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旅の終わり
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翌朝。
午前7時過ぎに呼び鈴が鳴り、昨日の朝と同じように関根さんがワゴンを押して入室し、朝食をセッティングしてくれた。
私はソファに座り、彼女のてきぱきとした動きを、ぼうっと眺めている。
「昨夜は、よくお眠りになられましたか?」
カトラリーを並べ終えると、関根さんが尋ねた。心配そうな顔で、私を見ている。
「はい、とても」
こくりとうなずく。
だが、私の頭は霧がたちこめたように、はっきりとしない。よく眠ったのは確かなのに、顔を洗っても、バルコニーに出て冷たい空気を吸い込んでも、ダメだった。
思い出せない。
「あの、大月様。大丈夫……ですか?」
「……ええ」
あまり大丈夫ではない。彼女も薄々、気付いているのだ。
何か、あったのだろうと……
「すみません。コーヒーを一杯、お願いできますか」
「か、かしこまりました!」
気付け薬の代わりにと、ブラックを所望した。
しっかりしなくちゃ。関根さんにはいろいろとお世話になったし、昨日のことを報告しなければ。
そして私も、彼女に訊きたいことがある。
チェックアウトする前に。
「ふう……」
ブラックコーヒーの苦味は、ぼやけた頭に効果的に作用した。
みるみるうちに、霧が晴れていく。
(私は、思い出すのが怖くて、わざとぼんやりしてたのね)
コーヒーの強力な刺激で、記憶がクリアになった。はっきりと思い出した。
昨夜、あれからどうなったのか――
午前7時過ぎに呼び鈴が鳴り、昨日の朝と同じように関根さんがワゴンを押して入室し、朝食をセッティングしてくれた。
私はソファに座り、彼女のてきぱきとした動きを、ぼうっと眺めている。
「昨夜は、よくお眠りになられましたか?」
カトラリーを並べ終えると、関根さんが尋ねた。心配そうな顔で、私を見ている。
「はい、とても」
こくりとうなずく。
だが、私の頭は霧がたちこめたように、はっきりとしない。よく眠ったのは確かなのに、顔を洗っても、バルコニーに出て冷たい空気を吸い込んでも、ダメだった。
思い出せない。
「あの、大月様。大丈夫……ですか?」
「……ええ」
あまり大丈夫ではない。彼女も薄々、気付いているのだ。
何か、あったのだろうと……
「すみません。コーヒーを一杯、お願いできますか」
「か、かしこまりました!」
気付け薬の代わりにと、ブラックを所望した。
しっかりしなくちゃ。関根さんにはいろいろとお世話になったし、昨日のことを報告しなければ。
そして私も、彼女に訊きたいことがある。
チェックアウトする前に。
「ふう……」
ブラックコーヒーの苦味は、ぼやけた頭に効果的に作用した。
みるみるうちに、霧が晴れていく。
(私は、思い出すのが怖くて、わざとぼんやりしてたのね)
コーヒーの強力な刺激で、記憶がクリアになった。はっきりと思い出した。
昨夜、あれからどうなったのか――
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