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地下三階
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魔法と超能力を駆使すれば、僕一人でも全然やれてるけど、地下三階は地下二階までと比べると敵が一気に強くなっている。
この世界に呼ばれてやって来た先人闘士の人達は、いったい何人で地下四階まで進んだんだろうか。
それと、この世界に住む人たちもチャレンジャーになる人は多いらしいけど、スキルもないのにやっていけるもんなんだろうか。
僕は自由自在というかなり強いスキルを持ってて、更に何故かこの世界の言葉なら魔法の言葉さえも読めて使えるという、言ってしまえばチートキャラ的な存在なのかなとか思ったりもしたんだけど、多分それは勘違いなんだろうな。
スキルはもちろん大事だけど、レベルを上げたり、実戦訓練を繰り返した果に、真の意味で強くなった人達がきっと沢山いるんだろう。
そういう人達と戦う日が来なければいいけど、もしかしたらという可能性は常に考えておかなければ。となると、たくさん戦って経験を積んで行くしかない。
まあ、つまり、やることに変わりはないということなんだけど。
とか。
こんなことを考えてしまうくらい、地下三階は一気に敵が強くなっている。
今までと同じように、敵に複数方向から挟まれないように行き止まりまでやってきて、僕は今、休憩中だ。
実際のところ、オークがかなり強い。
ここまでに十匹以上倒してきたけど、ウインドブレード以外の攻撃では一撃で倒せていない。
ただ、途中でロックバレットの威力が上がったように感じたので、さっき確認してみたらレベルが上がって10になっていた。
ボスキャラ以外のランダムポップの敵を倒してレベルが二つも上がるということは、僕のレベルが、この階の適正レベルではなかったということなんだろう。
オーク以外の敵も強いけど、オークに比べたらまだ少しマシだ。
なんとか怪我なくやれてるし、今日はこのままオークと戦ってみよう。
魔法だけじゃなくて、鉄棍や短剣でも勝てるようになりたい。
疲れた。
これは緊張の連続からくる疲れだ。
肉体的にももちろん疲れてるんだけど、集中が必要な場面の連続だったので、解放感や達成感よりも「疲れた~」という、ぐだーっとしたい疲れが全身に襲いかかってきている。
でも、外に出たらコボルト達がいたので、もう少しだけ動かなければ。
僕は短剣でコボルト五体をパパパパパと斬って倒した。
コボルト相手なら、最近はサイコキネシスでナイフを操れば一瞬だったけど、今では自前で短剣を振っても一呼吸で倒せるようになってしまった。
一気にレベルが上がったからなんだけど、これはオーク達のおかげだ。
オークを先生や軍曹などと上に持ち上げるつもりはないけど、それでもまあ、いい強敵だったと言ってやるくらいしてもいいかも知れない。褒めてるんだか貶してるんだかよく分からない言い方だけど。
外はやがて朝日が昇り始める時間だ。
まだ真っ暗闇に星が瞬く静かな時間だけど、あと十分くらいで東の方から明るくなるだろう。
今は朝の五時ちょっと。
この世界ではだいたい五時半くらいから日が昇り始め、夕方六時過ぎくらいに夜になる。
元の世界のように少しずつ時間がズレていくのかも知れないけど、この世界に来てまだ一ヶ月も経っていない僕にはまだ分からないことだ。
ともあれ、今は早く自分の部屋に帰って寝よう。
僕は地面に転がっている小さな五つの魔石を、アスポートでベッドの下に送った。
そして、サイコキネシスで地面から数センチだけ宙に浮いて、街に向かってフワフワと飛んで帰った。
僕が着いた時、ハワードさんの店は、ちょうど朝の仕込み途中の時間だった。焼き上がったパンを籐のかごに移しているネルさんに、ただいまと朝帰りの挨拶をした。
「あら、今までダンジョンにいたの? 無理はしないでと言ってるのに……」
朝帰りを変な風にとらえず、無理をするなと声をかけられて嬉しくなってしまった。
確かに、杖を持ってリュックを背負ってはいるけど、嫌な見方をして勝手な判断で朝帰りを責めてくる人もいるだろうに、ネルさんとハワードさんは、僕に対して孫のように寛容に接してくれる。それがむず痒い時もあるけど、この歳になってそれが優しさから出たものかどうかくらいは分かるようになっている。だから僕は、変に意地を張らずに、心配かけてすみません、と言うことができた。
朝ごはんを勧めてくれたけど、今は眠気が増さるので先に寝させてくださいと答えて、僕は部屋に入り、ベッドに倒れ込んだ。
次に目が覚めたのは、店の昼の営業が終わった頃だった。
僕は袋に入れたままだったウサギをハワードさんに渡した。一匹は生きていたけど、約一日もの間袋に入れたままだったからかぐったりしていた。
ハワードさんは「いつも悪いなあ」と言って受け取ると、「ちょっと待っててなあ」と言ってウサギを捌きにかかった。
テーブルの席に着き、ネルさんと話していると、ハワードさんがウサギ肉のスープとパンを持ってきてくれた。
この世界に呼ばれてやって来た先人闘士の人達は、いったい何人で地下四階まで進んだんだろうか。
それと、この世界に住む人たちもチャレンジャーになる人は多いらしいけど、スキルもないのにやっていけるもんなんだろうか。
僕は自由自在というかなり強いスキルを持ってて、更に何故かこの世界の言葉なら魔法の言葉さえも読めて使えるという、言ってしまえばチートキャラ的な存在なのかなとか思ったりもしたんだけど、多分それは勘違いなんだろうな。
スキルはもちろん大事だけど、レベルを上げたり、実戦訓練を繰り返した果に、真の意味で強くなった人達がきっと沢山いるんだろう。
そういう人達と戦う日が来なければいいけど、もしかしたらという可能性は常に考えておかなければ。となると、たくさん戦って経験を積んで行くしかない。
まあ、つまり、やることに変わりはないということなんだけど。
とか。
こんなことを考えてしまうくらい、地下三階は一気に敵が強くなっている。
今までと同じように、敵に複数方向から挟まれないように行き止まりまでやってきて、僕は今、休憩中だ。
実際のところ、オークがかなり強い。
ここまでに十匹以上倒してきたけど、ウインドブレード以外の攻撃では一撃で倒せていない。
ただ、途中でロックバレットの威力が上がったように感じたので、さっき確認してみたらレベルが上がって10になっていた。
ボスキャラ以外のランダムポップの敵を倒してレベルが二つも上がるということは、僕のレベルが、この階の適正レベルではなかったということなんだろう。
オーク以外の敵も強いけど、オークに比べたらまだ少しマシだ。
なんとか怪我なくやれてるし、今日はこのままオークと戦ってみよう。
魔法だけじゃなくて、鉄棍や短剣でも勝てるようになりたい。
疲れた。
これは緊張の連続からくる疲れだ。
肉体的にももちろん疲れてるんだけど、集中が必要な場面の連続だったので、解放感や達成感よりも「疲れた~」という、ぐだーっとしたい疲れが全身に襲いかかってきている。
でも、外に出たらコボルト達がいたので、もう少しだけ動かなければ。
僕は短剣でコボルト五体をパパパパパと斬って倒した。
コボルト相手なら、最近はサイコキネシスでナイフを操れば一瞬だったけど、今では自前で短剣を振っても一呼吸で倒せるようになってしまった。
一気にレベルが上がったからなんだけど、これはオーク達のおかげだ。
オークを先生や軍曹などと上に持ち上げるつもりはないけど、それでもまあ、いい強敵だったと言ってやるくらいしてもいいかも知れない。褒めてるんだか貶してるんだかよく分からない言い方だけど。
外はやがて朝日が昇り始める時間だ。
まだ真っ暗闇に星が瞬く静かな時間だけど、あと十分くらいで東の方から明るくなるだろう。
今は朝の五時ちょっと。
この世界ではだいたい五時半くらいから日が昇り始め、夕方六時過ぎくらいに夜になる。
元の世界のように少しずつ時間がズレていくのかも知れないけど、この世界に来てまだ一ヶ月も経っていない僕にはまだ分からないことだ。
ともあれ、今は早く自分の部屋に帰って寝よう。
僕は地面に転がっている小さな五つの魔石を、アスポートでベッドの下に送った。
そして、サイコキネシスで地面から数センチだけ宙に浮いて、街に向かってフワフワと飛んで帰った。
僕が着いた時、ハワードさんの店は、ちょうど朝の仕込み途中の時間だった。焼き上がったパンを籐のかごに移しているネルさんに、ただいまと朝帰りの挨拶をした。
「あら、今までダンジョンにいたの? 無理はしないでと言ってるのに……」
朝帰りを変な風にとらえず、無理をするなと声をかけられて嬉しくなってしまった。
確かに、杖を持ってリュックを背負ってはいるけど、嫌な見方をして勝手な判断で朝帰りを責めてくる人もいるだろうに、ネルさんとハワードさんは、僕に対して孫のように寛容に接してくれる。それがむず痒い時もあるけど、この歳になってそれが優しさから出たものかどうかくらいは分かるようになっている。だから僕は、変に意地を張らずに、心配かけてすみません、と言うことができた。
朝ごはんを勧めてくれたけど、今は眠気が増さるので先に寝させてくださいと答えて、僕は部屋に入り、ベッドに倒れ込んだ。
次に目が覚めたのは、店の昼の営業が終わった頃だった。
僕は袋に入れたままだったウサギをハワードさんに渡した。一匹は生きていたけど、約一日もの間袋に入れたままだったからかぐったりしていた。
ハワードさんは「いつも悪いなあ」と言って受け取ると、「ちょっと待っててなあ」と言ってウサギを捌きにかかった。
テーブルの席に着き、ネルさんと話していると、ハワードさんがウサギ肉のスープとパンを持ってきてくれた。
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