌われるぞ」
秀一さんは真面目に抗議するが、マスターはニヤニヤするばかり。何だか様子がおかしかった。
「すみません、島先生。知宏さんたら最近ずっとこうなんですよ。一人でニヤニヤ笑ってる感じで」
「ワタシはね、箸が転んでも可笑しい年頃なんです」
「何を言ってるんだ、四十男が」
「それはお互い様でしょー!」
秀一さんとマスターのやり取りを聞くうちに、私はあることを思い出した。
「そういえばマスター。今夜はサプライズがあるって聞きましたけど」
「いいタイミングだねえ、薫ちゃん!」
マスターがいきなり立ち上がった。気のせいか、かなり興奮している。
「な、何がですか?」
「まあまあ、あとのお楽しみ。そろそろ用意しなくちゃ」
カウンターへ向かうマスターに、秀一さんが声をかけた。
「村上君、つまみならじゅうぶんあるよ」
「俺は今夜、サービスに徹するの。貸し切り五人ぶんの世話くらい軽いもんだ」
「……五人?」
私たちは顔を見合わせる。マスターが人数を間違えるなんて。
「四人だよ、知宏さん。大丈夫?」
真琴の声に、マスターはVサインで応える。間違えて言ったわけではなさそうだ。
「どういう意味かしら」
貸し切り五人――サプライズと関係があるのだろうか。
しばらくするとマスターがカウンターから出てきた。彼は手にしたボトルをテーブルの真ん中へ静かに置いた。
「シャンパンか」
秀一さんが訊くと、マスターは嬉しそうに頷く。
「今夜は皆で祝ってほしいのさ」
「祝う?」
三人ともマスターに注目する。誰の、何を祝うと言うのか……
「特別ゲストがもうすぐ到着する。俺にとっても、そして薫ちゃん、君にとっても大切な人が」
大切な人――
「松山君か」
秀一さんがつぶやくように言い、私ははっと顔を上げる。
マスターは神妙な顔つきで肯定した。
サプライズ
特別ゲスト
祝ってほしい
よく冷えたシャンパンのボトルを、私は震えながら見つめる。
そういえばマスターは、この飲み会に秀一さんを熱心に誘っていた。あの時から、この席を設ける準備を進めていたに違いない。
さよならも言わずに別れてそれでいいのかと、今の秀一さんと同じように考えてくれたのだ。
「先生、ごめんなさい!」
真琴が秀一さんに謝った。彼女は今でも心配しているのだ。
秀一さんと松山さんの関係を。
「真琴さん。村上君は昔から本当に変わらない。ふざけているようで、人をよく見ている」
彼が真琴に向けたのは、嘘のない微笑みだった。
秀一さんは立ち上がり、マスターと視線を合わせた。マスターは少し気まずそうに、だが逸らすことはない。
「村上君は男らしく、思いやりのある男です。真琴さんは必ず幸せになれる」
「先生……」
真琴はどぎまぎした様子で胸を押さえる。マスターも目を丸くして秀一さんを見つめた。
「どうした村上君。僕らしくない台詞だったかい」
「いや。島さんならわかってくれると信じてた。松山も島さんも、俺は大好きだから、一緒に飲んでほしかった。それを考えると楽しくて、でも、いざとなると緊張して。だけど、二人なら実現できると信じてたんだ。男と男でトイメン勝負……」
言葉を途切れさせ、下を向いた。伏せた睫が光っている。
秀一さんはマスターをグイと引き寄せると、そのままがっちりと抱いた。
「君を抱きしめるなんて、最初で最後だ」
マスターは黙って身を任せる。ふざける余裕もなく、ただうなずいていた。
秀一さんはマスターを離すと、苦笑交じりで言った。
「だけど村上君。少し前の僕だったら、こうはいかなかった。薫を連れてすぐに店を出てしまっただろう。融通が利かないからね」
「……うん。それでもやっぱり、島さんは分かってくれると思ってたよ」
マスターの言葉に、秀一さんがふっと笑う。
男二人は何も言わず、椅子に座り直した。
「先生、何かあったんですか?」
真琴が訊くと、秀一さんは少し考えてから答えた。
「この数日で、革命とも言えるできごとが起こった」
「革命?」
「そう、僕の頑固な、固い殻を破るようなできごとだ。松山君のことを僕は勝手に誤解していた。薫がそれを、解いてくれたんだ」
「薫ちゃんが……」
マスターが私を見て、目を潤ませた。
「さすが薫ちゃん。それでこそ松山が惚れた女性だ」
「ちょっと、知宏さんたら!」
真琴が秀一さんに気を遣うが、もうその必要はなかった。私も落ち着いている。
「松山君も僕も、薫に惚れている。それは純粋で、積極的に向き合うべき事実だ」
秀一さんは穏やかに言葉を継いだ。
「男同士、美味い酒を酌み交わそう」
ドアの開く音がした。
秀一さん以外は皆、打たれたようにビクッとする。
「こんちはー。失礼します」
野太い声とともに、重量感ある足音が近づいてくる。
緊迫する空気。
松山さんはフロアに入るとマスターに挨拶をして、それからテーブルに着く面々を見るなり石化した。
彼にも知らされていなかったのだ。
マスターが仕掛けた、徹底的なサプライズである。
「松山君」
固まった空気を動かしたのは、秀一さんだった。
「は……はい」
松山さんは石化した身体をゆっくりと動かし、声の主へと目を当てる。
信じられないだろう。秀一さんから声をかけるなんて。しかも、親しみのあるトーンで。わけが分からず、彼はきっと混乱しているだろう。
秀一さんが松山さんに歩み寄った。
「この前は、電話で失礼なことを言った。本当に済まないと思っている」
「えっ?」
あの夜の話だ。松山さんはますます困惑し、だけどやがて、真意を確かめるように秀一さんを見返す。
二人は見つめ合い、熱く焼けるような視線を交わした。
私は逃げ出したい気持ちになった。でも逃げるわけにはいかない。
きちんと見届けなければ。
「ま、とにかく二人とも座ってくれよ」
しばらく後、立ったままの彼らをマスターが椅子に落ち着かせた。
テーブルを挟み、秀一さんと松山さんが差し向かいで座る。私は秀一さんの隣、松山さんと並ぶのは真琴。マスターは一人別に座り、サービスに徹する構えだ。
「え~、ではまず、今夜の主役をご紹介したいと思います」
マスターはあらたまった口調で言うと、急に声を高くした。
「来月10月に北海道へと住まいを移し、新たなる人生へと旅立つ、我らが兄弟、松山なお~と~!」
リングアナウンサーのような紹介に、松山さんは恥ずかしそうに、けれど少し嬉しそうな、複雑な表情になった。
「知宏さん、プロレスじゃないんだから」
真琴がたしなめるが、マスターはとぼけた顔。彼のテンションは、いつもより高くなっている。
「そんなわけで今夜は松山の、門出のお祝いをさせていただきます。酒もつまみも充分にあるから、どんどんやってくれい」
「俺が主役なんて聞いてないし。そんなことならもう少しマシな格好して来れば良かった」
彼はポロシャツにジーンズと言う普段着で、髪も適当に流してあるだけ。
「松山、いつものお前でじゅうぶんだ。今さら気取らなくってもいいの」
「そうすか?」
「村上君の言う通りだよ。気取らなくていい」
秀一さんが口を挟んだ。真琴はそわそわするが、マスターだけは冷静に見守っている。
「今さら何を隠し立てするんだ。俺も君も、同じ女性を好きになった男同士だろ。いつもどおり薫に接すればいいし、俺に遠慮は無用だよ」
「……」
松山さんは呆けている。無理もない反応だった。
「で、でも先生、か……じゃなくて……」
「薫と呼んでいい。普段着のままでいいんだ」
秀一さんは袖口のボタンをはずすと腕まくりをし、シャンパンのボトルを掴んだ。
「村上君、乾杯だ。今夜はしっかり飲ませてもらうよ」
マスターは待っていたように勢いよく立ち上がると、シャンパンを受け取った。
「よっしゃあ! 調子がついてきたね、先生」
松山さんと目を合わせた。驚いた目と目は、だけど自然に弓なりになり、いつものように笑い合う。
びっくりするよね、こんなこと。でも……
――俺、あの人を男だと思ってる。
いつか彼が言った言葉。
そのとおり、今夜は男同士、杯を交わすのだ。
最後の夜、それとも最初の夜?
それはもちろん……
乾杯のグラスが爽やかな音を響かせ、私たちに始まりを告げた。
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