琥珀色の花嫁

藤谷 郁

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暗黒の森

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 肥沃な土壌と豊富な鉱物資源に恵まれたゴアドア王国。
 大陸を細かに分ける国々の中でも特出の豊かさを誇り、また周囲で頻発する戦争に巻き込まれる事も無く1000年の平和を保っている。
 王侯貴族も市井の民も、皆この地に生まれた幸運に感謝していた。そして何より、国の平穏を支えている、暗く恐ろしく、気の遠くなるように深い闇に畏敬の念を忘れない。

 王国に入ろうとする他国の者は、城をぐるりと取り囲む魔の森を通らなければならない。
 1000年前、初代王が城を築いたと同時に突如として現れたと言われる暗黒の樹海。謎と不明に満ちた恐ろしい森だが、国はこの闇に守られていた。
 ゴアドアの無限に採掘される宝を目当てに、幾度も他国の軍隊が暗い懐へ突入した。だが、時代時代の最強の軍隊のどれも、ついに一兵たりとて進む事も戻る事もかなわなかった。

 森には魔物が棲んでいた。
 霧のように、幻のように、実体が掴めない魔物は言うなれば闇の中の闇そのものであり、通りかかるものをすべて呑み込んでしまう。
 空を飛ぶものも、地中を潜るものも見逃さない。彼は暗い森の天地どこにでも存在できる。
 誰にも捕らえられない、退治できない、どこを棲家にしているのかもわからない。

 番人ラルフの他には。






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