琥珀色の花嫁

藤谷 郁

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封印された記憶

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 明るい照明のもとでミアを目にした瞬間、サキもルズもその変わりように目を丸くした。
 彼女はもう貧相な召使いではなかった。髪も肌も生き生きと輝いて、体から光を発しているかのよう。
「お姫様だ」
 ルズがうっとりとした口調で感想をつぶやき、サキも同意する。
 だが、にこりと笑うミアは、いつものミアだ。白いデイジーのように優しい雰囲気は、二人を安心させた。

 ルズと並んでソファに腰掛けたサキは、ミアの淹れた紅茶をありがたくいただいた。旅の疲れがみるみるうちにとれていく。ホッとする香りと、温かさである。
 ラルフの洋服を借りたルズは、長い袖をまくり上げてくれるミアを、照れたようにチラチラ見ている。ミアのほうも、ちょっと戸惑っているようだ。
 肩に乗るぐらいの、可愛らしい妖獣だったルズが、ミアより背の高い少年になってしまった。年齢は15か16か。ミアと同じ年頃なのは間違いない。


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