異世界転生漫遊記

しょう

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林王の領域

204話 レイの号泣

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レイが眠るまで、絵画を見続けたセイは、マーサが眠るレイを連れ、音楽室を出ていった後、1人ピアノの練習をしていた

「…う~ん、最低限は弾けてるけど、前世と指の長さが違うせいで、少し音程がずれるな」

ピアノを練習していたセイは、音程の違いに気づき、一度練習を止めて、困った表情で自身の指を見ていた

「あら、私は上手く弾けてたと思うけど」

セイが困った表情で指を見ていると、いつの間にか、音楽室に入って来ていたセナが、セイの後ろから声を掛けた

「っ!母様!いつからそこに!?」

声を掛けられたセイは、驚きの表情を浮かべ、後ろにいるセナの方に振り返った

「セイが練習し始めて直ぐよ」

「嘘だろ…2時間も前から居たのか」

セナに、練習のほぼ最初から居たと、言われたセイは、部屋に有る時計を見て、2時間もの間、セナに気づかなかった事に、ショックを受けた

「それで、セイが今弾いていたのは、いったいどういう曲なの?初めて聞く曲だったけど」

セナは、初めて聴いた曲に、目を輝かせながら、ショックを受けているセイに詰め寄った

「(…この目の輝かせ方、もしかして母様って、レイと同じ芸術好き?)…これは、前世で有名だった曲の1つ、ショパン バラード ト短調 op.23って曲だよ」

目を輝かせているセナを見たセイは、目の輝かせ方が、絵画を見ていたレイに、そっくりだと思いつつ、鍵盤に指をおき練習していた曲を弾きながら答えた

「…ショパン バラード ト短調 op.23…良い曲ね」

セナは、セイが弾くショパン バラード ト短調 op.23を、椅子に座り、目を閉じながら聴き入った

その日は、セイは夜遅くまで練習を続け、セナは、セイが練習を終えるまで、ずっと音楽室に居た


「ふぁ~眠」

翌日の朝、セイは眠たそうにしながら、レイが居る、マーサの部屋に向かっていた

「あら、眠たそうね」

セイが欠伸をしながら歩いていると、寝ているレイを抱っこしたマーサが、正面からやって来た

「昨日あの後、遅くまで練習してたから、結構寝不足なんだよ」

セイは立ち止まり、寝不足の理由をマーサに話した

「そうなの?なら今日は辞めとく?」

寝不足の理由を聞いたマーサは、演奏を辞めておくかセイに聞いた

「いや、風呂に入れば眠気も無くなるだろうし、今日演奏するよ」

マーサに演奏を辞めるか聞かれたセイは、首を振り、今日演奏する事を伝えた

「そう、なら楽しみにしてるわ」

今日演奏すると聞いたマーサは、笑顔を浮かべ、演奏を楽しみにしていると伝えた

「ああ、楽しみにしていてくれ…それより、なんで寝てるレイを連れて歩いてるの?」

セイは、自信がある表情で伝えた後、寝ているレイの頭を撫でながら、レイを連れている理由を聞いた

「それが…」

マーサは、困った表情を浮かべ、レイを連れている理由を話し始めた


~1時間前 マーサの寝室~

「あー!あ゙ー!うぁ゙ー!あ゙ー!」

「ゔ~ん゙…レイ、どうして泣いてるの?」

寝室で寝ていたマーサは、レイの鳴き声で目を覚まし、寝ていたベッドから降り、泣いているレイの下へ近づいた

「あー!うぁー!あ゙ー!」

「ほらレイ、ご飯よ…「あ゙ー!あー!うぁー!あ゙ー!」…あら?おっぱいじゃないの?なら御湿?」

マーサは、泣いているレイを抱え、母乳を飲ませようとしたが、レイは飲もうとせず泣き続け、マーサは御湿だと思い、レイを持ち上げ、御湿の匂いを嗅いだ

「…違うみたいね、ならなんで泣いてるの?」

御湿の匂いを嗅いで、糞尿をしてないのを確認したマーサは、持ち上げているレイを抱っこに変え、泣いているレイの顔を見ながら、首をかしげた

「あー!うぁ゙ー!ぁ゙ー!」

「よしよし…レイ、いったい何が気に食わないの?」

マーサに抱っこされているレイは、しばらくの間泣き続け、マーサは、レイが泣き疲れ眠るまでの間、あやし続けた

「すぅ~すぅ~すぅ~」

「はぁ~、やっと寝てくれたわ」

マーサは、レイが泣き疲れ寝た後、疲れた様子でベッドに腰掛けた

「(なんで泣いてたんだろ)」

ベッドに腰掛けたマーサは、寝ているレイを見ながら、レイが泣いていた理由を考え始めた

「(…いつもは、余り泣かない子なのに…今日に限って、ここまで泣くなんて…ん?今日?…まさか!…寝る前に見ていた絵画が無かったから!?)…はぁ~音楽室に行ってみましょう」

レイが泣いていていた理由に気づいたマーサは、レイを抱っこしたまま立ち上がり、音楽室に向かい始めた




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