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ディモンの過去
12話 神罰のダンジョン 4層 王子とオニキス
しおりを挟む「…ねぇ?何で襲ってこなかったの?」
レオンハルトが騎士に引っ張られながら後に下がっている間、オニキスは、ディモンを笑顔で見ながら質問した
「ちっ、よくそんな事を言えるな、俺が少し動く度に、俺が何をしても反応できるよう体重の向きを変えてるくせに」
オニキスに笑顔で質問されたディモンは、苛立った様子でオニキスを睨みながら答えた
「っ!へぇ~やっぱ君、中級剣士じゃないねっ【瞬歩】!」
ディモンの話を聞いたオニキスは、驚いた表情でディモンを見た後、笑顔を浮かべ、【瞬歩】を使いディモンの前に移動し、剣をディモンの肩目掛けて振り下ろした
「っ!俺がいつ中級剣士なんて言った!…そういうお前は剣聖だろ!」
ディモンは、オニキスの剣を自身の剣で受け止め、オニキスの剣を力付くで弾き返し、オニキスの胸目掛けて突きを放った
「っ!すごいね君!よく気付いたね!」
オニキスは、ディモンの突きを剣で横に弾き、そのままディモンの横腹目掛けて剣を振った
「くっ!クソっ!」
ディモンは、オニキスの剣を避ける為に後に下がったが、オニキスの剣の方が早く、横腹を深く斬られた
「(…不味いな、このままじゃこっちが負ける)…おい、一つ聞いておく、何で俺を殺そうとする?」
ディモンは、斬られた傷口を手で押さえながら、余裕の表情を浮かべているオニキスに質問した
「う~ん、本当は言っちゃ駄目だけど、どうせ今日死ぬんだし、言ってもいいかな?」
「オニキス殿!駄目ですよ!」
ディモンに質問されたオニキスは、余裕の表情のまま、少し悩んだ後、楽しそうに答えようとしたが、レオンハルトと共に、後に下がっていた騎士が大声でオニキスを注意した
「まぁ良いではないか、オニキスの言う通り、もうすぐ死ぬのだ、私自ら話してやろう」
騎士がオニキスを注意していると、騎士の横に居たレオンハルトが、騎士の肩を掴み止め、ディモンの方に歩き始めた
「ちょっ!レオンハルト王子!まだこっちに来ては駄目ですよ!おい!王子を止めろ!」
自身がいる場所に来ようとするレオンハルトを見たオニキスは、慌てて騎士にレオンハルトを止める様に命令した
「(チャンスだ!)【身体強化(聖)】!からの【瞬歩】!」
「なっ!」
「…死ね!【武人奥義、鎧通し】!」
ディモンは、オニキスが王子に気に取られていると隙を見て、剣を手放し、【身体強化(聖)】を使い自身の身体能力を上げ、【瞬歩】を使いオニキスの目の前に移動し、オニキスの胸に向かって【武人奥義、鎧通し】を使った
オニキスはいきなり目の前に現れたディモンに驚き、攻撃を避ける事が出来ず、そのまま【武人奥義、鎧通し】を喰らった
【武人奥義、鎧通し】は、相手の内側に攻撃を通し、身体の中から破壊する技
武人の称号を持つと覚える事が出来る
武人は剣聖と同じランクの称号
「ぐぼっ…まさか武人になっていたなんて…」
【武人奥義、鎧通し】を喰らったオニキスは、内臓をやられ、血を吐きながら、そのまま地面に倒れ込んだ
「「オニキス!」殿!!」
レオンハルトと騎士は、オニキスが倒された事に驚き、オニキスを助ける為に動こうとし始めた
「…【瞬歩】!【武技正拳突き】!」
ディモンは、【瞬歩】を使い、オニキスを助けようと動き出した騎士の前に移動し、【武技正拳突き】を使い、騎士の鳩尾を殴った
「っ!おぇぇぇ」
鳩尾を殴られた騎士は、腹を押さえながら蹲り、その場で胃の中の物を吐き出した
「お前も死んでおけ!【武技三日月蹴り】!」
「「【身体強化(強)】!ぐぅ!」」
騎士の鳩尾を殴ったディモンは、そのままレオンハルトに向かって【武技三日月蹴り】を放ったが、オークを殺しに行っていた2人の騎士が【身体強化(強)】を使って、ディモンとレオンハルトの間に入り、ディモンの【武技三日月蹴り】を2人掛かりで受け止めた
【武技三日月蹴り】は、前蹴りと回し蹴りの中間の軌道で、相手の脇腹や肝臓を狙う蹴り技
上級格闘家の称号を持つと覚える事が出来る技
「っ!クソっ!」
【武技三日月蹴り】を受け止められたディモンは、悔しそうに2人の騎士から離れた
ディモン攻撃を受け止めた2人の騎士は、顔を見合わせ、視線だけで意思疎通した後、1人がレオンハルトに近付き、もう1人は、マジックバックから王級回復ポーションを取り出しながら、倒れているオニキスに近付いて行った
「(…今のうちに!)」
2人の騎士の対応を見ていたディモンは、マジックバックから上級回復ポーション取り出し、ポーションを飲んだ後、気配を消し、気づかれない様、その場から離れ始めた
「…王子、ご無事ですか?」
レオンハルトに近付いた騎士は、ディモンを警戒しながら、レオンハルトの無事を確認した
「あ、ああ、無事だ、よく戻って来た」
騎士に無事を確認されたレオンハルトは、少し怯えた様子で、戻って来た騎士を褒めた
「オニキス殿!早くこれを飲んで下さい!」
「あ゙ぁ゙、あ゙り゙がどゔ…」
オニキスに近付いた騎士は、倒れているオニキスの口元に王級回復ポーションを持っていき、オニキスは騎士に感謝を伝えながら王級回復ポーションを飲んだ
「…よし、治ったね、流石は王級ポーションだよ」
王級回復ポーションを飲んだオニキスは、一瞬で傷が治り、元気よく立ち上がった
「…あれ?王子、あの男居なくなってますけど?」
立ち上がったオニキスは、周りを見渡し、ディモンが居ない事に気付き、レオンハルトに近付きながら、ディモンが居ない事を教えた
「なっ!…不味いぞ!もし逃げられでもしたら!ここに居る全員の首が飛ぶ!!」
オニキスの言葉を聞いたレオンハルトは、慌てて周りを見渡し、ディモンが居なくなっている事に気付き、顔色を悪くさせた
「(不味いなぁ、僕も一回倒されちゃってるし、もしここで逃げられたら、全責任僕が負うことになるかも…仕方ない、あれを使うか)…王子、あの方から預かってるあれを使います、今直ぐ出して下さい」
レオンハルトが顔色を悪くさせている間、オニキスは、ディモンに逃げられた後の事を考え、レオンハルトにある物を出すよう伝えた
「なっ!しかしあれは…」
オニキスの言葉を聞いたレオンハルトは、驚き表情を浮かべた後、悩んだ様子で自身の持つマジックバックを見た
「(ちっ、この無能が!お前が僕の方に来ようとしなければ、僕が倒される事も、あの男に逃げられる事も無かったんだよ!それなのに!)今あれを使わないと、本当に逃げられますよ、そうなった場合、あの方に叱られるのは、王子自身ですよ?」
悩んだ様子のレオンハルト見たオニキスは、内心レオンハルトに苛立ちながら、真剣な表情でレオンハルトを見て、脅す様に説得した
「それは…(もしオニキスの言葉道理になったら…私は…)っ~!仕方ない!オニキス!これを使うからには!アイツを生きた状態でここに連れて来い!私自らトドメを刺す!」
オニキスの言葉を聞いたレオンハルトは、自分が惨たらしく殺される場面を想像し、顔色を悪くさせ、それを振り払うかの様に首を横に振り、マジックバックから1つの薬を取り出し、鬼気迫る表情でオニキスに命令しながら薬を渡した
「(自分の命が危ない状況で、まだそんな事に拘ってるのか…)分かりました、必ず生きて連れてきます」
レオンハルトの言葉を聞いたオニキスは、内心、未だに自分でトドメを刺そうと考えているレオンハルトに呆れながら、レオンハルトから薬をを受け取り、そのまま飲み干した
「…ぐっあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」
「「「「っ、オニキス…」殿…」」」
薬を飲み干したオニキスは、全身から血を流し、全身を襲う痛みで、のたうち回り始め、それをレオンハルトと騎士達は、心配そうに見ている事しか出来なかった
オニキスが、全身を襲う痛みで地面をのたうち回っていると、徐々にオニキスの身体から流れている血が治まっていき、それに伴い、オニキスの全身を襲う痛みも引いていった
「…はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、やっと、やっと終わった!」
全身を襲う痛みが終わった後、オニキスは息を荒げながら、痛みから解放された事を心の底から喜んだ
「オニキス、その身体…」
オニキスが痛みから解放された事に喜んでいると、オニキスの身体を見たレオンハルトが、オニキスの身体を恐る恐る指差した
「ん?…っ!これは!」
レオンハルトの態度に疑問を感じたオニキスは、薬を飲む前の身体より、引き締まった筋肉に成った身体を見て、驚きの表情を浮かべた
「よっと!……ふっ、ふっはっはっはっはっ!これならもう誰にも負けない!」
自身の身体を見て驚いていたオニキスは、勢い良く立ち上がり、腕や足を軽く動かし、自身の身体の調子を調べ、薬を飲む前より大幅に身体能力が上がっている事に気づき、嬉しそうに大笑いした後、力強く拳を握りしめた
「そ、そうか、ではオニキス、早くアイツを連れてきてくれ」
オニキスの反応を見ていたレオンハルトは、少し引いた様子で、ディモンを連れてくるよう頼んだ
「えぇ、後は僕にお任せ下さい…さぁ、さっさと追いかけるよ!【身体強化(聖)】!」
レオンハルトに、ディモンを連れてくるよう頼のまれたオニキスは、嬉しそうにしながら、【身体強化(聖)】を使い、猛スピードでディモンを追い掛け始めた
「…王子、オニキス殿は大丈夫なのですか?かなり人か変わった様子でしたけど」
オニキスがディモンを追いかけて行った後、騎士の1人が、不安そうに質問した
「大丈夫では無いだろう、あの薬を飲んだ者は、必ず精神が壊れるんだぞ」
騎士に質問されたレオンハルトは、平然としながら、薬の副作用の事を騎士に伝えた
「「「なっ!」」」
「王子!それをオニキス殿は知っていたのですか!?」
レオンハルトの話を聞いた騎士達が、驚きの表情を浮かべた後、1人の騎士が、怒った様子でレオンハルトに質問した
「オニキスの奴は知らなかったぞ、薬の副作用を知っていたのは、私と父上と、薬を下さったあの方のみ…ふっはっはっはっ!これで目障りなオニキスも消えるな!」
騎士に質問されたレオンハルトは、平然とオニキスが知らなかった事を伝えた後、狂った様子で笑いながら、オニキスが消える事を喜んだ
「「「(っ!陛下と王子は、最初からオニキス殿を殺すつもりだったのか…)」」」
レオンハルトの反応を見た騎士達は、最初からオニキスを殺すつもりだった事に気づき、怯えた様子でレオンハルトを見ていた
「ふっはっはっはっはっ!あ゙~愉快だ!王家に仕えながら!王家を嫌うあのオニキスが!あの方が消せと命じたアイツと共に消えてくれるのだから!ふっはっはっはっはっ!」
騎士達が怯えた様子でレオンハルトを見ている間も、レオンハルトは狂った様子で笑い続けた
「「「(狂ってる…)」」」
3人の騎士は、怯えた様子で、レオンハルトを見ていることしか出来なかった
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