6 / 179
男はガチマッチョ!
3
しおりを挟む
堀田もイケメン二人もぽかんとする。どうしてあいつに? という顔である。
「そう、その人。申し訳ないけど、呼び出してくださる? ミーティング前に、少しだけ話をしたいの」
「南村だろ?」
「ええ」
堀田は念を押すと、ぼりぼりと頭を掻いた。イケメン二人は顔を見合わせ、なぜかプッと噴き出している。
彼らの反応に、希美は形の良い眉をぴくりとさせた。
(なによ、いくら南村壮二が営業部の幻影と呼ばれるくらい目立たず、いるかいないかわからない地味な人だからって、その態度はないでしょう)
失礼な連中ねと、希美は怒りかけるが……
「南村なら、さっきからそこにいるぞ」
「え……?」
堀田が呆れ顔で、希美の横を指さした。
(さっきから、そこにいる……って?)
まさかと思いながら、ゆっくりと首を動かしてみる。
「ひっ!」
希美の真横に、男が突っ立っていた。
きょとんとした表情で、こちらを見下ろしている。
「いっ、いつの間に……っていうか、あっ、あなたが南村壮二!?」
男は首の後ろに手をやると、ちょっと照れた笑みを浮かべ、ぺこりとお辞儀をした。
「はい。僕、営業二課の南村です」
(この人が……)
存在感の無さは想像以上だった。
いつの間に、すぐ横に立っていたのか。
本当に、まったく、気が付かなかった。
「そ、そう。あなたが……」
南村は愛想よく、にこにこしている。
思っていたより背が高く、肩幅も意外に広い。しかし、紺のスーツに包んだ身体はすらりとして、スリムな印象。大木の堀田に比べたら、棒っきれに見える。
そんな男にびっくりさせられて、胸がどきどきするのが悔しい。
平静を装い、キッと目を上げる。
驚くことはない、むしろ、この存在感の無さを求めていたのだから。
「南村壮二さん。単刀直入に言うわ」
「はい?」
希美の低い声に、彼はおっとりと返事した。イケメン二人のほうがビクッとしている。
ビクつかないのは鈍いせいだろうと想像しながら、鈍いやつにもダイレクトに伝わるよう、ストレートに告げた。
「あなた、私と結婚しなさい!」
「そう、その人。申し訳ないけど、呼び出してくださる? ミーティング前に、少しだけ話をしたいの」
「南村だろ?」
「ええ」
堀田は念を押すと、ぼりぼりと頭を掻いた。イケメン二人は顔を見合わせ、なぜかプッと噴き出している。
彼らの反応に、希美は形の良い眉をぴくりとさせた。
(なによ、いくら南村壮二が営業部の幻影と呼ばれるくらい目立たず、いるかいないかわからない地味な人だからって、その態度はないでしょう)
失礼な連中ねと、希美は怒りかけるが……
「南村なら、さっきからそこにいるぞ」
「え……?」
堀田が呆れ顔で、希美の横を指さした。
(さっきから、そこにいる……って?)
まさかと思いながら、ゆっくりと首を動かしてみる。
「ひっ!」
希美の真横に、男が突っ立っていた。
きょとんとした表情で、こちらを見下ろしている。
「いっ、いつの間に……っていうか、あっ、あなたが南村壮二!?」
男は首の後ろに手をやると、ちょっと照れた笑みを浮かべ、ぺこりとお辞儀をした。
「はい。僕、営業二課の南村です」
(この人が……)
存在感の無さは想像以上だった。
いつの間に、すぐ横に立っていたのか。
本当に、まったく、気が付かなかった。
「そ、そう。あなたが……」
南村は愛想よく、にこにこしている。
思っていたより背が高く、肩幅も意外に広い。しかし、紺のスーツに包んだ身体はすらりとして、スリムな印象。大木の堀田に比べたら、棒っきれに見える。
そんな男にびっくりさせられて、胸がどきどきするのが悔しい。
平静を装い、キッと目を上げる。
驚くことはない、むしろ、この存在感の無さを求めていたのだから。
「南村壮二さん。単刀直入に言うわ」
「はい?」
希美の低い声に、彼はおっとりと返事した。イケメン二人のほうがビクッとしている。
ビクつかないのは鈍いせいだろうと想像しながら、鈍いやつにもダイレクトに伝わるよう、ストレートに告げた。
「あなた、私と結婚しなさい!」
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる