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第三章 画策する者たち
34、さて、どれだけ暴れてやろうか
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その日の授業終了後、学園長と教師たちには魔法の練習場に集まってもらった。暴れるなら、ここが最適だ。
「シェリル王女、これで全員揃いました。それで話というのはどういったものでしょうか?」
「……貴方たちは召喚魔法というものをご存知ですか?」
「召喚……魔法?」
「そんなのは聞いたことないな……」
「エルフの王女様が言うのだから、何かの属性じゃないのか?」
「いや、そんなわけないだろう。属性は解明されてるはずだ」
教師たちはザワザワと話しているだけで、一向に返事が返ってこない。
「これが召喚魔法です。レオ、お願い」
シェリル様の指示で召喚魔法を使う。そうだな、せっかくだからあの時と同じにしてやろうか。
【イグニス】
燃えさかる炎をまといながら、炎獄王イグニスが姿をあらわした。
『うげっ! レオ、大丈夫?』
イグニスが以前の事を思い出して心配してくれて、心が温かくなる。俺は穏やかに微笑んで答た。
「問題ないよ」
「あ……あれは!」
「学園長! あの時の悪霊です!」
「そんなバカな! あれは魔法ではなく悪霊だろ!?」
「あの恐ろしいものが魔法だって!? ありえない!!」
「……先生方は何を根拠に悪霊とおっしゃているのですか?」
シルヴァンス王子の、低く冷たい声が練習場に通る。教師たちはピタリと話すのを止めた。
「私も先日聞いたばかりですが、これは魔法の一種です。悪霊だとわめく時点で、己の無知をさらしていると気づきませんか?」
「だが、あの生徒は魔法が使えない呪われた存在だぞ!?」
「魔法の適性なんてなかったんだ!」
「そうだ! 適性がないのだから魔法ではなく悪霊だろう!?」
今度はシェリル様が突き刺すような覇気を放って、教師たちを黙らせる。
「適性? それなら、私も貴方たちが使うような魔法は使えません。精霊魔法の適性しかありませんから」
「なっ! そんな、バカな!」
「だってエルフ様だろ? 魔法が使えないのか……?」
「いや、エルフの一族は精霊魔法が使えるから……」
教師たちの声音はショボショボと小さくなって、最後の方はよく聞こえなかった。
「それではこうしましょうか。あれが悪霊だというのなら、先生方で退治してください」
それはもういい笑顔でシルヴァンス王子がいい放つ。さては、ずっと俺にけし掛けたくてウズウズしてたな。教師たちも絶句してるじゃないか。
「悪霊なら危険ですよね? シェリル様を危険から守り目を覚まさせたとなれば、きっと父からも褒賞がでることでしょう」
褒賞という言葉に、学園長をはじめとした教師たちの目の色が変わる。エルフの王女様を救った褒賞となれば、それなりのものだろう。それぞれが己の欲しいものを思い浮かべていた。欲にまみれた顔は醜いものだ。
「よかろう、では我々が責任もって悪霊を退治しようではないか」
「さすが学園長、素晴らしい決断力ですね。ですが、もし退治できなかった時は……彼が召喚魔法を使っているということになります」
「なっ!? 何故そうなるのですか!?」
「シェリル王女から、召喚魔法は精霊魔法と同じくらい強力であると聞きました。ですから、もし先生方の魔法でも退治できなければ、強力な召喚魔法だということになります。まぁ、問題ないですよね?」
「う……うむ、問題ない。よいな、全員であの悪霊を倒すのだ!」
「「「はい!」」」
これで準備は整った。さて、どれだけ暴れてやろうか。
「シェリル王女、これで全員揃いました。それで話というのはどういったものでしょうか?」
「……貴方たちは召喚魔法というものをご存知ですか?」
「召喚……魔法?」
「そんなのは聞いたことないな……」
「エルフの王女様が言うのだから、何かの属性じゃないのか?」
「いや、そんなわけないだろう。属性は解明されてるはずだ」
教師たちはザワザワと話しているだけで、一向に返事が返ってこない。
「これが召喚魔法です。レオ、お願い」
シェリル様の指示で召喚魔法を使う。そうだな、せっかくだからあの時と同じにしてやろうか。
【イグニス】
燃えさかる炎をまといながら、炎獄王イグニスが姿をあらわした。
『うげっ! レオ、大丈夫?』
イグニスが以前の事を思い出して心配してくれて、心が温かくなる。俺は穏やかに微笑んで答た。
「問題ないよ」
「あ……あれは!」
「学園長! あの時の悪霊です!」
「そんなバカな! あれは魔法ではなく悪霊だろ!?」
「あの恐ろしいものが魔法だって!? ありえない!!」
「……先生方は何を根拠に悪霊とおっしゃているのですか?」
シルヴァンス王子の、低く冷たい声が練習場に通る。教師たちはピタリと話すのを止めた。
「私も先日聞いたばかりですが、これは魔法の一種です。悪霊だとわめく時点で、己の無知をさらしていると気づきませんか?」
「だが、あの生徒は魔法が使えない呪われた存在だぞ!?」
「魔法の適性なんてなかったんだ!」
「そうだ! 適性がないのだから魔法ではなく悪霊だろう!?」
今度はシェリル様が突き刺すような覇気を放って、教師たちを黙らせる。
「適性? それなら、私も貴方たちが使うような魔法は使えません。精霊魔法の適性しかありませんから」
「なっ! そんな、バカな!」
「だってエルフ様だろ? 魔法が使えないのか……?」
「いや、エルフの一族は精霊魔法が使えるから……」
教師たちの声音はショボショボと小さくなって、最後の方はよく聞こえなかった。
「それではこうしましょうか。あれが悪霊だというのなら、先生方で退治してください」
それはもういい笑顔でシルヴァンス王子がいい放つ。さては、ずっと俺にけし掛けたくてウズウズしてたな。教師たちも絶句してるじゃないか。
「悪霊なら危険ですよね? シェリル様を危険から守り目を覚まさせたとなれば、きっと父からも褒賞がでることでしょう」
褒賞という言葉に、学園長をはじめとした教師たちの目の色が変わる。エルフの王女様を救った褒賞となれば、それなりのものだろう。それぞれが己の欲しいものを思い浮かべていた。欲にまみれた顔は醜いものだ。
「よかろう、では我々が責任もって悪霊を退治しようではないか」
「さすが学園長、素晴らしい決断力ですね。ですが、もし退治できなかった時は……彼が召喚魔法を使っているということになります」
「なっ!? 何故そうなるのですか!?」
「シェリル王女から、召喚魔法は精霊魔法と同じくらい強力であると聞きました。ですから、もし先生方の魔法でも退治できなければ、強力な召喚魔法だということになります。まぁ、問題ないですよね?」
「う……うむ、問題ない。よいな、全員であの悪霊を倒すのだ!」
「「「はい!」」」
これで準備は整った。さて、どれだけ暴れてやろうか。
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