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林王の領域
257話 過去編 セバスの報告
しおりを挟むセバス達一行は、合流した近衛騎士団に見張られながら、ハーデス王国王都に帰還した
セバス達一行が王都に入ると、王都の住民達の暗い表情が目に止まり、ゴルの死が発表されている事に気付いた
セバス達一行は、暗い表情の住民達の横を通り過ぎ、セバスの報告を待つ、冥王が居る城に帰還した
「セバス様!謁見の間にて!ゾル様がお待ちです!」
セバス達一行が、城に着くと、直ぐに文官が城の中から現れ、セバスに、冥王が待っている事を伝えた
「分かりました…では、ルーティア様を部屋に案内してください、エルフの王族の方です、無礼が無いように」
セバスは、ルーティアの方を見ながら、冥王の事を伝えに来た文官に、ルーティアの事を頼んだ
「っ!はい!分かりました!」
文官は、セバスの話を聞き、急いでルーティアの下に向かい始めた
「…よし!」
セバスは、ルーティアの下に向かった文官を見送った後、覚悟を決めた様子で、城の中に入っていった
「お待ちしてましたセバス様…皆様、首を長くして待っておりました」
セバスが謁見の間の前に着くと、謁見の間の門番がセバスに声を掛け、ドア開けながら、冥王達が待っていた事を伝えた
「(皆様?っ!まさか!)」
セバスは、門番の言葉に疑問を抱き、一瞬にして、謁見の間の中に誰が居るか気付き、額から冷や汗を流した
「ぐぅっ」
門番がドアを開けると、謁見の間の中から膨大な魔力が溢れだし、セバスは、魔力によって吹き飛ばされないよう、前屈みになりながら、苦しそうに謁見の間の中に進み始めた
謁見の間の中では、王座に冥王が座り、部屋の中央の通り道を開けた状態で、100人を越える黒髪と赤い眼を持つ人々が、全身から魔力を溢れさせながら、セバスを睨み付けた
「(まさか…ここまで揃うとは…)」
セバスは、謁見の間に居る全員を見渡しながら、謁見の間の中央を歩き始めた
「セバス…何故祖父は死んだ?…理由によっては、お前を刑に処す必要が出てくる」
セバスがある程度進むと、王座に座る冥王が、拳を力強く握りしめながら質問した
「…ゴル様は、エルフの里の問題の元凶と対峙し、奮闘虚しく敗れました」
セバスは、謁見の間の中央で片膝を立ててしゃがみ、床を見ながら答えた
「「「「「「「「っ!」」」」」」」」
セバスの答えを聞いた全員が驚き、信じられないという表情でセバスを凝視した
「…元凶だと?それはどれ程の強さだった?」
冥王は、セバスの答えに驚きながらも、ゴルを殺した怪物の強さについて質問した
「明確な強さは分かりませんが…ゴル様が【奥義 振動体】と【振動魔手】を使って相手に傷を負わせた事と、【奥義 振動体】を使った状態にも関わらず、相手が放った攻撃に、何も出来ぬまま一撃で敗れました」
セバスは、天高く飛ぶ怪物が放った攻撃を思い出しながら、分かっている事実だけを話した
「何だと!?一撃だと!」
「あり得ぬ!あのゴル爺様が!たった一撃などで敗れるはずもない!」
「「そうだ!絶対あり得ぬ!!」」
「それも!【奥義 振動体】を使った状態でだと!嘘を付くのもたいがいにせよ!!」
「っ、静まれ!!」
セバスの話を聞き、冥王以外の全員が、セバスの話を否定していると、冥王が王座から立ち上がり、大声を出して全員を静かにさせた
「「「「「「「「「「·····················」」」」」」」」」」
「はぁ…セバス、一つ聞く…祖父を殺した奴と、俺が戦えば、どっちが勝つ?」
冥王は、全員が静かになったのを確認してから、王座に座り直し、セバスを見ながら質問した
「…一対一なら、確実にゾル様が負けます…それ処か、ここに居る全員で挑んでも、勝率は良くて5割、下手をすれば1割しかありません」
セバスは、言いづらそうにしながら、正直に自身の考えを話した
「「「「「「「「なっ!」」」」」」」」
セバスの話を聞いた謁見の間の全員が驚いた後、負けると言われた事に腹を立て、一斉にセバスに魔力をぶつけた
「ぐっ…っ、事実です!あの怪物は!一撃でこの王都を消す力を!持っているのです!」
魔力をぶつけられたセバスは、苦しそうに膝を付いたが、足を震わせながら立ち上がり、大声で事実を語った
「…そうか、お前ともあろう者が、そこまで言うのだ…俺は信じよう」
冥王は、セバスの並々ならぬ意思を感じ取り、他の者達にセバスを責めさせない為に、信じると声に出して話した
「ありがとうございます…それと、こちらがハルス様からの手紙と、エルフの森についてから、ゴル様が亡くなるまでの報告書です…」
セバスは、冥王の心遣いに感謝を伝えた後、懐からハルスの手紙とゴルを殺した怪物についての報告書を取り出し、安心した様子で気絶した
「セバス!…気絶しただけか…門番!直ぐに医務室に!」
冥王は、慌てて気絶したセバス駆け寄り、ぶつけられた魔力から解放された緩みで気絶した事に気付き、門番に医務室に連れていくよう命令した
「はっ!」
門番は、気絶したセバスを抱えあげ、急いで医務室に向かった
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