156 / 273
トーカス王国
149話 クロスへの懸念
しおりを挟む「クロス!止まれ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁ」
「止まれって言ってるだろ!」
ゴン「痛い!」
漏らした恥ずかしさの余り、走り出してしまったクロスを、セイは何度も声を掛けて止めようとしたが、一向に止まる気配が無かったので、セイは頭を殴って止めた
「はぁ、お前なぁ、その格好で王都に入るつもりか?」
「もう格好なんてどうでもいい、なんか俺、セイさんに会ってから、恥ばかり掻いてる気がする」
セイに殴られ止まったクロスは、そのまま膝を抱えて座り込んだ
「ん~確かにそうだな、山賊として襲ったら返り討ちに遭って、急ぐ為におんぶしたら吐いてしまって、宰相の話を勘違いして殺される覚悟を決めて、トドメに恐怖で漏らした。良いとこ無しだな」
「うっ、改めてセイさんの口から言われると、かなりの失態だらけしゃねぇか」
「まぁ、それはそうだが」
「なんで俺ばっかりが、恥かかなきゃいけねぇんだよ」
「(すげぇ落ち込んでるな、これなんて言って励ませばいいんだ?)えっと、まぁ、そういう運命だったと諦めるしかないな」
「ふざけるな!諦められるか!こんな屈辱を味わうぐらいだったら、死んでいた方がマシだった!うっ…うぅっ」
(げっ!マジか、泣かれたら、余計にどうすればいいか、分かんないんだけど)
クロスは、膝を抱えて座ったまま泣き始めてしまい、セイは、どうすればいいか分からず、少しウロウロしたが、結局クロスが泣き止むまで、見守る事しか出来なかった
「すまねぇ、もう大丈夫だ」
「っ!本当か?(こいつ、かなり情緒不安定だな、使える奴だと思ったけど、下手すれば足を引っ張る可能性があるな)」
泣き止んだクロスは、いきなり冷静になり、立ち上がりながらセイに謝った
いきなり冷静になったクロスを見たセイは、クロスが、精神的に可怪しくなっていると感じ、少しの不安を感じた
「ああ、もう大丈夫だ、さっさと服を洗って王都に行こうぜ」
「分かった、なら急ごう」
「おう!」
(やっぱりクロスは、何処か精神が壊れてるな…)
クロスとセイは、近くの川に向かった。川に着くなり、クロスは服を全部脱ぎ洗い始めた。クロスが服を洗っている間、セイは近くの木の下で、これからの事を考えていた
(クロスを作戦に入れるのは、止めといた方がいいだろが、ヒナイト達が王都に来るまでに、王家の力を出来るだけ減らすには、宰相に会うのは絶対に必要な事だし、その為には、クロスが居ると居ないじゃ、難易度がかなり変わるんだよね)
「マジでどうしよう…」
「おーい!セイさん!」
セイが悩んでいると、服を洗い終わったクロスが、濡れた服を来て、セイの下までやって来た
「服を洗うのは終わったか?」
「ああ!洗い終わったぞ!」
「なら、さっさと王都に向うか」
「おう!分かった!」
セイとクロスは王都に続く道に戻り、王都に向かって歩き始めた。暫くすると、王都の門前の列に並ぶことが出来、余り並んでいる人が少なかった為、セイとクロスは直ぐに門番に呼ばれた。
「次!来い!」
「呼ばれたな」
門番に呼ばれたセイとクロスは、門番の下に向かった
「身分証を見せろ」
「「はい」」
「どれ・・・・お前、他国から何をしに来たんだ?」
「俺は世界中を旅しているハンターだ、この国に来たから、一応王都にも行こうと思ってな」
「なるほど、なら元文官のお前は、何をしに王都に来た?」
「文官時代の友人に会いに来た」
「ふむ…では最後に、何故他国のハンターと元文官が一緒にいる?」
「それは、この元文官のクロスが、腹をすかせて倒れていたのを見つけた俺が助けたからだ」
「そうなのか?」
「ああ、飯を奢ってもらった代わりに、王都を案内しようかと思って、一緒に来たんだよ」
「なるほどな、よし、王都に入るのを許可する」
「「ありがとう」」
セイとクロスは、門番に少し怪しまれながらも、王都に入る事に成功した
288
お気に入りに追加
1,260
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが
米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。
その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。
更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。
果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!?
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
異世界災派 ~1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す~
ス々月帶爲
ファンタジー
元号が令和となり一年。自衛隊に数々の災難が、襲い掛かっていた。
対戦闘機訓練の為、東北沖を飛行していた航空自衛隊のF-35A戦闘機が何の前触れもなく消失。そのF-35Aを捜索していた海上自衛隊護衛艦のありあけも、同じく捜索活動を行っていた、いずも型護衛艦2番艦かがの目の前で消えた。約一週間後、厄災は東北沖だけにとどまらなかった事を知らされた。陸上自衛隊の車両を積載しアメリカ合衆国に向かっていたC-2が津軽海峡上空で消失したのだ。
これまでの損失を計ると、1514億4000万円。過去に類をみない、恐ろしい損害を負った防衛省・自衛隊。
防衛省は、対策本部を設置し陸上自衛隊の東部方面隊、陸上総隊より選抜された部隊で混成団を編成。
損失を取り返すため、何より一緒に消えてしまった自衛官を見つけ出す為、混成団を災害派遣する決定を下したのだった。
派遣を任されたのは、陸上自衛隊のプロフェッショナル集団、陸上総隊の隷下に入る中央即応連隊。彼等は、国際平和協力活動等に尽力する為、先遣部隊等として主力部隊到着迄活動基盤を準備する事等を主任務とし、日々訓練に励んでいる。
其の第一中隊長を任されているのは、暗い過去を持つ新渡戸愛桜。彼女は、この派遣に於て、指揮官としての特殊な苦悩を味い、高みを目指す。
海上自衛隊版、出しました
→https://ncode.syosetu.com/n3744fn/
※作中で、F-35A ライトニングⅡが墜落したことを示唆する表現がございます。ですが、実際に墜落した時より前に書かれた表現ということをご理解いただければ幸いです。捜索が打ち切りとなったことにつきまして、本心から残念に思います。搭乗員の方、戦闘機にご冥福をお祈り申し上げます。
「小説家になろう」に於ても投稿させて頂いております。
→https://ncode.syosetu.com/n3570fj/
「カクヨム」に於ても投稿させて頂いております。
→https://kakuyomu.jp/works/1177354054889229369
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
死んでないのに異世界に転生させられた
三日月コウヤ
ファンタジー
今村大河(いまむらたいが)は中学3年生になった日に神から丁寧な説明とチート能力を貰う…事はなく勝手な神の個人的な事情に巻き込まれて異世界へと行く羽目になった。しかし転生されて早々に死にかけて、与えられたスキルによっても苦労させられるのであった。
なんでも出来るスキル(確定で出来るとは言ってない)
*冒険者になるまでと本格的に冒険者活動を始めるまで、メインヒロインの登場などが結構後の方になります。それら含めて全体的にストーリーの進行速度がかなり遅いですがご了承ください。
*カクヨム、アルファポリスでも投降しております
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる