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ボウケンノハジマリ
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シャンドラー王国
いつものように、街は冒険者で賑わっている。
商人は張り切って商売をし、農民は畑を耕す。
そんな様子をシャンドラー家に仕えるルイス・ステニアムは城の窓から眺めていた。
「今日もいつも通りですね、陛下。」
振り返り、資料を机にひろげてるこの国の王、シリウス・シャンドラーを見る。
「ああ、平和で何よりだ。」
王は優しく微笑み、資料に目を通す。
今日も何もなく平和に過ごせるだろうと思い、ルイスは王の居る部屋を出ようとした。
その時だった。
ドカッ!
いきなり部屋に入ってきた人とぶつかってしまった。
「いてて…‥…‥ってルイスか?」
「っ!セイラ様?!」
金髪で将軍のような甲冑を身にまとった少女、セイラ・シャンドラーは驚いたように立ち上がる。
「珍しいな。父上の部屋に居るなんて。」
その見た目に合わないような口調で、セイラはルイスに問い掛ける。
ルイスは、たまたまですよ。と言って微笑んだ。
ふと、セイラが持っていた紙に目線を向ける。
甲冑を装備してるところから考えると、今までダンジョンの探索をしていたようだ。
きっと、そのダンジョンの地図なんだろう。
ルイスの視線に気付いたのか、セイラは口を開いた。
が、突然何かを思い出したように慌てだし、急いでその紙を王に差し出す。
そして言う。
「父上!また、新たにダンジョンが発見されたようだぜ!」
ダンジョンが発見されるのはそんなに珍しくはない。
だが、なぜかセイラは慌ててる。
「今回のダンジョンは少し…‥…‥…‥…‥いや、かなりヤバイぜ……。」
セイラが言うには、新しく発見されたダンジョンに、多くの熟練冒険者が探索に出掛けたようだ。
ダンジョンの最終階層には、秘宝がねむっているらしい。
皆、熟練冒険者だけあって、あっという間に最終階層までたどり着いたようだ。
だが、ここからが問題だ。
「実は、最終階層から戻ってきた冒険者は一人もいないそうだ。」
その一言で、唾を呑み込む。
地図も残っておらず、秘宝どころかどこに何があるかすら解らないらしい。
「ふむ…‥…‥…‥…‥ルイス。」
今までずっと黙っていた王は何かを考えたのか、ルイスの名を呼ぶ。
そして続ける。
「とても危険な事なのは分かっている。が、今はお前の腕を信用したい。」
「?!まさかっ!本気か?!父上?!」
そのまさかのようだ。王は頷き、ルイスを見つめる。
「ルイス、お前にこのダンジョンを攻略してもらいたい。お前だけではない。他の熟練冒険者も雇う。これは、我が国で一番ダンジョン攻略経験のあるお前しか出来ないのだ。……………頼めるか?」
セイラはルイスを見つめる。
嫌なら止めろよと言ってるようだ。
だが、ルイスの答えはただ一つだった。
「俺は、シャンドラー家に仕えるもの。いざとなったら命に代えてでも王の命令は果たします。………俺が、そのダンジョンを攻略します。」
セイラは本気かっ?!と驚き、ルイスを見つめ続ける。
ルイスは強く頷く。
「それと、秘宝の在処も探してほしい。秘宝の情報が出回ってるからな。我が国の利益のため、お願いしたい。…………頼んだぞ。ルイス。」
ルイスは、はい!と返事をした。
「ダンジョン攻略と聞こえて!」
が、別の声にかき消された。
声の方を向くと、そこには金髪の青年がいた。
その後ろには、その青年とお揃いの衣装を身にまとった少女と少年が立っていた。
「レオくん!勝手に入っちゃだめだよ!」
気弱そうな眼鏡を掛けた少年は金髪の青年のマントの裾を引っ張る。
「失礼しました……。」
変わらず無表情の少女はとっとと部屋の外に出た。
青年はさっさと出て行く仲間に呆れ、改めて王に向き合った。
「陛下!そのダンジョン攻略に俺達も参加させて欲しいんだ!」
その一言で、みんなが固まった。
メンバーの二人も、目を丸めてる。
青年は続ける。
「俺達は今まで、沢山のダンジョンを攻略してきた。けっこう名は知られてるはずだぜ。俺らは人々が平和に暮らせるようになるため、少しでも多くのダンジョンを攻略していきたいんだ。」
メンバーの二人は微笑んだ。
少年は、「レオくんのそう言うとこ、好きですよ」と微笑み、頷いた。
「私からも…‥…‥…‥お願いします…‥…‥。」
少女も頭を下げた。
王は少し考えた後、頷いた。
「分かった。ではルイスを君達のパーティに入れてほしい。任せたぞ。」
「わかりました。」
四人は頷いた。
そして、改めて王に頭を下げ、部屋を出た。
それと同時にセイラが王に何かを話し始めたが、今の四人には関係ないので気にせず歩き出す。
「僕、シアン・ソラスズ。よろしくね、ルイスくん。」
「私……クロエ・シルヴィア……。」
「俺、レオ・サリディア!よろしく!」
「よろしく。俺はルイス・ステニアム。」
それぞれ自己紹介をし、お互いを確かめ合う。
「………みんな、銃士なんだな。」
ルイスの一言で、ギルド名は『銃騎士団』になった。
「「「「人々の平和のため、秘宝を手に入れるために!」」」」
銃騎士団の物語が今、始まる。
いつものように、街は冒険者で賑わっている。
商人は張り切って商売をし、農民は畑を耕す。
そんな様子をシャンドラー家に仕えるルイス・ステニアムは城の窓から眺めていた。
「今日もいつも通りですね、陛下。」
振り返り、資料を机にひろげてるこの国の王、シリウス・シャンドラーを見る。
「ああ、平和で何よりだ。」
王は優しく微笑み、資料に目を通す。
今日も何もなく平和に過ごせるだろうと思い、ルイスは王の居る部屋を出ようとした。
その時だった。
ドカッ!
いきなり部屋に入ってきた人とぶつかってしまった。
「いてて…‥…‥ってルイスか?」
「っ!セイラ様?!」
金髪で将軍のような甲冑を身にまとった少女、セイラ・シャンドラーは驚いたように立ち上がる。
「珍しいな。父上の部屋に居るなんて。」
その見た目に合わないような口調で、セイラはルイスに問い掛ける。
ルイスは、たまたまですよ。と言って微笑んだ。
ふと、セイラが持っていた紙に目線を向ける。
甲冑を装備してるところから考えると、今までダンジョンの探索をしていたようだ。
きっと、そのダンジョンの地図なんだろう。
ルイスの視線に気付いたのか、セイラは口を開いた。
が、突然何かを思い出したように慌てだし、急いでその紙を王に差し出す。
そして言う。
「父上!また、新たにダンジョンが発見されたようだぜ!」
ダンジョンが発見されるのはそんなに珍しくはない。
だが、なぜかセイラは慌ててる。
「今回のダンジョンは少し…‥…‥…‥…‥いや、かなりヤバイぜ……。」
セイラが言うには、新しく発見されたダンジョンに、多くの熟練冒険者が探索に出掛けたようだ。
ダンジョンの最終階層には、秘宝がねむっているらしい。
皆、熟練冒険者だけあって、あっという間に最終階層までたどり着いたようだ。
だが、ここからが問題だ。
「実は、最終階層から戻ってきた冒険者は一人もいないそうだ。」
その一言で、唾を呑み込む。
地図も残っておらず、秘宝どころかどこに何があるかすら解らないらしい。
「ふむ…‥…‥…‥…‥ルイス。」
今までずっと黙っていた王は何かを考えたのか、ルイスの名を呼ぶ。
そして続ける。
「とても危険な事なのは分かっている。が、今はお前の腕を信用したい。」
「?!まさかっ!本気か?!父上?!」
そのまさかのようだ。王は頷き、ルイスを見つめる。
「ルイス、お前にこのダンジョンを攻略してもらいたい。お前だけではない。他の熟練冒険者も雇う。これは、我が国で一番ダンジョン攻略経験のあるお前しか出来ないのだ。……………頼めるか?」
セイラはルイスを見つめる。
嫌なら止めろよと言ってるようだ。
だが、ルイスの答えはただ一つだった。
「俺は、シャンドラー家に仕えるもの。いざとなったら命に代えてでも王の命令は果たします。………俺が、そのダンジョンを攻略します。」
セイラは本気かっ?!と驚き、ルイスを見つめ続ける。
ルイスは強く頷く。
「それと、秘宝の在処も探してほしい。秘宝の情報が出回ってるからな。我が国の利益のため、お願いしたい。…………頼んだぞ。ルイス。」
ルイスは、はい!と返事をした。
「ダンジョン攻略と聞こえて!」
が、別の声にかき消された。
声の方を向くと、そこには金髪の青年がいた。
その後ろには、その青年とお揃いの衣装を身にまとった少女と少年が立っていた。
「レオくん!勝手に入っちゃだめだよ!」
気弱そうな眼鏡を掛けた少年は金髪の青年のマントの裾を引っ張る。
「失礼しました……。」
変わらず無表情の少女はとっとと部屋の外に出た。
青年はさっさと出て行く仲間に呆れ、改めて王に向き合った。
「陛下!そのダンジョン攻略に俺達も参加させて欲しいんだ!」
その一言で、みんなが固まった。
メンバーの二人も、目を丸めてる。
青年は続ける。
「俺達は今まで、沢山のダンジョンを攻略してきた。けっこう名は知られてるはずだぜ。俺らは人々が平和に暮らせるようになるため、少しでも多くのダンジョンを攻略していきたいんだ。」
メンバーの二人は微笑んだ。
少年は、「レオくんのそう言うとこ、好きですよ」と微笑み、頷いた。
「私からも…‥…‥…‥お願いします…‥…‥。」
少女も頭を下げた。
王は少し考えた後、頷いた。
「分かった。ではルイスを君達のパーティに入れてほしい。任せたぞ。」
「わかりました。」
四人は頷いた。
そして、改めて王に頭を下げ、部屋を出た。
それと同時にセイラが王に何かを話し始めたが、今の四人には関係ないので気にせず歩き出す。
「僕、シアン・ソラスズ。よろしくね、ルイスくん。」
「私……クロエ・シルヴィア……。」
「俺、レオ・サリディア!よろしく!」
「よろしく。俺はルイス・ステニアム。」
それぞれ自己紹介をし、お互いを確かめ合う。
「………みんな、銃士なんだな。」
ルイスの一言で、ギルド名は『銃騎士団』になった。
「「「「人々の平和のため、秘宝を手に入れるために!」」」」
銃騎士団の物語が今、始まる。
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