【完結】竜公子の婚約者

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髪をねじって大きめの髪止めをつけている

「これを細くして……」
お父様が 見えないように 髪に隠した

「これで 大丈夫だろう」
「でも ここから出れますでしょうか?」
「出れるだろうが 
 救助か連れていかれるかは 分からん
どっちが早いかだな」
「ハリ―様達は 動けないでしょうし
外からの救援を待つしかないですわね」
そう言って 首から下げている
ハリ―から貰った鱗のペンダントを
そっと手で包む
鱗に祈るように話しかけ
「ハリ― 無事でいて 
必ず助けるから」
5秒程そのままでいたら

鱗がふわりとした明かりで輝きだした

「お父様……!」
「光ってるな……なんだろうか
鱗に関しては なんの情報もないが
神様が願いを聞き届けてくれるかもな」
「そうだと良いのですが」
「メルベル 信じる事だよ
ハリ―様も何か策を講じていたかもしれない
帝国の皇太子だ 
信じよう」
「そうですわね
でも お父様
領地の お母様達は大丈夫でしょうか」
「うむ そこは心配だ
こんな事をする国王だ
既に手筈を整えていたかもしれない」
「なぜこんなことを……」
「前の陛下は 私の友人 親友なのは知ってるね」
「はい 宰相のエドモンドおじ様とお父様と
陛下3人で仲がよかったと 仰ってました」
「そう 何をするにも3人で 
身分の差はあるけども
学園ではそんな事は関係ない
卒業後も私的な交遊は続いていた
リチャードからの手紙にはよく
王太子の 今の陛下の事が 心配だと書いてあった
国王としての 資質が無いと
王太子を変えようと エドモンドと
話していると 最後の手紙には書いてあった」
「まぁ!」
「それを実行しようとして 毒殺されたのでは
ないかと 私は思っている」
「なんて事……
それが本当の事ならば
この国には いられませんわね……」
「そうだな やはり領地が心配だ」




その心配は当たっていた
時間は少し遡り

メルベル達が宿泊していた宿を3台の馬車で
立ち去った後を確認している騎士達がいた

「やはり 帝国の皇太子がいましたね
後はリンド伯爵親子」
「確認はとれた 
早馬で陛下にお知らせする
我々はリンド伯爵領に進行する
出発するぞ」

そして1人の騎士が王都の方へ
馬で駆け出して行った

50名程の兵士が待機していて
「今から リンド伯爵領まで進む 出発!」



伯爵家
「奥様!
兵士がいっぱいこちらに 向かって来てます!」
領民が1人駆け込んできた

「まさか!」
旦那様が居ないのに……!

「奥様!これは 私たちを人質にするためじゃないでしょうか」

「そう そうかもしれないわ
それなら トレ―ス マリン カリン グイド
すぐ来てちょうだい!」

4人が揃うと

「グイド!これを」

袋に入ったお金と
家紋の入っている指輪を渡し

「馬を一頭つれて 兵隊に見つからないように
王都の元宰相様 エドモンド様の所に行きなさい
そして この指輪と手紙をお渡しして
必ず見つからないように 抜け道で行くのです」
「分かりました
でも 奥様達は……」
「人質なら 直ぐには殺されません
早く行くのです!」
「はい!」

グイドは馬を大人しく厩舎から引き出すと
街道とは 反対に馬を走らせた


「どうも 陛下は私たちを人質に
帝国を相手にするようね
領民達に集まる様に伝えて来なさい
バラバラで いるよりは 安心しますからね
トレ―ス 行ってきて」
「畏まりました」

トレ―スも出ていった


暫くして
騎士達がやってきた


「何をなさるのですか!」
何も言わす 屋敷に入り
奥様の両手を縛りはじめた

「貴方のご主人 リンド伯爵とご令嬢は
王都で捕らえてあります
陛下への 反逆者ということで」







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