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林王の領域
256話 過去編 近衛騎士団
しおりを挟むルーティアの荷物を整理が終わった後、セバス達一行は、ハルスやエルフ達に盛大に見送られ、エルフの里を後にした
セバス達一行は、エルフの里からある程度離れると、一気に移動スピードを上げ、ハーデス王国に向かい始めた
ルーティアは、馬車の窓から見る、初めての景色に感動しながら、これからいくらハーデス王国に思い話馳せた
セバス達一行は、途中何度も夜営をしながら、一週間掛け、ハーデス王国の領土まで移動した
「ルーティア様、ここより先は、ハーデス王国の領土になります…国内には、少ないですが、ハーデス王国の転覆を狙う輩も居ます…私達が出来る限り御守りしますが、いざとなった時は、躊躇無く相手を殺すか、素早くお逃げ下さい」
ハーデス王国の領土に入った事を確認したセバスは、初めてエルフの領土から出たルーティアに、外の危険性を教える為に、真剣な表情で忠告した
「…分かりました…その時が来ない事を願いますが、いざとなったら、忠告通りに行動します」
ルーティアは、出来れば一緒に戦いたいと思っていたが、エルフの王族である自分に、何か起きた時の事を考え、セバスの忠告通りに動く事を伝えた
「申し訳ありませんが、お願いします」
セバスは、修行の来たルーティアに、エルフの王族として動いてもらう事に、心苦しさを感じながら、エルフの王族として動いてくれる事に感謝を伝えた
「っ!セバス様!前方に集団が見えます!」
セバス達一行が、王都に向けて移動していると、馬に乗った騎士の1人が、向かっている先に多人数の集団が居ることに気付き、大声でセバスに報告した
「っ!…何処ですか!?」
報告を受けたセバスは、慌てて馬車から身を乗り出し、報告してきた騎士が見ている方向を凝視した
「…あれは…ハーデス王国の騎士ですね…それも近衛騎士…(つまり、ゴル様の件がゾル様に伝わったのですね)」
セバスは、大人数の集団が掲げる旗を確認して、ハーデス王国の近衛騎士団である事に気付た
「今すぐ旗を掲げなさい!」
セバスは近くの馬に乗る騎士を見ながら、ハーデス王国の軍旗を掲げるよう命令した
「はっ!」
命令された騎士は、直ぐに軍旗を取り出し、近衛騎士団に見えるよう掲げた
「止まれ!セバス!降りてこい!」
騎士が軍旗を掲げると、近衛騎士団の中から1人の騎士がセバス達一行の下に向かってきて、大声でセバスを呼び出した
「(…やはりトゥデイでしたか…)…貴方が来たという事は、かなり不味い状況だという事ですね」
騎士の声を聞いたセバスは、直ぐにトゥデイだと気付き、ゆっくり馬車から降りながら、トゥデイに声を掛けた
※トゥデイ フユウ
冥王とセバスの幼馴染みであり
将来は、冥王が住む城の地下で、魔獣達が眠りに就いている場所の門番をしている
ハーデス王国では、近衛騎士団長の座に就いている
「ああ!ハーデス家の皆様は、お前にかなり怒ってらっしゃる!ゾル様が押さえてくれてはいるが!ゴル様を守れなかった責任は、必ず取らされるだろう!」
トゥデイは、馬車から降りてきたセバスを見ながら、王城で起きている事を、全てセバスに説明した
「成る程…つまりその程度しか情報は届いていないのですね」
セバスは、トゥデイの説明を聞き、ゴルを殺した怪物の事を、王都に居る者達が把握していない事に気付いた
「どういう意味だ!?っ!まさか!こちらが把握してない事実があるのか?」
トゥデイは、セバスの言葉を聞き、自分達に報告されていない事がある事に気付き、慌てた様子で質問した
「ええ、ありますよ…その事については、私がゾル様に報告します」
セバスは、ここで全てを説明した後に、もし自分の身に何か起きた時の事を考え、遠回しに説明を拒否した
「っ!お前!」
トゥデイは、セバスの考えに気付き、怒気を帯びた声で怒鳴りながら、セバスを睨み付けた
「トゥデイ…今回の件は、それ程までに深刻なのだ…報告に誰かを挟む事は絶対にしない!」
セバスは、間違った報告が冥王にされた時の事を考え、絶対に自分が報告すると、覚悟を決めた表情で伝えた
「っ…はぁ、仕方ない…分かった!なら今すぐ出発するぞ、ハーデス家の方々が、暴走しない内にな」
トゥデイは、セバスが絶対に引かない事に気付き、呆れた表情でセバスを見た後、自身の馬を操り、王都に向けて出発した
「分かってますよ…馬車を出しなさい!」
セバスは馬車に乗り込み、馬車を出発させるよう命令した
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