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EP01 Remember
Remember(1)
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あの時のことを俺は忘れることはないだろう。
三年前のあの日、俺と彼女が過ごしてきた日々が終わりを迎えた。
突然のことで俺は絶望し、悲しみ、嘆き、苦しみ、全ての負の感情が一点に集まる特異点にでもなったかのような気持ちになった。
俺はもう立ち直れないのではないかと思ったほどだった。
そして彼女の大切さに気づいたのは、彼女の死を聞いてからのことだった。
俺は今でも鮮明に思い出す、あの事故のことを……。
~The Day~
その日、フランスのとある発電所で起きた大事故はヨーロッパを震撼させた。
そんなことが起きるとは当時の俺には知る由もなかった。
俺は目が覚めると、すぐに時計を確認する。時計の針は午前五時ジャストを指していた。
「まだこんな時間か……」
俺はいつも朝起きるのが苦手だが、今日は緊張してなかなか寝ることができず、寝てもすぐ 起きてしまっていた。
なぜ緊張しているかというと、俺は今日、とある女の子と会う約束をしていたからだ。
彼女の名前は『Iris・Anger・Atlantica(アイリス・アンジェ・アトランティカ)』と言う。
身長はやや低めで目は赤っぽいゴールド、髪は艶のある白っぽい銀色のロングヘアー、スリーサイズはやや控えめであり、見た目は美少女といっても過言ではない。明るく親しみやすい性格をしている。
そんな彼女と俺は、今日初めて映画を見に行く約束をしていた。
アイリスと出会ってかなり経つが、二人だけでフランスの街に出かける経験がほとんどなかったため、少し緊張している。
俺の名前は『小宇坂宗助(こうさか そうすけ)』、名前から分かる通り日本人だが両親の仕事の都合でフランスに住んでいる。
待ち合わせの時間は午前十時。それまでは五時間もある。二度寝しようか悩んだが、寝過ごして遅刻するのはもってのほかである。だから、俺はこのまま起きることにした。
午前九時半前には家を出る。天気は快晴で、出かけるにはちょうど良い。待ち合わせ場所には最寄りのバス停から約十分程度の隣街の駅前だ。この調子で行くと十五分前、つまりバス一本分は早く着くことになる。日本ではダイヤが乱れることは少ないが、フランスでは日常茶飯事だ。ちなみに場所の指定はアイリスたっての希望である。
実際には十分前にはその場所に着くことができた。流石にアイリスはまだ来てないと考えていた。しかし、そこには薄手のTシャツと上着、スカートといった衣装に身を包み、頭にはハンチングを被った銀髪の少女が、噴水の前で誰かを待っていた。いつも見ている。
制服姿ではなく、尚且つとても似合っていたため自然と目が釘付けになっていた。
はっと我に返ると、すぐにその少女アイリスの元に駆け寄る。
辺りを見回していた彼女は、近寄る俺に気付くと笑顔で手を振ってきた。
「宗助、おはよう!!」
「おう」
「宗助来るの早いね。てっきり遅刻するかと思ってた」
「おい、俺をなんだと思ってる」
「お寝坊さん?」
「お前なぁ」
「ごめんごめん。冗談だって」
楽しそうに俺をからかうアイリスを見ていると、特に怒る気にはならない。
「あっ、そうだ。見てみてこの服新しく買ったんだけど、……どうかな?」
「まあ、良いんじゃないか?」
「むむっ、それだけー?」
「ああ」
俺は何か照れくさくて、二つ返事で返してしまった。
だって、可愛いとは直接言えないしなぁ。
少し不安そうな顔をして、俺の言葉を待っているアイリス。
その姿もとても可愛らしくずっと見ていたくなるが、ここは何かいうべきだと、俺の直感がそう言っている。
う~ん、気のきいたこと……、気のきいたこと……。
……。
よし、話題を変えよう。
「そういえば、今日はどんな映画見るんだ?」
「むぅ~」
彼女は少しふくれていたが、すぐに表情を変えて、何かたくらんでそうな笑みを浮かべた。
「それは着いてからのお楽しみ!!」
「なんだそれ」
そう言いながら「サプライズも別に悪くないかもな」と思っていた。
「じゃあ映画は十二時からだから、少しこの辺りを見て回ろっか」
「そうだな。俺もこの辺にはあまり来ないから、どんなもんか見たいしな」
「決まりだね」
「映画の後行きたい場所があるんだけど、一緒に行かない?」
「別に構わないが、どこに行くんだ?」
「えーっと、ルナティア自然公園!」
「ああ、あそこか」
「うん、そこで宗助に見せたいものもあるし」
「見せたいもの?」
「聞かれても教えないからね」
「わかってるよ」
こんなに楽しそうなアイリスを詮索するのは野暮というものだ。
「じゃあ行くか」
「うん!!」
この駅はこの街の中でも比較的大きく、周辺にはショッピングモールが建っている。その中に映画館等があり、とても賑わいを見せる施設となっている。またこの街は自然公園などの観光名所もあり、多くの人がそれを見に訪れる。その中でも最近特に注目を集めているのが、この駅から約八キロメートル先にあるロワール発電所である。
この発電所の施設はアルザス大運河の西岸にあり、ドイツ国境から約一キロメートルのところに位置している。発電方式は原子力発電で二基の加圧水型軽水炉がある。また、現在稼働しているフランスの原子力発電所の中では一番古いらしい。
俺の両親はその発電所に勤めているため,その近辺のアパートで一緒に暮らしている。
そのため、その発電所は嫌というほど見ているし、中に入って見学したこともある。
築四十年以上たっており、中もきれいといった印象はない。
ちなみに、アイリスの両親も同じ発電所に勤めているが、俺の親とは別の部署なので親同士の面識はあまりないと思う。
三年前のあの日、俺と彼女が過ごしてきた日々が終わりを迎えた。
突然のことで俺は絶望し、悲しみ、嘆き、苦しみ、全ての負の感情が一点に集まる特異点にでもなったかのような気持ちになった。
俺はもう立ち直れないのではないかと思ったほどだった。
そして彼女の大切さに気づいたのは、彼女の死を聞いてからのことだった。
俺は今でも鮮明に思い出す、あの事故のことを……。
~The Day~
その日、フランスのとある発電所で起きた大事故はヨーロッパを震撼させた。
そんなことが起きるとは当時の俺には知る由もなかった。
俺は目が覚めると、すぐに時計を確認する。時計の針は午前五時ジャストを指していた。
「まだこんな時間か……」
俺はいつも朝起きるのが苦手だが、今日は緊張してなかなか寝ることができず、寝てもすぐ 起きてしまっていた。
なぜ緊張しているかというと、俺は今日、とある女の子と会う約束をしていたからだ。
彼女の名前は『Iris・Anger・Atlantica(アイリス・アンジェ・アトランティカ)』と言う。
身長はやや低めで目は赤っぽいゴールド、髪は艶のある白っぽい銀色のロングヘアー、スリーサイズはやや控えめであり、見た目は美少女といっても過言ではない。明るく親しみやすい性格をしている。
そんな彼女と俺は、今日初めて映画を見に行く約束をしていた。
アイリスと出会ってかなり経つが、二人だけでフランスの街に出かける経験がほとんどなかったため、少し緊張している。
俺の名前は『小宇坂宗助(こうさか そうすけ)』、名前から分かる通り日本人だが両親の仕事の都合でフランスに住んでいる。
待ち合わせの時間は午前十時。それまでは五時間もある。二度寝しようか悩んだが、寝過ごして遅刻するのはもってのほかである。だから、俺はこのまま起きることにした。
午前九時半前には家を出る。天気は快晴で、出かけるにはちょうど良い。待ち合わせ場所には最寄りのバス停から約十分程度の隣街の駅前だ。この調子で行くと十五分前、つまりバス一本分は早く着くことになる。日本ではダイヤが乱れることは少ないが、フランスでは日常茶飯事だ。ちなみに場所の指定はアイリスたっての希望である。
実際には十分前にはその場所に着くことができた。流石にアイリスはまだ来てないと考えていた。しかし、そこには薄手のTシャツと上着、スカートといった衣装に身を包み、頭にはハンチングを被った銀髪の少女が、噴水の前で誰かを待っていた。いつも見ている。
制服姿ではなく、尚且つとても似合っていたため自然と目が釘付けになっていた。
はっと我に返ると、すぐにその少女アイリスの元に駆け寄る。
辺りを見回していた彼女は、近寄る俺に気付くと笑顔で手を振ってきた。
「宗助、おはよう!!」
「おう」
「宗助来るの早いね。てっきり遅刻するかと思ってた」
「おい、俺をなんだと思ってる」
「お寝坊さん?」
「お前なぁ」
「ごめんごめん。冗談だって」
楽しそうに俺をからかうアイリスを見ていると、特に怒る気にはならない。
「あっ、そうだ。見てみてこの服新しく買ったんだけど、……どうかな?」
「まあ、良いんじゃないか?」
「むむっ、それだけー?」
「ああ」
俺は何か照れくさくて、二つ返事で返してしまった。
だって、可愛いとは直接言えないしなぁ。
少し不安そうな顔をして、俺の言葉を待っているアイリス。
その姿もとても可愛らしくずっと見ていたくなるが、ここは何かいうべきだと、俺の直感がそう言っている。
う~ん、気のきいたこと……、気のきいたこと……。
……。
よし、話題を変えよう。
「そういえば、今日はどんな映画見るんだ?」
「むぅ~」
彼女は少しふくれていたが、すぐに表情を変えて、何かたくらんでそうな笑みを浮かべた。
「それは着いてからのお楽しみ!!」
「なんだそれ」
そう言いながら「サプライズも別に悪くないかもな」と思っていた。
「じゃあ映画は十二時からだから、少しこの辺りを見て回ろっか」
「そうだな。俺もこの辺にはあまり来ないから、どんなもんか見たいしな」
「決まりだね」
「映画の後行きたい場所があるんだけど、一緒に行かない?」
「別に構わないが、どこに行くんだ?」
「えーっと、ルナティア自然公園!」
「ああ、あそこか」
「うん、そこで宗助に見せたいものもあるし」
「見せたいもの?」
「聞かれても教えないからね」
「わかってるよ」
こんなに楽しそうなアイリスを詮索するのは野暮というものだ。
「じゃあ行くか」
「うん!!」
この駅はこの街の中でも比較的大きく、周辺にはショッピングモールが建っている。その中に映画館等があり、とても賑わいを見せる施設となっている。またこの街は自然公園などの観光名所もあり、多くの人がそれを見に訪れる。その中でも最近特に注目を集めているのが、この駅から約八キロメートル先にあるロワール発電所である。
この発電所の施設はアルザス大運河の西岸にあり、ドイツ国境から約一キロメートルのところに位置している。発電方式は原子力発電で二基の加圧水型軽水炉がある。また、現在稼働しているフランスの原子力発電所の中では一番古いらしい。
俺の両親はその発電所に勤めているため,その近辺のアパートで一緒に暮らしている。
そのため、その発電所は嫌というほど見ているし、中に入って見学したこともある。
築四十年以上たっており、中もきれいといった印象はない。
ちなみに、アイリスの両親も同じ発電所に勤めているが、俺の親とは別の部署なので親同士の面識はあまりないと思う。
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