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EP01 Remember
Remember(2)
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今俺たちが目指している場所は、駅から数分歩いた距離にある三階建てくらいのショッピングモールである。ここは、映画館、飲食店、雑貨店、専門店等様々な店舗が集まっているため、時間を潰すのにはもってこいの場所だ。
アイリスとそのショッピングモールに入ってすぐに、彼女が雑貨店らしき店を見つけた。
「宗助、あのお店に入ってみない?」
「雑貨店か? まあ良いけど、何か買うものがあるのか?」
「最近、日用雑貨にハマっててね」
「だったら入ってみるか」
「うん!!」
その雑貨店に入ってみると、日用雑貨が多く並んでいたがそれ以外にもちょっとしたアクセサリーも商品として並んでいた。
「ネックレスとかブレスレットみたいなものも置いてあるんだな」
「雑貨店としてはそんなに珍しくないと思うよ」
「あっ、これ!! この腕輪とかどうかな?」
アイリスがシルバーの腕輪を取り、目を輝かせながらそう言った。
その腕輪は、シルバーを基調としたデザインであり、高級感が漂わせている。
特に模様などはなく、シンプルで落ち着きのある品物となっている。
「そうだな、似合うと思うよ」
俺がそう言うと、アイリスは恥ずかしそうに下を向いた。
「えへへ、ありがとう。でも、どうせならペアで買わない?」
「何か共通のものがあるとより仲が良くなると思うし……なんてね」
「そうだな、今日の記念にもなるしな」
「そうだね。じゃあ、私これ買ってくるね!!」
少ししてレジから戻ってきたアイリスは、俺にシルバーの腕輪を渡してくれた。
「いくらだった?」
「宗助は気にしなくていいよ」
「いや、そういわれても困る」
いや、俺は気にする。さすがに買ってもらうのは申し訳ない。
「今回は私から誘ったことだし、これはそのお礼ということで」
確かにそれはそうだが、お礼を受けるものではない。それを言うなら俺からも、誘ってくれたアイリスにお礼をしたいくらいだ。
「それなら、俺がアイリスの腕輪を買う。俺の腕輪はアイリスが買う。そういうことにしないか?」
これなら、お互い気にせず買うことができるだろう。
「そういうことなら……宗助考えたね」
そう答えたアイリスは、一瞬何か考えるような仕草をしていた。
「せっかくだし、今腕輪はめない?」
少し恥ずかしそうなその言葉に俺も少し恥ずかしくなった。
一瞬悩んだが、アイリスも勇気を出して言ってくれたその言葉に俺は肯定することにした。
お互いペアの腕輪をはめた後もアイリスの買い物に付き合っていると「もうそろそろだね」と彼女が言ったので腕時計を見ると映画上映時間の三十分前だった。
「映画館ってどこだっけ?」
「ああ、確か三階だったはずだな」
「よし、それじゃ行こうか」
映画館に入ると、横にいたアイリスは俺の前に出た。
「今から映画のチケット買ってくるから待ってて」
「いや、俺が買ってくるぞ。何の映画見るんだ?」
「宗助は待ってていいよ。それじゃあサプライズにならないから」
「まあ、そういうならいいが」
「じゃあ、宗助はポップコーンと飲み物買ってきて!!」
「わかった」
そう言うと、アイリスは小走りで受付へと向かった。
いったいどんな映画を見せるのか。アイリスのことだからラブストーリーか。
いや、それともこのかわ良いアニメ系か。ホラーは苦手そうだから、これは違うよな。
今はいろんな映画が放映しているから、なかなか絞り込めないな。
そうこうしているうちに、アイリスがチケットを持ってきた。俺も買うものは買った。
「で、どこに入ればいい?」
「私が案内するから、目を瞑ってて」
「ああ」
アイリスは俺の手を握り、引っ張って誘導する。
俺はこういう形だが、手をつないだことにばかり意識がいってしまっていた。
アイリスには目を開けるなと言われていたが、俺は少しだけ目を開けてしまった。
しかし何の映画かは特に気にならなかった。それよりもアイリスの顔が少し赤くなっていたことが気になって仕方なかった。
アイリスに連れられて、席に座る。
「……」
「……」
お互い手をつないでいたことが、何か気まずくて、何を話せば良いかわからなかった。
お互い、沈黙していると、映画の予告が始まった。
この映画はまさか……。
「アイリス」
「――――はい!!」
俺が急に話しかけたので、アイリスは少しびっくりしたのか、声は少し裏返っていた。
「この映画、ホラーだぞ」
「えっ?」
アイリスは一瞬何を言われたかわからない顔をしていた。
「映画?ホラー?」
そう言い、はっと我に返ったアイリスは俺に質問する。
「何言ってるの宗助。こんな可愛いのに、ホラーだなんて」
「いや、これは可愛い映画だと思わせて、ホラーだって話題になってたぞ」
「うそ……冗談だよね?」
「……」
「なんで何も言わないの?」
「……」
「そう…すけ?」
「……」
「……私帰ろうかな」
「諦めろ。案外平気かも知れないぞ」
「……そうだよね。せっかく来たんだし」
アイリスはそう言ってはいるが、顔は全然そんなこと思っていないことは明確だった。
映画の後のアイリスは言うまでもなかった。
「アイリス、何か買ってくるか?」
「うん」
アイリスのことが少し不安だったが、すぐ戻ることを伝え、俺は飲み物を買いに行った。
その間アイリスは椅子に腰かけた。
売店で飲み物を買った後、アイリスの元に戻った。
「調子はどうだ?」
「うん、少しは良くなったかな」
しばらくした後、俺とアイリスはフードコートに向かうことにした。
フードコートはちょうどこの階にあるため、そのまま歩いて向かうことにした。
歩いていると、何か違和感があった。
それは、人の気配のなさだ。
アイリスとの会話やしぐさに気を取られ、気付くまでに時間がかかってしまった。
「アイリス、なんか様子がおかしくないか?」
「そうだね。静かだね」
「戻るか……」
「うん……」
その時だった。
「あの~すみません。あなたはアンジェ・アトランティカさんですかね?」
後ろを振り向くと、金髪のセミロングがきっちり整えられており、スーツを全身にまとい、いかにも落ち着いた印象の女性がそこにいた。
アイリスとそのショッピングモールに入ってすぐに、彼女が雑貨店らしき店を見つけた。
「宗助、あのお店に入ってみない?」
「雑貨店か? まあ良いけど、何か買うものがあるのか?」
「最近、日用雑貨にハマっててね」
「だったら入ってみるか」
「うん!!」
その雑貨店に入ってみると、日用雑貨が多く並んでいたがそれ以外にもちょっとしたアクセサリーも商品として並んでいた。
「ネックレスとかブレスレットみたいなものも置いてあるんだな」
「雑貨店としてはそんなに珍しくないと思うよ」
「あっ、これ!! この腕輪とかどうかな?」
アイリスがシルバーの腕輪を取り、目を輝かせながらそう言った。
その腕輪は、シルバーを基調としたデザインであり、高級感が漂わせている。
特に模様などはなく、シンプルで落ち着きのある品物となっている。
「そうだな、似合うと思うよ」
俺がそう言うと、アイリスは恥ずかしそうに下を向いた。
「えへへ、ありがとう。でも、どうせならペアで買わない?」
「何か共通のものがあるとより仲が良くなると思うし……なんてね」
「そうだな、今日の記念にもなるしな」
「そうだね。じゃあ、私これ買ってくるね!!」
少ししてレジから戻ってきたアイリスは、俺にシルバーの腕輪を渡してくれた。
「いくらだった?」
「宗助は気にしなくていいよ」
「いや、そういわれても困る」
いや、俺は気にする。さすがに買ってもらうのは申し訳ない。
「今回は私から誘ったことだし、これはそのお礼ということで」
確かにそれはそうだが、お礼を受けるものではない。それを言うなら俺からも、誘ってくれたアイリスにお礼をしたいくらいだ。
「それなら、俺がアイリスの腕輪を買う。俺の腕輪はアイリスが買う。そういうことにしないか?」
これなら、お互い気にせず買うことができるだろう。
「そういうことなら……宗助考えたね」
そう答えたアイリスは、一瞬何か考えるような仕草をしていた。
「せっかくだし、今腕輪はめない?」
少し恥ずかしそうなその言葉に俺も少し恥ずかしくなった。
一瞬悩んだが、アイリスも勇気を出して言ってくれたその言葉に俺は肯定することにした。
お互いペアの腕輪をはめた後もアイリスの買い物に付き合っていると「もうそろそろだね」と彼女が言ったので腕時計を見ると映画上映時間の三十分前だった。
「映画館ってどこだっけ?」
「ああ、確か三階だったはずだな」
「よし、それじゃ行こうか」
映画館に入ると、横にいたアイリスは俺の前に出た。
「今から映画のチケット買ってくるから待ってて」
「いや、俺が買ってくるぞ。何の映画見るんだ?」
「宗助は待ってていいよ。それじゃあサプライズにならないから」
「まあ、そういうならいいが」
「じゃあ、宗助はポップコーンと飲み物買ってきて!!」
「わかった」
そう言うと、アイリスは小走りで受付へと向かった。
いったいどんな映画を見せるのか。アイリスのことだからラブストーリーか。
いや、それともこのかわ良いアニメ系か。ホラーは苦手そうだから、これは違うよな。
今はいろんな映画が放映しているから、なかなか絞り込めないな。
そうこうしているうちに、アイリスがチケットを持ってきた。俺も買うものは買った。
「で、どこに入ればいい?」
「私が案内するから、目を瞑ってて」
「ああ」
アイリスは俺の手を握り、引っ張って誘導する。
俺はこういう形だが、手をつないだことにばかり意識がいってしまっていた。
アイリスには目を開けるなと言われていたが、俺は少しだけ目を開けてしまった。
しかし何の映画かは特に気にならなかった。それよりもアイリスの顔が少し赤くなっていたことが気になって仕方なかった。
アイリスに連れられて、席に座る。
「……」
「……」
お互い手をつないでいたことが、何か気まずくて、何を話せば良いかわからなかった。
お互い、沈黙していると、映画の予告が始まった。
この映画はまさか……。
「アイリス」
「――――はい!!」
俺が急に話しかけたので、アイリスは少しびっくりしたのか、声は少し裏返っていた。
「この映画、ホラーだぞ」
「えっ?」
アイリスは一瞬何を言われたかわからない顔をしていた。
「映画?ホラー?」
そう言い、はっと我に返ったアイリスは俺に質問する。
「何言ってるの宗助。こんな可愛いのに、ホラーだなんて」
「いや、これは可愛い映画だと思わせて、ホラーだって話題になってたぞ」
「うそ……冗談だよね?」
「……」
「なんで何も言わないの?」
「……」
「そう…すけ?」
「……」
「……私帰ろうかな」
「諦めろ。案外平気かも知れないぞ」
「……そうだよね。せっかく来たんだし」
アイリスはそう言ってはいるが、顔は全然そんなこと思っていないことは明確だった。
映画の後のアイリスは言うまでもなかった。
「アイリス、何か買ってくるか?」
「うん」
アイリスのことが少し不安だったが、すぐ戻ることを伝え、俺は飲み物を買いに行った。
その間アイリスは椅子に腰かけた。
売店で飲み物を買った後、アイリスの元に戻った。
「調子はどうだ?」
「うん、少しは良くなったかな」
しばらくした後、俺とアイリスはフードコートに向かうことにした。
フードコートはちょうどこの階にあるため、そのまま歩いて向かうことにした。
歩いていると、何か違和感があった。
それは、人の気配のなさだ。
アイリスとの会話やしぐさに気を取られ、気付くまでに時間がかかってしまった。
「アイリス、なんか様子がおかしくないか?」
「そうだね。静かだね」
「戻るか……」
「うん……」
その時だった。
「あの~すみません。あなたはアンジェ・アトランティカさんですかね?」
後ろを振り向くと、金髪のセミロングがきっちり整えられており、スーツを全身にまとい、いかにも落ち着いた印象の女性がそこにいた。
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