107 / 275
冥王の領域
101話 受け継ぐ覚悟
しおりを挟む都市ロイの門の前に着いたセイ達は、セバスが用意した儀装馬車を見て絶句していた
「こちらが、ハーデス王家専用儀装馬車です」
「…俺、これに乗るの?」
「…王家の務めよ、諦めなさい」
「はぁ、馬車に乗る前から疲れてきたんだけど」
「それと衣装も、ご用意させていただきました」
「「えっ!」」
セバスが取り出した衣装は、黒の礼服に紅いのマントと紅いドレスだった
セイの衣装
黒の礼服はボタンや装飾には金色が使われており、紅いマントには黒色と金色で刺繍が施されていた
セナの衣装
紅いドレスに金色と黒色の刺繍が施されている
「全部に赤色、黒色、金色が使われてるわね」
「そうだね、この3色って何か意味があるの?」
「もちろんです、ハーデス家の血筋は黒髪に赤色の目を持って産まれてきます、金色は頂点と高貴の意味があり、この3色が昔からハーデス家の象徴の色なのです」
「つまり、民達の前に、ハーデス王家の象徴の服を着て、その姿を見せてやってくれってことだよね」
「そうね、ハーデス家の一族は滅びてないって、民に教えてあげたいのね」
「そうです、民達は冥王様がハーデス家最後の1人だと、ずっと思っていましたから、いきなりセイ様とセナ様が、ハーデス家の一族だと言われ困惑しているのです」
「でも、俺と母様は、それぞれハーデス家の証を持ってるから、衣装を着なくても子孫って分かるよね?」
「分かるとは思います、ですが…」
「ですが、少し分かり辛い?」
「はい、首飾りと魔剣を、見分ける事ができる民は少ないのです、そこでセイ様とセナ様には、王家の象徴の衣装を着て、魔剣ハーデスと首飾りに魔力を流した姿を、民に見せてほしいのです」
「「…そういう理由なら分かった」わ」
セイとセナは、人に見られないように、自分達の馬車で着替えをした
着替え終わった2人は、馬車から出て来た
馬車から出てきたセイには、気品と強さ、覇気が感じられ、セナからは優雅さと優しさを感じることが出来た
その姿を見たセバスと護衛達は、まだ人間だった頃に見た、冥王と今は亡きルイを重ね、静かに涙を流した
サラ達は、普段とは違う2人の姿に、驚きと感動を覚えていた
2人は、そのまま儀装馬車に乗り、これを見たセバスが、門を開ける指示を出した
セバスの指示で護衛達が、ゆっくり門を開け始めた
門が開いた先には、馬車が通る道以外は、全て魔獣達がおり、その中をセイ達は馬車で通り始めた
セイとセナは、それぞれが、魔剣ハーデスと首飾りに魔力を流しながら、それを魔獣達に見せて行った
その姿を見た魔獣達は、心からハーデス家が帰って来た事を理解し、歓声を上げた
セイとセナは、その姿を見て、自分達がハーデス家として背負う物の重さを理解した
「(これが歴代のハーデス王国国王が積み上げた信頼と尊敬、これを護り、次に引き継がなくちゃいけないんだな)」
「(民に、ここまで愛され続ける為に、努力した、歴代国王達に尊敬と畏怖を覚えるわ)」
「「(先祖達の偉大さがよく分かった)」」
「「(先祖達が努力して築いた王国を受け継ぐ為に、俺(私)も努力し続けなきゃいけない!)」」
セイとセナは、先祖達が残した国を受け継ぐ為の覚悟を固めた
城に付くまで、魔獣達の歓声が鳴り止むことはなく、その日は夜遅くまで祭が行われた
140
お気に入りに追加
1,262
あなたにおすすめの小説
異世界転生 転生後は自由気ままに〜
猫ダイスキー
ファンタジー
ある日通勤途中に車を運転していた青野 仁志(あおの ひとし)は居眠り運転のトラックに後ろから追突されて死んでしまった。
しかし目を覚ますと自称神様やらに出会い、異世界に転生をすることになってしまう。
これは異世界転生をしたが特に特別なスキルを貰うでも無く、主人公が自由気ままに自分がしたいことをするだけの物語である。
小説家になろうで少し加筆修正などをしたものを載せています。
更新はアルファポリスより遅いです。
ご了承ください。
死んでないのに異世界に転生させられた
三日月コウヤ
ファンタジー
今村大河(いまむらたいが)は中学3年生になった日に神から丁寧な説明とチート能力を貰う…事はなく勝手な神の個人的な事情に巻き込まれて異世界へと行く羽目になった。しかし転生されて早々に死にかけて、与えられたスキルによっても苦労させられるのであった。
なんでも出来るスキル(確定で出来るとは言ってない)
*冒険者になるまでと本格的に冒険者活動を始めるまで、メインヒロインの登場などが結構後の方になります。それら含めて全体的にストーリーの進行速度がかなり遅いですがご了承ください。
*カクヨム、アルファポリスでも投降しております
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
黒の皇子と七人の嫁
野良ねこ
ファンタジー
世界で唯一、魔法を使うことのできない少年レイシュア・ハーキースは故郷である『フォルテア村を豊かにする』ことを目標に幼馴染のアル、リリィと共に村を出て冒険者の道を進み始めます。
紡がれる運命に導かれ、かつて剣聖と呼ばれた男の元に弟子入りする三人。
五年間の修行を経て人並み以上の力を手にしたまでは順風満帆であったのだが、回り続ける運命の輪はゆっくりと加速して行きます。
人間に紛れて生きる獣人、社会転覆を狙い暗躍する魔族、レイシュアの元に集まる乙女達。
彼に課せられた運命とはいったい……
これは一人の少年が世界を変えゆく物語、彼の心と身体がゆっくりと成長してゆく様を見届けてあげてください。
・転生、転移物でもなければザマァもありません。100万字超えの長編ですが、よろしければお付き合いください。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
見よう見まねで生産チート
立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します)
ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。
神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。
もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ
楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。
※基本的に主人公視点で進んでいきます。
※趣味作品ですので不定期投稿となります。
コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる