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ちょっと見させろ
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一通りの話を聞いた僕は、まあ、元々、一人で生きてく為の力を手に入れる目的で人のいない大樹の根のダンジョンに大根掘りに行ってる訳だったしね。
自分で選んだ道だからね。
まあ、三倍理論を聞けたのはよかった。
というか驚いた。
どうやら、大根に出てくる魔物の強さは、魔鉱窟の階数÷3くらいだと言われているそうだ。
つまり、魔鉱窟ダンジョンの九階層(現在の最高到達階)に出てくる魔物の強さは、大根で言うところの地下三階に出てくる魔物の強さと同じということだ。
あれ?
ということは、やっぱり僕は凄いのか?
そう。
僕はかなり凄いらしい。
誰にも言ってないけど、流石はレア度黒だ。
黒がどのくらい凄いのか分からないけど。
ちなみに、魔鉱窟の九階層は男爵のところの闘士が十人と護衛騎士とで到達したらしい。
ダンジョン攻略ギルドの最高到達層数は八階層だそうだ。
で、ダンジョン攻略ギルドの大根の最高到達階数は三階だそうだ。その話を聞いた時に違和感があったけど、そこを指摘することはできなかった。
「地下三階にはな、コボルトナイトやコボルトキングと名付けた魔物がいてな。アイツらに阻まれてそれ以上は進めなかったんだぜ。ただな、大空洞の奥に地下に伸びる根が見えたからな。地下四階があることが分かってるって訳だぜ」
おかしい。
コボルトナイトやコボルトキング?
話の内容からして、地下三階のボスキャラがコボルトキングなのか、それともそこはぼかしているのか。
ただ、地下二階でコボルトファイター的なヤツとは戦ったけど、地下三階ではコボルト的なヤツとは出会っていない。あそこにはオーク的な豚顔の魔物が出るはずだ。
コボルトというのは、犬顔の魔物だ。流石に豚顔の魔物をコボルトとは呼ばないだろう。
「ところで、だぜ。お前さん、一度俺らと一緒にダンジョンに入ってみねえか?」
「う~ん……」
いや、一緒に地下三階まで行けば、今抱えてる謎が解決するかも知れないか?
「実は……僕はソードマンじゃないんですよ。それでも大丈夫ですか?」
「ん? スカウトとかだったってことか? まあ、スカウト系でも剣術が強い奴はいるからな」
「いや、実は魔法使い系なんですよ」
「はああ? 白で魔法使いは聞いたことがねえぞ。いや、まだ未知のスキルがあったっておかしくねえか。ん~む。まあいい、先に話してくれて助かったぜ。じゃあメンバーは盾二人と剣士、斥候、治癒術師、それともう一人黒魔導師にするか。お前さんも火力として計算していいんだよな?」
「たぶん大丈夫かと。でも大根に行くんですよね? それにしては結構な数ですね」
「一人で大根掘りチャレンジしてるお前さんがおかしいんだよ。明日の朝、西門を出発でいいか?」
「朝ってアバウトな……」
「ああ、すまんな。うちでは朝と言ったら朝の鐘が鳴る時間のことなんだぜ」
「六時ですか。早いですね。でも了解です」
「おお。結構素直に応じてくれるもんだな。ちょっと拍子抜けしてるぜ? 断られるもんだとばかり思ってからな。じゃあ、お前さんの気が変わらないうちに面子集めて準備するわ。どうせやるなら地下二階くらいは攻略しちまおうぜ」
そう言って、ギフは椅子から立ち上がった。
「ですね」
僕も椅子から立ちあがり……ギフが差し出した手と握手を交わした。
僕も準備があるので、と伝えて、僕はギルドをあとにした。
しかし、僕を入れて七人で入るのに、目標が地下二階のボス討伐なのか……僕はちょっと一人で突っ走り過ぎたのかも知れないな。
まだまだ隠し事をしてる身ではあるけど、少しは腹を割って話ができたからだろうか。
僕はそんなに悪くない気分で街を歩いた。
そして、明日に備えて携帯食料の補充と、水筒の追加購入をしようと思っている。
さっき魔石を売ったお金が銀貨六十一枚分あるから、これで買い物をしよう。
「それ、あんまり美味しくないよ」
「あ、えーと……」
「もしかしてまた忘れてる?」
「いやそんなことはないですよ。えーと、あ、エナさん。エナさんだ」
「忘れてたんじゃん。ばり今思い出したでしょ」
「そんなことは、いえ、はい、すみません」
「正直でよろしい。んで、フトーさんは携帯食なんて買ってどーすんの?」
胸を反らして両手を腰に当てながら、ふんすっ、としているのはエナさんだ。つい昨日か一昨日、熊野君がこの子の名字を言ってたような気がするんだけど思い出せない。山口さんが「愛那ちゃん」と言ってた場面しか思い出せなくて、またもや名前で呼ぶことになってしまった。
「どうするって、まあちょっと遠出するので一応準備しておこうかなと思いまして」
「えっ、もう街を出てくの?」
「いや、ちょっとダンジョン攻略ギルドの人達とダンジョンに行くことになって」
「へーっ。まあフトーさんなら強いから大丈夫だよね。あのさ、ダンジョン攻略ギルドってどんな感じ?」
「いや、まだよく分からないです。でもまあ、悪い人達じゃないと思いますよ」
「ふ~ん。あ、わたしのお勧めはその赤い袋のやつだよ。じゃーねー」
「あ、どうも。じゃあ試してみますね」
エナさんは何も買わずにそのまま店を出ていったようだ。
僕は赤青黄緑桃色の五種類から、赤色を三つと、黄色と桃色のを一つずつ買うことにした。
前回買った黄色のが不味かったので、今日は青色のを買おうかと思ってたんだけど、彼女に「あんまり美味しくない」と言われたので青は止めることにしたのだ。
それと大きめの水筒を二つ持って、僕は会計レジに向かった。
自分で選んだ道だからね。
まあ、三倍理論を聞けたのはよかった。
というか驚いた。
どうやら、大根に出てくる魔物の強さは、魔鉱窟の階数÷3くらいだと言われているそうだ。
つまり、魔鉱窟ダンジョンの九階層(現在の最高到達階)に出てくる魔物の強さは、大根で言うところの地下三階に出てくる魔物の強さと同じということだ。
あれ?
ということは、やっぱり僕は凄いのか?
そう。
僕はかなり凄いらしい。
誰にも言ってないけど、流石はレア度黒だ。
黒がどのくらい凄いのか分からないけど。
ちなみに、魔鉱窟の九階層は男爵のところの闘士が十人と護衛騎士とで到達したらしい。
ダンジョン攻略ギルドの最高到達層数は八階層だそうだ。
で、ダンジョン攻略ギルドの大根の最高到達階数は三階だそうだ。その話を聞いた時に違和感があったけど、そこを指摘することはできなかった。
「地下三階にはな、コボルトナイトやコボルトキングと名付けた魔物がいてな。アイツらに阻まれてそれ以上は進めなかったんだぜ。ただな、大空洞の奥に地下に伸びる根が見えたからな。地下四階があることが分かってるって訳だぜ」
おかしい。
コボルトナイトやコボルトキング?
話の内容からして、地下三階のボスキャラがコボルトキングなのか、それともそこはぼかしているのか。
ただ、地下二階でコボルトファイター的なヤツとは戦ったけど、地下三階ではコボルト的なヤツとは出会っていない。あそこにはオーク的な豚顔の魔物が出るはずだ。
コボルトというのは、犬顔の魔物だ。流石に豚顔の魔物をコボルトとは呼ばないだろう。
「ところで、だぜ。お前さん、一度俺らと一緒にダンジョンに入ってみねえか?」
「う~ん……」
いや、一緒に地下三階まで行けば、今抱えてる謎が解決するかも知れないか?
「実は……僕はソードマンじゃないんですよ。それでも大丈夫ですか?」
「ん? スカウトとかだったってことか? まあ、スカウト系でも剣術が強い奴はいるからな」
「いや、実は魔法使い系なんですよ」
「はああ? 白で魔法使いは聞いたことがねえぞ。いや、まだ未知のスキルがあったっておかしくねえか。ん~む。まあいい、先に話してくれて助かったぜ。じゃあメンバーは盾二人と剣士、斥候、治癒術師、それともう一人黒魔導師にするか。お前さんも火力として計算していいんだよな?」
「たぶん大丈夫かと。でも大根に行くんですよね? それにしては結構な数ですね」
「一人で大根掘りチャレンジしてるお前さんがおかしいんだよ。明日の朝、西門を出発でいいか?」
「朝ってアバウトな……」
「ああ、すまんな。うちでは朝と言ったら朝の鐘が鳴る時間のことなんだぜ」
「六時ですか。早いですね。でも了解です」
「おお。結構素直に応じてくれるもんだな。ちょっと拍子抜けしてるぜ? 断られるもんだとばかり思ってからな。じゃあ、お前さんの気が変わらないうちに面子集めて準備するわ。どうせやるなら地下二階くらいは攻略しちまおうぜ」
そう言って、ギフは椅子から立ち上がった。
「ですね」
僕も椅子から立ちあがり……ギフが差し出した手と握手を交わした。
僕も準備があるので、と伝えて、僕はギルドをあとにした。
しかし、僕を入れて七人で入るのに、目標が地下二階のボス討伐なのか……僕はちょっと一人で突っ走り過ぎたのかも知れないな。
まだまだ隠し事をしてる身ではあるけど、少しは腹を割って話ができたからだろうか。
僕はそんなに悪くない気分で街を歩いた。
そして、明日に備えて携帯食料の補充と、水筒の追加購入をしようと思っている。
さっき魔石を売ったお金が銀貨六十一枚分あるから、これで買い物をしよう。
「それ、あんまり美味しくないよ」
「あ、えーと……」
「もしかしてまた忘れてる?」
「いやそんなことはないですよ。えーと、あ、エナさん。エナさんだ」
「忘れてたんじゃん。ばり今思い出したでしょ」
「そんなことは、いえ、はい、すみません」
「正直でよろしい。んで、フトーさんは携帯食なんて買ってどーすんの?」
胸を反らして両手を腰に当てながら、ふんすっ、としているのはエナさんだ。つい昨日か一昨日、熊野君がこの子の名字を言ってたような気がするんだけど思い出せない。山口さんが「愛那ちゃん」と言ってた場面しか思い出せなくて、またもや名前で呼ぶことになってしまった。
「どうするって、まあちょっと遠出するので一応準備しておこうかなと思いまして」
「えっ、もう街を出てくの?」
「いや、ちょっとダンジョン攻略ギルドの人達とダンジョンに行くことになって」
「へーっ。まあフトーさんなら強いから大丈夫だよね。あのさ、ダンジョン攻略ギルドってどんな感じ?」
「いや、まだよく分からないです。でもまあ、悪い人達じゃないと思いますよ」
「ふ~ん。あ、わたしのお勧めはその赤い袋のやつだよ。じゃーねー」
「あ、どうも。じゃあ試してみますね」
エナさんは何も買わずにそのまま店を出ていったようだ。
僕は赤青黄緑桃色の五種類から、赤色を三つと、黄色と桃色のを一つずつ買うことにした。
前回買った黄色のが不味かったので、今日は青色のを買おうかと思ってたんだけど、彼女に「あんまり美味しくない」と言われたので青は止めることにしたのだ。
それと大きめの水筒を二つ持って、僕は会計レジに向かった。
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