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林王の領域
185話 ルージュの母
しおりを挟む「さて、話し合いに戻ろうか」
セイは【魔威】で動けなくなっている5人を見ながら、話しかけた
「「「「「っ!ふざけるな!」」ないで!」」」
動けない5人は、顔だけを起こして、怒りの籠もった目で、セイを睨め付けた
「はぁ~…なぁ?どうして、そんなに怒ってるんだ?」
セイは、5人を見ながら、面倒くさそうに質問した
「貴様が林王様を呼び捨てにしたからだ!」
「そうよ!冥王様の配下のクセに、林王様を呼び捨てにするなど、無礼にも程があるわ!」
最初に木の裏から出て来た男が叫ぶと、直ぐに【土槍】を使った女性も叫んだ
「いや、俺は別に、冥王様の配下じゃないから」
「「「「「…えっ?」」」」」
セイが5人を見ながら言うと、5人は呆気に取られた顔で、首を傾げた
「俺の名は…「ハント!」…ん?」
セイが、名を名乗ろうとすると、槍を持った女性のエルフが、木の上から飛び降り、最初に木の裏から出て来た男を、セイから守る様に槍を構えた
「あれ?お前、ルージュか?」
セイは、降りてきたの顔を見て、ハンター都市メイトのギルドマスターのルージュだと思い、声を掛けた
「っ!誰だ貴様!何故私の娘を知っている!?」
降りてきたエルフは、セイの口から、ルージュの名前が出ると、驚き、セイを警戒しながら【魔装】を使った
「嘘だろ、ルージュの母親なのか?…そっくり過ぎない?」
セイは、ルージュに瓜二つの女性から出た、娘という言葉に、驚きを隠せずにいた
「答えろ!貴様はいったい、ルージュとはどういう関係だ!」
ルージュに瓜二つの女性は、驚いているセイの顔の前に、槍を突き付けながら質問した
「…俺の名はセイ フォン ハーデス、冥王様の子孫だ!よろしく!」
槍を突き付けられたセイは、早口で自己紹介をした
「「「「「「っ!」」」」」」
セイの名前を聞いた6人は、驚いた表情でセイを見た
「…では、貴方様がルージュの手紙にあった、ハーデス王家の生き残りですか?」
ルージュの母は、セイの突き付けている槍を下げながら質問した
「そうだ」
セイは、5人を押さえつけている【魔威】を解いた
「「「「「し、失礼しました!」」」」」
【魔威】が解かれ、動ける様になった5人は、直ぐ様、セイ前で頭を下げた
「気にするな、どうせ、燃え尽きた森と凍りついた森を調べに来たんだろ?」
「「「「「はい!」」」」」
セイの言葉に、5人は頭を上げ返事をした
「そんな時、森の中を人が歩いていたら、怪しむのは当然だ」
「ん?もしや、セイ様が森を燃やし尽くし、凍りつかせた、張本人ですか?」
セイの話の内容を聞いていたルージュの母は、疑問を感じ、セイを冷ややかな目で見ながら質問した
「あっ!」
ルージュだ母の質問に、セイは、しまったという顔を浮かべた
「セイ様…」
「あっはっはっはっはっはっはっ!」
ルージュの母のジト目に、セイは冷や汗をかきならが、誤魔化す為に笑い出した
「はぁ~もういいです」
ルージュの母は、ため息を吐き、手で頭を押さえた
「…では、セイ様は、冥王様から林王様への、言付けを預かっていると?」
その後、ルージュの母は、5人から話を聞き出し、セイの方を向き確認した
「ああ、冥王様は、ある大事な事に、林王や他の魔獣の王達の協力が、必要不可欠だと考えている」
セイは、真剣な表情で話し始めた
「その、ある大事な事とは?」
セイの真剣な表情に、ルージュの母も真剣な表情で聞き返した
「今は言えない、俺が林王本人に、直接言わなくちゃいけない事だ」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」
セイとルージュの母は、2人も無言で相手を見続けた
「…はぁ~分かりました、では里に案内させていただきます」
根負けしたルージュの母は、ため息を付いた後、セイを里に案内し始めた
ルージュの母の後を、5人のエルフとセイは付いて行った
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