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ブティックマダム(前篇)
しおりを挟むとある商店街。
その商店街のやや外れた一画にあるブティック。
ネット情報で、50代のマダムが個人経営している事が判っている。
載っている画像を見る限り、昔のブティックそのものという感じで、
地域の御婦人が利用客でそこまで賑やかではなさそう。
これなら、女性下着愛好男性が来店しても問題は無いと判断。
女性下着目的で行ってみた――
グレーのパーカーに黒パンツ、もちろんインナーは青紫の女性下着(上下)を着用。
パットは入れてないけど胸は少しは膨らみをもたせている。
肩までのウィッグを装着しキャップを被り、
シンプルな肩掛けトートバックをチョイスし、薄ピンクのマスクで擬態。
遠目では女性と認識されるだろうけど、近くで見られれば30後半の男だと判る。
男とバレた時、マダムはどんな反応をするのだろうか。
平日の午後11時すぎに訪問。
入店時にチャイムが鳴り、シックで落ち着いた御婦人服が出迎え、
ゆったりとしたクラシックBGMが流れる店内は昭和。
「いらっしゃいませ~」
間延びした挨拶には落ち着いた余裕が感じられる。
姿を現したのは、オーナーであるマダム。
やはりファッションに身を置くのか、
ネット画像とは大きく違い、服・メイクの印象から40半ばに見え、
有名な知的女優に似せている。
そしてなにより、フォーマルに近い濃紅のワンピースを、
細すぎないスレンダースタイルで品良く着こなし、
微熟女としての魅力を大きく引き立てている。
これには、女装中にも関わらず、男の股間に熱が集まった。
「まぁ……お若いお嬢さんね。似合うのはあるかしら」
38歳の私と目が合ったマダムは一瞬の間があった。
さすがに、接客業相手にはすぐにバレると思ったが、
いや気づいたのだろうけど、マダムは気を利かせてくれた。
せっかくマダムが配慮してくれたので、
少しの間は女装を愉しむため、無言で会釈をすると、
マダムは見守る姿勢をとってくれた。
とは云っても、マダムが言った様に御婦人向けの衣類ばかりなので、
30代いや40代向けのカジュアルな衣類はあまりなく。
扱う衣類自体もフォーマル感が強い。
フォーマルスタイルも好きなので、
年齢を重ねても女装を続けていたらアリになる。
大半を回って下着は無いかと思い始めた時、
奥のレジの近くにパーテーションで囲まれたスペースがあった。
最初は商品置き場とかと思ったけど、
僅かな隙間からチラッと見えた等身大マネキン。
肩・腹部は無機質なプラスチックが見え、
胸部・臀部は黒い布地で、脚は網目が見えた。
おそらく、地域の御婦人同士が下着を選んでいる姿を見られない様に、
配慮としてパーテーションを設置しているのだろう。
昭和発想の、アダルトコーナーの暖簾を思わせた。
知らないフリをして奥へと歩むと、マダムの気配が動いたのを感じた。
ちょうど近くにパンティストッキングが陳列されていた。
もちろん、パンストも興味がありいくつか所持している。
昔からの在庫なのか、レトロなパッケージなのが逆に目を引き思わず手に取る。
金髪の外人のベージュのパンストを着用した、
スラリとした煌めかせる脚は、どこかエロスを感じる。
「ストッキングも履くの?」
パッケージに目を落としていると、懐疑的な声で尋ねられた。
「それ古いけど、ちゃんとしたメーカー品よ」
言われてよく見ると、確かに今でもあるメーカーが記載されている。
「昔のは、しっかり作ってあるわよ。
安くするから、よかったら買ってね」
手ごろな価格のパンストでも充分なんだけど、
なんだか興味が湧き、あまり見かけないグレージュのパッケージを選んだ。
「変わった色を選ぶのね。 やっぱり違うのね」
どこか含みを持たせながら、マダムはレジに回る。
ここにきて、本来の目的を果たさない訳にはいかない。
横に視線を動かせば簡単に、望んでいた品が目に入った。
昭和風に言うならば、御婦人の花園が広がっていた。
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