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クリエイトウォーター
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クリエイトウォーターは水を創り出す魔法だそうだ。この魔法を使える魔法使いは少ないらしく、その為、この魔法のスクロールの値段もお高い。
確かに。遭難時のみならず、ダンジョン深くに入っている時に水が必要になる場面は沢山ありそうだ。
説明を聞いていたら欲しくなったのだけど、お姉さんの言葉通り値段が高くて躊躇してしまったのだ。
そのお値段、なんと金貨五枚だ。
買えないことはないし、僕の場合、一回買ってしまえば……ということもあって買ってしまっても良かったのだけど、説明の時に「地下深くまで潜るようなチャレンジャー様がたまに何枚か購入してくださるんですが、新人の方にはお勧めいたしかねる物ですね。寧ろ、ダンジョン内でこのスクロールを見つけたら当店までお持ちいただければと思います」と言われてしまったから。きっと見た目が新人、またはこの店に初めてやってきた奴にぼったくりのような真似はしないよ、という親切心だったのだと思うけど、買うか買うまいか悩んでいた僕から、買うという選択肢を取り上げられてしまった感じだ。
と、長々と思い出してしまうくらい、ちょっと後悔をしている一品だった。
ただ、このお姉さんは普通に良い人ではあった。何故なら、攻撃魔法のサンプルを見せてくれたからだ。
僕が持っているロックバレットのスクロールを「これって売れますかね?」と出してみたら、「これは多分攻撃魔法だったような……」と言って、攻撃魔法を書き写したサンプル表を取り出してくれたのだ。
テーブルに置いて、僕の出したスクロールと同じ文字が書かれた物を探してくれたのだが、その時に四つほど魔法を覚えさせてもらってしまったのだ。
これって泥棒になってしまうんだろうか。
ウインドアロー
ウインドスラッシュ
ウインドストーム
ロックウォール
ロックバレットに辿り着くまでに、ペラ、ペラ、と確認しながら開いてくれたので、僕も一緒に見ながらそれを覚えさせてもらった。
覚えきれなくて「あれ、そのウインドスラッシュとウインドストームというのはさっきの説明で出てこなかった魔法ですね?」とか質問して引き止めたりした。
どうやら、今はスクロールの在庫がないんだそうで、売れない物を説明するのも変かと思ったのだそうだ。
そして、ロックバレットのページの反対側にあるロックウォールを見ている時になって、「あ、ダメダメ、見て覚えちゃだめですよ。鑑定も有料なんですから」と思い出したかのようにロックウォールのページを隠されてしまった。素に戻った感じがちょっと可愛く見えてしまった。
お姉さん、色々とごめんなさい。
そしてありがとう。
で、申し訳なくなって買ったのがカオスファインダーという巻物だ。
実はこれも金貨五枚だったりする。
これは、魔法の対象が魔法の発動者に対して障害となる物/悪意を持っている者かどうかを見極められる魔法なんだそうだ。
例えば宝箱に対して使った場合、罠が仕掛けられていれば赤く光って見えるのだそうだ。
人に対して使う時は、普通に使ってもいいらしいけど、嘘発見器のように使うこともできるらしい。この魔法を発動して質問をして答えさせると、相手が嘘をついた場合は赤く光って見えるそうだ。
宝箱の罠がどんなものかまでは分からないみたいだけど、罠があるか無いかが分かるだけでもありがたい。罠が無いと分れば恐れずに宝箱を開けることができるからね。
さっそく、次の宝箱の時に使ってみよう。
そして、僕は買ったばかりのカオスファインダー・スクロールをダンジョン攻略ギルドに売りに行った。
実際のところ、今の僕はそれほどお金持ちではないのだ。
だから正直に「マジックポットで説明を聞いてたらつい買ってしまったけど、お金がないから買い取ってほしい」とギフに頼んだ。
「何個あっても無駄になるもんじゃねえから買ってやるぜ」と金貨二枚と大銀貨一枚で買い取ってくれた。大銀貨一枚分だけ、僕を憐れんでおまけしてくれたらしい。
その後は街をぶらついてみた。
すると、この世界に来て最初に泊まった宿が見えてきた。
一泊朝食付きで銀貨二十一枚はかなり高かったよなぁ。身分証を手に入れて銀貨十枚になった時は一瞬安いと思ったけど、それでもかなり高かったんだよね。
今、ハワードさんの所で部屋を借りられてるのはラッキーなことだよね、本当に。
「あ、フトウさん、ちわっす」
「こんにちは」
「ああ、どうも」
ぼんやりと歩いていたら、熊野君達と会ってしまった。
そして、挨拶だけしてすれ違おうとしたのだけど、呼び止められてお茶をすることになってしまったのだった。
確かに。遭難時のみならず、ダンジョン深くに入っている時に水が必要になる場面は沢山ありそうだ。
説明を聞いていたら欲しくなったのだけど、お姉さんの言葉通り値段が高くて躊躇してしまったのだ。
そのお値段、なんと金貨五枚だ。
買えないことはないし、僕の場合、一回買ってしまえば……ということもあって買ってしまっても良かったのだけど、説明の時に「地下深くまで潜るようなチャレンジャー様がたまに何枚か購入してくださるんですが、新人の方にはお勧めいたしかねる物ですね。寧ろ、ダンジョン内でこのスクロールを見つけたら当店までお持ちいただければと思います」と言われてしまったから。きっと見た目が新人、またはこの店に初めてやってきた奴にぼったくりのような真似はしないよ、という親切心だったのだと思うけど、買うか買うまいか悩んでいた僕から、買うという選択肢を取り上げられてしまった感じだ。
と、長々と思い出してしまうくらい、ちょっと後悔をしている一品だった。
ただ、このお姉さんは普通に良い人ではあった。何故なら、攻撃魔法のサンプルを見せてくれたからだ。
僕が持っているロックバレットのスクロールを「これって売れますかね?」と出してみたら、「これは多分攻撃魔法だったような……」と言って、攻撃魔法を書き写したサンプル表を取り出してくれたのだ。
テーブルに置いて、僕の出したスクロールと同じ文字が書かれた物を探してくれたのだが、その時に四つほど魔法を覚えさせてもらってしまったのだ。
これって泥棒になってしまうんだろうか。
ウインドアロー
ウインドスラッシュ
ウインドストーム
ロックウォール
ロックバレットに辿り着くまでに、ペラ、ペラ、と確認しながら開いてくれたので、僕も一緒に見ながらそれを覚えさせてもらった。
覚えきれなくて「あれ、そのウインドスラッシュとウインドストームというのはさっきの説明で出てこなかった魔法ですね?」とか質問して引き止めたりした。
どうやら、今はスクロールの在庫がないんだそうで、売れない物を説明するのも変かと思ったのだそうだ。
そして、ロックバレットのページの反対側にあるロックウォールを見ている時になって、「あ、ダメダメ、見て覚えちゃだめですよ。鑑定も有料なんですから」と思い出したかのようにロックウォールのページを隠されてしまった。素に戻った感じがちょっと可愛く見えてしまった。
お姉さん、色々とごめんなさい。
そしてありがとう。
で、申し訳なくなって買ったのがカオスファインダーという巻物だ。
実はこれも金貨五枚だったりする。
これは、魔法の対象が魔法の発動者に対して障害となる物/悪意を持っている者かどうかを見極められる魔法なんだそうだ。
例えば宝箱に対して使った場合、罠が仕掛けられていれば赤く光って見えるのだそうだ。
人に対して使う時は、普通に使ってもいいらしいけど、嘘発見器のように使うこともできるらしい。この魔法を発動して質問をして答えさせると、相手が嘘をついた場合は赤く光って見えるそうだ。
宝箱の罠がどんなものかまでは分からないみたいだけど、罠があるか無いかが分かるだけでもありがたい。罠が無いと分れば恐れずに宝箱を開けることができるからね。
さっそく、次の宝箱の時に使ってみよう。
そして、僕は買ったばかりのカオスファインダー・スクロールをダンジョン攻略ギルドに売りに行った。
実際のところ、今の僕はそれほどお金持ちではないのだ。
だから正直に「マジックポットで説明を聞いてたらつい買ってしまったけど、お金がないから買い取ってほしい」とギフに頼んだ。
「何個あっても無駄になるもんじゃねえから買ってやるぜ」と金貨二枚と大銀貨一枚で買い取ってくれた。大銀貨一枚分だけ、僕を憐れんでおまけしてくれたらしい。
その後は街をぶらついてみた。
すると、この世界に来て最初に泊まった宿が見えてきた。
一泊朝食付きで銀貨二十一枚はかなり高かったよなぁ。身分証を手に入れて銀貨十枚になった時は一瞬安いと思ったけど、それでもかなり高かったんだよね。
今、ハワードさんの所で部屋を借りられてるのはラッキーなことだよね、本当に。
「あ、フトウさん、ちわっす」
「こんにちは」
「ああ、どうも」
ぼんやりと歩いていたら、熊野君達と会ってしまった。
そして、挨拶だけしてすれ違おうとしたのだけど、呼び止められてお茶をすることになってしまったのだった。
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