異世界転生漫遊記

しょう

文字の大きさ
上 下
172 / 265
トーカス王国

165話 パーティー当日

しおりを挟む


パーティー当日の夕方、セイは全身を黒い布で包んだ姿で、宰相宅の庭から王宮を見ていた

「そろそろだな…」

「セイ様、ご武運を」

「ぐぅ~…ぐぅ~…ぐぅ~」

「ああ、行ってくる【魔装】」

セイの横には、見送りに来たダグラと、一晩中準備の為に動き続け寝ているクロスがいた


セイは弱めの【魔装】を使い、人に気付かれないよう道を使わず、屋敷の屋根や庭を使い、宰相宅から王宮までを走り始めた

向かう途中、屋敷の者が居た時は、木に隠れたり、【魔脚】を使い、人に見られないように移動した


 ※ 【魔脚】とは、【魔技】の中の蹴り技だが、今回セイは走っている途中に地面を力強く蹴る為に使った


誰にもバレず、王宮を囲む城壁の前に着くことが出来たセイは、見回りの兵士に見つからない様、近くの木に登り、城壁を見ていた

「(クロスの調べだと、この位置から城壁を登ると、使用人の宿舎に入れるはず…見回りが来る前にっ!)」

セイは、周りに誰も居ないことを確認してから、【魔脚】と【魔足】を同時に使い、一気に城壁を登った


「(王宮の広間がパーティー会場だから…っ!あそこから入るか!)」

城壁を登ったセイは、【魔脚】と【魔足】を解き、【魔装】を使い、視力を強化しながら、侵入経路を探した

直ぐに侵入経路を見つけたセイは、もう一度【魔脚】と【魔足】を使い、誰にも見つからない速度で、王宮のバルコニーまで進み、人に見つからない様、静かに王宮内に侵入した


「(よし、入れたな…後は気配を消して、パーティー会場に潜入するだけだ)」

王宮に侵入したセイは、人に気付かられる可能性ある【魔技】を解き、気配を消してから、動き始めた



セイが王宮に侵入している頃、王宮の門を通り、公爵家の者達を乗せた馬車が王宮に到着した

それを見ていた人類至上主義の貴族達は、公爵家が全員揃っている事に疑問を感じ、同じ考えの者達と話していた


「おい!どうなっておる!何故公爵家が全員揃っているのだ!」

「まさか、王妃の命を狙った事がバレているのか?」

「いや、バレてはいないはずだ!あの刺客達と我らの繋がりは、調べても解らない様にしてある!」

「だが、公爵家が全員揃っているのは、少し不味くないか?」

「うむ、今回のパーティーでは、一応大人しくしていた方が良いだろう」

「そうだな…」

人類至上主義の貴族達は、公爵達に見つからない様、そそくさと王宮に入って行った


人類至上主義の貴族が話している時、人類至上主義を嫌っている貴族達も、公爵家が全員揃っているのを不安に思い、仲の良い貴族と話し合っていた

「まさか、公爵家が全員で来るとは…」

「公爵様達は絶対に揃ってパーティーに出ることはしなかった筈だ、それが揃ってパーティーに来たのだ、私は嫌な予感がする」

「うむ、この度のパーティーは、無事で終わらぬかもしれんな」

「そうじゃな、この度のパーティー、下手すれば内乱に発展する可能性があるのぉ」

「「「「「っ!」」」」」

その場に居た、1番年長の貴族の言葉に、周りに居た貴族は、一斉に顔色が悪くなった

「お主達は、何が起きても直ぐ動けるよう、パーティーの間は、公爵家と王家に注意しておくと良いぞ」

「そうですな、この度のパーティー、何が起きても不思議じゃありません」

人類至上主義を嫌う貴族達は、まるで戦場に行くかのように、覚悟を決めて王宮に入って行った


公爵達は、その様子を馬車の中から見ていた

~ディカン家~

「ふっ、アナベル、アルフェス見てみろ、人類至上主義などと、ふざけたことを言っている者達が、慌てて王宮に入って行くぞ」

「公爵家が揃うだけで、みっともなく慌ててる…そんなに私達からの報復が怖いですかね?」

「ふふ、それは怖いでしょ、彼らは裏でしか動かないから、表に引っ張り出されるのを、何より恐れているのよ」

「なら、表に引っ張り出してあげないと」

「そうだな、今日にでも引っ張り出してやろう」

「ふふ、そうね」

ディカン家の3人は、人類至上主義の貴族を、獲物を見る目で見ながら話していた


~ローパ家~

「デニス、お前役割は分かっているな?」

「分かってるよ、俺は人類至上主義を嫌う貴族を護ればいいんでしょ?」

「そうだ、人類至上主義を嫌う貴族の殆どは、この国には必要な人材だ、くれぐれも護り損ねるなどないようにな」

「そんなに言われなくとも分かってるよ、いざとなったら【魔技】を使って護るから安心してくれ」

「では頼んだぞ」

ディランとデニスは、人類至上主義を嫌う貴族を見ながら、明日からの国について考えていた

リルカサ家、トルティ家の4人も、人類至上主義の貴族と、人類至上主義を嫌う貴族見て、似た様な事を親子で話していた






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚  ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。  しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。  なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!  このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。  なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。  自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!  本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。  しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。  本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。  本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。  思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!  ざまぁフラグなんて知りません!  これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。 ・本来の主人公は荷物持ち ・主人公は追放する側の勇者に転生 ・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です ・パーティー追放ものの逆側の話 ※カクヨム、ハーメルンにて掲載

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族(ハーレム)を増やす〜

北条氏成
ファンタジー
一度目の世界を救って、二度目の異世界にやってきた主人公は全能力を引き継いで吸血鬼へと転生した。 この物語は魔王によって人間との混血のハーフと呼ばれる者達が能力を失った世界で、最強種の吸血鬼が眷族を増やす少しエッチな小説です。 ※物語上、日常で消費する魔力の補給が必要になる為、『魔力の補給(少しエッチな)』話を挟みます。嫌な方は飛ばしても問題はないかと思いますので更新をお待ち下さい。※    カクヨムで3日で修正という無理難題を突き付けられたので、今後は切り替えてこちらで投稿していきます!カクヨムで読んで頂いてくれていた読者の方々には大変申し訳ありません!! *毎日投稿実施中!投稿時間は夜11時~12時頃です。* ※本作は眷族の儀式と魔力の補給というストーリー上で不可欠な要素が発生します。性描写が苦手な方は注意(魔力の補給が含まれます)を読まないで下さい。また、ギリギリを攻めている為、BAN対策で必然的に同じ描写が多くなります。描写が単調だよ? 足りないよ?という場合は想像力で補って下さい。できる限り毎日更新する為、話数を切って千文字程度で更新します。※ 表紙はAIで作成しました。ヒロインのリアラのイメージです。ちょっと過激な感じなので、運営から言われたら消します!

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

処理中です...