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林王の領域
259話 過去編 医務室
しおりを挟む謁見の間を出た冥王は、気絶したセバスが運ばれた医務室の前まで来ていた
コンコン ガチャ「セバスの容態はどうだ?」
「ん?なんじゃ坊か」
冥王が医務室の扉をノックしてから中に入ると、セバスの看病をしていたグリモアが、入ってきた冥王の方に振り返った
「グリモア…いい加減、坊は止めてくれ」
「うるさいのぅ…儂からしたら、坊はいつまでも坊じゃ」
坊と呼ばれた冥王が、嫌な顔をしながら頼むと、グリモアはセバスの看病に戻りながら、冥王の頼みを断った
「はぁ~、もういい…それで、セバスの容態はどうだ?」
頼みを断られた冥王は、諦めた様子で溜め息を吐いた後、ベッドに寝かされているセバスに近付きながら質問した
「うむ、ただの気絶じゃ、時期眼を覚ますじゃろう…それより、セバスが気絶するなど、いったい何にがあったんじゃ?」
グリモアは、セバスの容態について答えた後、セバスが運ばれてきた理由を質問した
「それがな…セバスの報告が信じられなかった一族の者達が、セバスに全力で魔力をぶつけてな」
冥王は、少し言いづらそうにしながら、セバスが気絶した理由を説明した
「成る程のぅ…それにしても、あの方々にも、困ったものじゃ…ハーデス一族の者達の全力の魔力など、常人なら確実に死んでおったぞ…セバスじゃから気絶だけですんだんじゃ」
グリモアは、冥王の説明を聞き、呆れた様子で冥王を見た後、少し怒った様子で冥王を責めた
「分かっておる…だが、祖父を殺した奴に、俺達一族全員で挑んでも勝てぬと言われたら、誰でも怒るのは仕方の無い事だろ?」
責められた冥王は、少し申し訳なさそうにしながら、セバスに魔力をぶつけた者達を擁護した
「っ!なんじゃと!ゴル様を殺した奴は、そんなに強いのか!?」
グリモアは、冥王の話を聞き、驚いた表情を浮かべた後、信じられないという表情で冥王を見た
「ああ、セバスの報告書を読んだが、セバスの言うとおり、一族全員で挑んでも勝てるかどうか分からん」
冥王は、困った表情を浮かべながら、不安そうに勝てない事を伝えた
「…嘘じゃろ、そんな事あり得ぬじゃろ…ハーデス家が全員揃っても勝てぬ存在など、この世の終わりではないか」
グリモアは、冥王の話を聞いたことにより、ゴルを殺した怪物の危険度が分かってしまい、絶望した表情を浮かべた
「(グリモア…)」
冥王は、グリモアの気持ちが分かってしまい、グリモアになんと声を掛ければいいか分からず、ただ見ている事しか出来ずにいた
「…うっ…ここは…」
暫く冥王とグリモアが無言でいると、気絶していたセバスが目を覚まし、困惑した様子で眼を動かし、現状を把握する為に、回りを見渡した
「「っ!セバス!起きたか!」」
冥王とグリモアは、セバスが起きた事に気付き、慌てて寝ているセバスの顔を覗き込んだ
「…ゾル様、それにグリモア殿…確か私は…っ!ゾル様!報告書を見ましたか!?」
セバスは冥王とグリモアの顔を見て、安堵した表情を浮かべた後、気絶する前にしていた事を思い出し、慌てて身体を起こして、冥王に報告書について聞いた
「ああ見た、たがら大人しく寝ていろ」
冥王は、報告書を読んだ事を伝えた後、セバスの身を案じ、ベッドに横になるよう伝えた
「はぁ…ならよかったです…」
セバスは冥王の話を聞き、安心した様子で天井を見上げた
~作者からのお知らせ~
今日から新作を出します!
万の称号を持つ男 ~称号が全てを決める世界~
是非読んで下さい!!
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