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奮い立つ女
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プロポーズしたあの日、営業部オフィスから南村を強引に連れ出し、他の人間をシャットアウトした。堀田のことだから根掘り葉掘り訊いただろうが、うまく答えられなかったに違いない。
それは、彼自身が半信半疑の出来事だから。
「でも、ちゃんと来てくれたのね。ありがとう」
「約束ですから」
ようやくにこりと笑った。
律儀な口調と懐っこい笑みに、人の好い性格が表れている。営業の成績が良くも悪くもない原因はこれだと希美には分かった。
(うん、いいわね。私の夫になる男は、こうでなくっちゃ)
「レストランの予約まであと15分よ。まずはコートをクロークに預けましょうか」
「あ、はい。すみません」
急いでコートを脱ぐ南村を、希美はそれとなく観察した。
――顔立ちがほっそりしていると、身体まで細いように錯覚することも。
数多くのマッチョを知る武子の言葉には信憑性がある。もしも南村が隠れマッチョだとすれば、希美にとってなによりの悦びだけれど……
「あのう、北城さん。どうかされましたか?」
「んっ? ああ、ごめんなさい」
それとなくのつもりが、真剣にガン見していた。髪を直すふりで視線を逸らし、不思議そうにする南村を誤魔化した。
残念ながらスーツの上からでは、体格をしっかりと把握できない。
こうなったら今夜、必ず彼を口説いてベッドに押し倒し、脱がすしかない。
「さあ、早く行きましょう。お腹が空いちゃったわ」
「はいっ」
南村の本体はどんなものか。
このデートですべて見極めてやろうと、希美は奮い立った。
それは、彼自身が半信半疑の出来事だから。
「でも、ちゃんと来てくれたのね。ありがとう」
「約束ですから」
ようやくにこりと笑った。
律儀な口調と懐っこい笑みに、人の好い性格が表れている。営業の成績が良くも悪くもない原因はこれだと希美には分かった。
(うん、いいわね。私の夫になる男は、こうでなくっちゃ)
「レストランの予約まであと15分よ。まずはコートをクロークに預けましょうか」
「あ、はい。すみません」
急いでコートを脱ぐ南村を、希美はそれとなく観察した。
――顔立ちがほっそりしていると、身体まで細いように錯覚することも。
数多くのマッチョを知る武子の言葉には信憑性がある。もしも南村が隠れマッチョだとすれば、希美にとってなによりの悦びだけれど……
「あのう、北城さん。どうかされましたか?」
「んっ? ああ、ごめんなさい」
それとなくのつもりが、真剣にガン見していた。髪を直すふりで視線を逸らし、不思議そうにする南村を誤魔化した。
残念ながらスーツの上からでは、体格をしっかりと把握できない。
こうなったら今夜、必ず彼を口説いてベッドに押し倒し、脱がすしかない。
「さあ、早く行きましょう。お腹が空いちゃったわ」
「はいっ」
南村の本体はどんなものか。
このデートですべて見極めてやろうと、希美は奮い立った。
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