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2話 一方通行だったと理解しました
しおりを挟む…………ずっと、8年も尽くしてきてこれか?
こんな扱いされるために、オレは我慢し続けたのか?
そもそも、5年前に最初に全てミリオンに打ち明けたはずだ。オレは伝説の魔獣王、リュカオンと魔法で融合したと。
それをミリオンがハナから信じてくれなかったから、今まで通りサポートに回るしかないって割り切ってたんだ。
最終的に魔獣を倒せればよかったし、みんなが喜んでくれるならと思って、いろいろやってきたのに……!!
オレの一方通行だったんだ————
「……わかった。確認だけど」
「あぁ? お前に分けてやるものは、何もねぇぞ」
ミリオンがもう用はないといいたげな視線を、オレに向けた。
「いや、何もいらない。ただ、今までオレが作ってた回復薬は、他では手に入らないけどいいんだな?」
これは融合魔法しか使えないオレがなんとかより効果が出ないかと、6年前に作り上げたリジェネ効果のある回復薬だ。意外と便利なんだけどレシピはオレしか知らない。
「はぁ? 回復薬なんて薬屋で売ってるじゃない! 何いってんの? バカなの?」
そうか、いらないんだな。じゃぁ、レシピを伝える必要ないな。
「それからトレット。攻撃の時にもっと体重乗せないとダメージ与えられないぞ。次からは気をつけろよ」
トレットは攻撃のインパクトが弱いから、いつもオレもタイミングを合わせて魔獣王の力を使ってたんだ。
「何いってんだ? いつもちゃんと倒してんだろ!? バカなこといってんじゃねぇ!」
一応、忠告はしたからな。
「サウザンは初手が遅れがちだから、攻撃を受けないように……」
「チッ! お前に忠告されなくとも問題ない!」
そうか、一発目の攻撃をくらわないように、魔獣の足止めしてたけど、大丈夫なんだな。
「ミリオ————」
「もういいから! さっさと行けよ!」
そんなにオレと組むのが嫌だったのか……。
心の深いところにミリオンの言葉がグッサリと突き刺さる。でも、それと同時に湧き上がるってくる感情もあった。
アホくさ。
本当にアホくさ。
なんか、急激にどうでも良くなってきたわ。
オレは何に恩義を感じて、ここまで尽くしてたんだろう?
「わかった。それなら、もういいや。もう遠慮はしない」
「何強がりいってんのよ!」
「ヘッ!どうせハッタリだろ!!」
「魔力ないくせに何ができるんだよ!」
「カイト! もうその辛気臭い顔を見せんなよ!」
「…………今まで、世話になった」
それだけ最後に告げて、オレはパーティーから去った。
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