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23話 ライオネル様のラブラブバカップル作戦が強烈ですわ!!①
しおりを挟むその日もいつものように教室に入り、席についてライオネル様から甘い視線を向けられていた。
ところが、いつもは遠巻きに見ていた女生徒が三人で近づいてきて、顔を真っ赤にしながら声をかけてきたのだ。
「ライオネル様、少しハーミリア様とお話をさせていただけませんか?」
「ハーミリアと? いったいどのような用件だ?」
「そ、それは、女子同士でいろいろと聞きたいことがございますので……」
「まあ! 嬉しいわ! ぜひお願いいたします!」
親しい友人のいないわたくしに声をかけてもらえたのが嬉しくて、食い気味で返事をしてしまった。前のクラスでは唯一シルビア様が声をかけてくれたけど、とても和やかとは言い難い空気だったからわたくしは初めて友人ができるかもと期待した。
場所を変えたいというので、始業まで時間があるし教室を出ようと立ち上がると、袖口をクイッと引かれる。
「ハーミリア、僕のそばから離れてほしくない」
ライオネル様のアイスブルーの瞳が不安げに揺れていた。今まではクラスも違ったのに、愛しい婚約者様はすがるような視線を向けてくる。
「ふふっ、ライオネル様のお気持ちは本当に嬉しいですわ。でもクラスメイトとほんの少しお話ししてくるだけですわ」
「……そう、だな。すまない。ハーミリアを独り占めしすぎたみたいだ」
「そのかわり、ランチタイムはふたりっきりになれる場所にいきましょう」
こっそりと囁いたわたくしの言葉にふわりと微笑んだライオネル様は、クラス中を陶然とさせた。
わたくしはクラスメイトの女生徒たちと、階段の踊り場までやってきた。なにか他の人たちに訊かれたくない話なのだろうか?
わたくしを取り囲むように立って、三人が次々と口を開く。
「ねえ、貴女いつまでライオネル様の婚約者でいるつもりなの?」
「そうよ、わざわざクラスまで変えて、ずっとライオネル様にべったりじゃない」
「ライオネル様にはマリアン王女様くらいのお方でないと釣り合わないのよ、わからないの?」
な……なんてこと! このクラスにもこんな逸材がいたのね!
あんな大勢の前で声をかけてきて、わたくし本人に直接意見を言ってくる強者はなかなかいらっしゃらないわ!
「あの、皆さまはライオネル様のファンクラブの会員なのですか?」
「はあ?」
「なによ、そんなの入ってないわよ」
「ねえ、ライオネル様のファンクラブってなによ?」
なんと、ファンクラブの会員でもないのにこの熱い行動ですの!? これは、家門の事情を調べて問題なければライオネル様にご紹介しなければっ!
「かしこまりましたわ、わたくしが責任持ってご案内いたします。こちらですわ」
そうしてわたくしはつい先日まで在籍していた教室までやってきた。目的の人物は美しい水色の巻き髪の女生徒である。
「え? ハーミリアさん? 貴女、クラスが変わったのではなくて?」
「シルビア様。実はご紹介したいご令嬢たちがいらっしゃいますの」
そうしてわたくしはシルビア様に心強い味方になるであろうご令嬢たちの、ライオネル様ファンクラブ入会の案内を託したのだ。
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