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男はガチマッチョ!
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ノルテフーズ本社屋は街中に立つ24階建てのビルだが、目の前は公園であり、横には川が流れているので環境はすっきりしている。そのため営業部が入る7階フロアも自然光が射して明るい。
広々としたオフィスは得意先別にスペースが分けられ、30名ほどの課員が働いている。ざっくり紹介すると、一課は大口、二課は小口、そして三課は海外担当。
営業部には優秀な人材が集まっている。いわゆるバリバリの営業マン。精力的で、派手で、なぜかイケメン揃いなので社内の女性に人気の部署だ。
しかし希美は、そんな男達には興味がない。
なぜなら、これまでさんざん悪口を聞かされてきた人種だから。
――あいつらときたら、すぐ浮気するの。そのくせこっちの貞操には保守的でさ。ほんっとムカつく!
女友達の愚痴には、毎回うんざりする。
それは、幼いころから母に聞かされている、"夫の悪口"とそっくり同じだった。
仕事ができて、金があり、見た目がいいから当然モテる。激戦を勝ち抜き、晴れて恋人になったとしても、浮気されてお終い。
(それでも、みんな懲りないのよね。似たような男と付き合って、別れての繰り返し。お母様だって、なんだかんだ言いながら連れ添ってるし)
――自分は浮気するくせに。私には家庭に入って大人しくしてろだなんて、貞淑を強いるのよ。酷いと思わない、希美?
若き日の父は自分勝手だったらしい。
嘆く母を見て育ち、愚痴を聞かされた。こんな風にはなりたくないと、子供心に思ったものだ。
愚痴にまみれるくらいなら、学習しなくちゃ。
エレベーターホールで、出社してきた営業マンと行き合う。彼らは「おっ」という顔でこちらを見、爽やかに笑いかけてきた。
「おはようございます、北城さん!」
「早朝から珍しいですね。営業部にご用ですか」
希美はちらりと彼らを見やり、「ええ」と短く返事をする。美貌の社長令嬢に微笑みを返され、二人の若い男は興奮を隠せないでいる。
希美が歩き出すと、付き添うように後に続いた。
(この人達はよく知ってるわ。一課のツートップだとか堀田先輩が言ってた)
さすが、我が社の優秀社員。顔もスタイルも申し分なく、身だしなみも完璧。どこにいても輝きを放つ魅力を保持し、その上独身で仕事もできるとくれば、女性社員が騒ぐはずだ。
だが、希美にとっては二人とも単なる一社員に過ぎない。
理想の夫像から最も遠い人種。
しかし、彼らに興味が持てない最大の理由は他にあった。
身体が細すぎる―― ということ。
理想の夫像とは別に、理想の男像というものがある。
つまり、女として惹かれる男のタイプ。もっと言えば、雌として惹きつけられる雄のフェロモンというのか、もっと本能的な意味での要素。
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しかし希美は、そんな男達には興味がない。
なぜなら、これまでさんざん悪口を聞かされてきた人種だから。
――あいつらときたら、すぐ浮気するの。そのくせこっちの貞操には保守的でさ。ほんっとムカつく!
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それは、幼いころから母に聞かされている、"夫の悪口"とそっくり同じだった。
仕事ができて、金があり、見た目がいいから当然モテる。激戦を勝ち抜き、晴れて恋人になったとしても、浮気されてお終い。
(それでも、みんな懲りないのよね。似たような男と付き合って、別れての繰り返し。お母様だって、なんだかんだ言いながら連れ添ってるし)
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嘆く母を見て育ち、愚痴を聞かされた。こんな風にはなりたくないと、子供心に思ったものだ。
愚痴にまみれるくらいなら、学習しなくちゃ。
エレベーターホールで、出社してきた営業マンと行き合う。彼らは「おっ」という顔でこちらを見、爽やかに笑いかけてきた。
「おはようございます、北城さん!」
「早朝から珍しいですね。営業部にご用ですか」
希美はちらりと彼らを見やり、「ええ」と短く返事をする。美貌の社長令嬢に微笑みを返され、二人の若い男は興奮を隠せないでいる。
希美が歩き出すと、付き添うように後に続いた。
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しかし、彼らに興味が持てない最大の理由は他にあった。
身体が細すぎる―― ということ。
理想の夫像とは別に、理想の男像というものがある。
つまり、女として惹かれる男のタイプ。もっと言えば、雌として惹きつけられる雄のフェロモンというのか、もっと本能的な意味での要素。
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