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林王の領域
216話 セバスとハンスの覚悟
しおりを挟む「…長老のカイロンは、今直ぐ出てきなさい」
セバスは、悔しそうにしているハンスを横目に、避難しているエルフ達の前まで行き、カイロンを呼び出した
「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」
セバスの言葉を聞いたエルフ達は、不思議そうに顔を見合わせた後、恐る恐るカイロンが居る方を見た
「っ!」
その場にいるエルフ全員に、注目されたカイロンは、冷や汗を流しながら、後ろに後ずさった
「貴方が…ふっ!」
エルフ達の反応を見ていたセバスは、冷や汗を流しているカイロンを見つけ、【魔装】を使い、目にも止まらない速さでカイロンの目の前に移動し、カイロンの喉を掴み持ち上げた
「ぐっ!ごの゙!」
セバスに喉を掴まれ持ち上げられたカイロンは、両手でセバスの腕を掴み、引き剥がそうとした
「…貴方の愚行のせいで、冥王様と林王が!」
セバスは、引き剥がそうとする力に、動ずること無く、カイロンを睨みながら、喉を掴む力を上げ、首を絞め始めた
「や゙め゙…ろ゙、い゙ぎが…」
セバスが首を絞め始めると、カイロンは苦しそうにし始め、徐々にセバスの腕を掴んでいた力が抜けていき、そのまま気絶した
「・・・・・・・・」
「っ!やめろ!」
セバスは、カイロンが気絶した後も、無言で首を締め続けていたが、このままではカイロンの命が危ないと判断したハンスが、セバスを止める為に、セバスの腕目掛けて、剣を振り下ろした
「っ!」
セバスは、振り下ろされた剣に反応し、掴んでいるカイロンを手放し、後ろに一歩下がり、ハンスの剣を躱した
「カイロン長老!大丈夫ですか!」
剣を振り下ろしたハンスは、気絶したまま地面に倒れ込んだカイロンに近づき、身体を揺らしながら大丈夫かと聞いた
「…そこを退きなさい、その者は、私が始末します」
セバスは、ハンスの前まで行き、冷酷な目でカイロンを見ながら、ハンスに退く様に伝えた
「っ、そんな事はさせません!貴方が何処の誰であろうと!私は林王様の配下として!エルフの民を守る義務があるのです!!」
ハンスは、セバスの冷酷な目を見て、一瞬強烈な恐怖を感じたが、カイロンを守る様に、カイロンの前に出て、覚悟を決めた表情でセバスを見ながら、自身の覚悟を話した
「(林王様、良き配下をお持ちになりましたね…ですが!)私は、ハーデス王家に仕える執事筆頭として、ハーデス王家を侮辱した者を、始末する義務があるのです」
ハンスの覚悟を聞いたセバスは、内心ハンスの覚悟に感心しつつ、真剣な表情でハンスを見ながら、自身の覚悟を伝えた
「「・・・・・・・・」」
ハンスとセバスは、お互いの覚悟を感じ取り、一触即発の空気を漂わせながら、お互いを警戒していた
「「・・・・っこれは!?」」
ハンスとセバスが、お互いを警戒していると、突如、膨大な魔力が地中に流れ込み、地面を砂に変え始めた
「っ!冥王様!まさか!あの力を!?」
地面が砂に変わっていくのを見ていたセバスは、冥王が【死(デス)】を使ったことに気付き、慌てて膨大な魔力が流れ込んで来た方向を見た
「これは…いったい」
ハンスは、何が起こっているのか分からず、困惑した表情で、砂になっていく地面を見ていた
「っ!行かなくては!!」
膨大な魔力が流れ込んで来た方向を見ていたセバスは、焦った様子で冥王の下へ向かった
「っ!待て!私も行く!!」
セバスが冥王の下へ向かった後、砂に変わっていく地面を見ていたハンスは、慌ててセバスを追いかけて行った
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