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ハンター生活
61話 母と話し合う
しおりを挟むセイは、懸賞金を受け取り家に帰った
「ただいま~」
「「おかえりなさい」」
「あれ?シスターと母様だけ?」
「ええ、マイカとサラちゃんは庭で稽古を、サーシャは買い物に行ったわ」
「ふ~ん、そうなんだ」
「それで懸賞金はいくらだったの?」
「金貨3000枚だった」
「金貨3000枚…」
「あら、マーサちゃん固まっちゃたわ」
「シスターは、金貨10枚でも大金扱いするからね」
「教会の給料ってそんなに安かったかしら」
「詳しくは知らないけど、領主が教会の給料を決めているから、俺達が育った町の領主は安くしてたんだよ」
「でも、最低月に金貨30枚は、教会に払わなくちゃいけないはずよ」
「えっ…」
「なら、領主が横領してたんだよ」
「絶対にそうね」
「そんな…」
「まあ、旅の途中で町に寄ろうと思ってるから、その時に領主を殴ればいいよ」
「あら、その前に王都の教会に密告しとけばいいのよ」
「そうだね、そしたら領主が国から罰則をくらうから」
「なら私、今すぐ教会に行ってきます!」
マーサはそう言うと、教会に走って行ってしまった
「ふふ、マーサちゃんかなり怒ってたわね」
「そりゃそうでしょ、シスターの給料金貨10枚もなかったもん」
「どれだけ横領してたのかしら」
「さぁ?でも孤児が居る場合はその分支援金が出た筈なのに、出てなかったんだから、月金貨50枚は確実だね」
「あら、セイは知っていたの?」
「町にいた時から知ってたよ」
「なんで教えてあげなかったの?」
「いや、遠回しに教えてたんだけど、全く気づいてくれなくて」
「マーサちゃんは純粋だから」
「純粋過ぎるけどね」
「そうね、でもその純粋な心がシスターとして、1番大切よ」
「そうだね、だからシスターは治す魔法を使えるように、なったんだと思うから」
「ふふ、そうね」
「それでセイは、いつ旅に出る気なの?」
「レッドベアの素材の代金を貰ったら、旅に出ようと思ってる」
「あら、かなり急ね、なら準備しなくちゃいけないわね」
「今回の懸賞金で、旅の資金は溜まったから、旅をしながら魔物狩りを余りしなくてよくなったし、もう王都にいる理由がなくなったからね」
「ふふ、セイは優しいわね」
「いきなりどうしたの?」
「マイカから聞いたわ、あの人に伝言を伝えるように頼んだのね」
「まあね、母様に許す気があったから放置してたけど、もう放置する必要ないかなって思ったから」
「そうね、私は充分に待ってあげた、でもあの人は変わらなかった」
「あの人は王として、まあギリ名君だけど、人として親として夫としては落第生になってたからね」
「そうね、王太子になる前は、まだ人としてしっかりしていたのにね」
「多分だけど王太子になったから、国の為に民の為にって思ったんだろうけど、最も大事な愛する者の為にが抜けていたのが、駄目だったんだよ」
「ふふ、セイはよくわかってるわね、愛する者の為に働けない人が、民の為に働ける訳ないのにね」
「そうだよ、どちらも本質は人の為に働くことなのに、それが分かってないからギリ名君なんだよ」
「セイは、いい王になれそうね」
「嫌だよ、王とかこの世で1番不幸な仕事でしょ」
「そうね、寝る間も惜しんで働かなきゃいけないもの」
「絶対に嫌だね、俺は自分の心に従って生きていきたいから」
「セイはそうよね、だからよく物事の本質を見抜ける、心に余裕がない人は、見抜くことができない」
「母様も、王妃の時からわかってたんでしょ?」
「分かってはいたけど、教えることはできなかったわ、自分で気づかないと意味のないことだもの」
「そうだね、特に国王なら王太子の時に気付くべきことだね」
「ふふ、そうよね」
セイとセナは、2人で夜遅くまで話し合いをし続けた
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