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林王の領域
253話 過去編 ルーティアの思い
しおりを挟むドン!「お父様!お話があります!」
ルビィを連れ、ハルスがいる公務室に着いたルーティアは、ノックをせずに、勢いよく扉を開けた
「あっ!······このっ馬鹿娘!!」
公務室の中で、未だに冥王に当てた手紙を書いていたハルスは、いきなり部屋に入ってきたルーティアに驚いたせいで、書いていた文字を失敗し、一瞬ショックで固まった後、物凄い形相を浮かべ、怒気を帯びた声でルーティアを怒鳴り付けた
「ひっ…ごめんなさい!」
ルーティアはハルスの物凄い形相に恐怖し、怯えた様子で、謝った
「(怖っ!······私、知らな~い!)」
ルーティアの跡に続き、部屋に入ろうとしていたルビィは、ハルスの怒鳴り声を聞き、恐る恐る部屋中を確認した後、物凄い形相のハルスを見て、静かに素早くその場から逃げ出した
「ルーティア!そこに座りなさい!」
手紙を台無しにされたハルスは、床を指差し、床に座るよう命令した
「は、はい!」
ルーティアは、慌ててハルスが指差した床に、正座した
「…このっ······!······!······!······!······!」
ルーティアが床に正座した後、ハルスは、のどが枯れるまで、一時間以上の間、ルーティアを説教し続けた
「はぁはぁはぁはぁ…今日はこれぐらいで許してやる!次から気お付けなさい!」
説教をし続けたハルスは、息を切らしながら、疲れた様子で、説教を止めた
「うぅ…はい…ごめんなさい…」
説教を受け続けたルーティアは、少し涙眼になりながら、反省した様子で謝った
「さて、ここに来た用件は何だ?」
ハルスは、反省しているルーティアを呆れた様子で見ながら、部屋に来た理由を聞いた
「それは…」
ルーティアは、用件を話したら怒られると思い、言いづらそうにハルスを見た
「はぁ…怒らないから言ってみろ」
ハルスは、ルーティアが怒られると思っていることに気付き、呆れた様子で溜め息を吐いた後、少し怒った様子で用件を言うよう伝えた
「は、はい…ここに来た目的は、私がハーデス王国に行く事を、お父様に許可して欲しかったからです」
ルーティアは、ハルスが怒っている事に気付き、言葉を選びながら、部屋に来た目的を話した
「っ…理由を聞こうか」
ハルスはルーティアの言葉に驚いたが、冷静を装いながら、理由を質問した
「民を守る為にです…この国にはゴル様程の強者は居ません…そんな中、もう一度あの怪物がこの国を襲えば、今度こそ滅びる事になり、民達は逃げる暇もなく死んでしまうでしょう…なら、せめて民が逃げる時間を稼げるよう、少しでも強くなりたいのです!」
ルーティアは、悔しそうにしながら、自身が考えていたことを話し、最後には覚悟を決めた表情でハルスを見た
「っ、(ルーティア…お前!)」
ハルスは、ルーティアが話した内容にも驚いたが、ルーティアが民の事を考え、王族として立派に育っていた事の方が嬉しく、娘の成長に泣きそうになり、涙を堪えるために、上を向いた
「お父様!お願いします!私に民を守れる力を付ける機会を下さい!」
ルーティアは、上を向いたハルスを見て、ハルスが悩んでいると思い、頭を下げてお願いした
「ふぅー…良いだろう!セバス殿が許してくれるなら、行くことを許可する!」
ハルスは、気持ちを落ち着かせる為に、息を吐いた後、ルーティアを見ながら、ハーデス王国に行く許可を出した
「ありがとうございます!直ぐにセバス様に許可を貰ってきます!」
許可を貰ったルーティアは、セバスに頼むために、急いで部屋を出ていった
「あっ!…はぁ~、こんな夜遅く行くなど、王女としてはまだまだだな」
ハルスは、ルーティアを止めようと手を伸ばしたが、凄いスピードで部屋を出ていったせいで、止めることが出来ず、呆れた様子でセバスの下に行くルーティアを見送った
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