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変化
24 たよりない
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便りがないのは元気な証拠。
ブンちゃんはそう言うけど、私は毎日気が気ではなかった。
コイルがいなくなってもう二ヶ月も経つんだよ。
コイルのことだから魔物にやられたとかはないと思うけど、ダンジョンに住み着いて出て来ないとか、アブクマを離れてて帰って来ないんじゃないかとか、他所に女を作ってんじゃないかとか、心配することは山ほどある訳で。
でも、「暫く一人にさせてほしい」という言葉に頷いちゃったからね。
もちろん、パーティーは解散しないし、帰って来ないとかはなしだからね、と言うお願いと約束はしてあるけど。
帰ってきた時に、コイルの横に知らない女が立ってたら意味がない。
あああ、不安だよ。
マヨイちゃんは最初のうちは「コイルが帰る場所はここ」とか言って余裕振ってたけど、他所で女を作ってる可能性を強調して話してからは日に日に情緒不安になってきてるみたい。
だいたいね、剣の練習してる時に無理矢理キスしたくらいで正妻気取りしてたから、ちょっといい気味だ。
あの時は本気で大喧嘩したからね。
人にはよく「抜け駆けするな」とか言ってたくせに、自分があんな抜け駆けするなんて!
まあ、それはブンちゃんの入れ知恵があったことが後で分かって、三つ巴の戦いになって、その中で色々と本音が出たおかげ? で、雨降って地固まるみたいな感じにはなったけど。
まあ、その時にブンちゃんはコイル狙いじゃないことが分かったのも収穫だった。
ブンちゃんは、ここにダンジョンができる前からアブクマに住んでる人で、とにかく地元愛が強い人らしい。
家族や好きだった人たちが住んでいたこの土地を守りたい。
だからここで戦い続けてる。
強い人にここで戦い続けてもらえるように動いてる。
あ、これは本音だな、ってなんとなく分かっちゃって、じゃあ、もう既成事実を作ってパーティーに引き入れるしかないな、って思ったんだよね。
既成事実っていっても変な事じゃなくて、パーティーしか知り得ない情報を共有しようって思ったんだけど……そんな事を勝手にしたのが駄目だったみたい。
既成事実を後でコイルに話したら、その日からコイルが私たちを見る目が変わってしまった。
もちろん、コイルの情報だけを選んで話したわけじゃなかった。
私の先読みのこともスキルの一つとして話したし、マヨイちゃんに至っては職業スキルの《戦術士》を持ってることを話していたくらいだし。
私たちはもう一心同体。
この数ヶ月でそんな関係になれていると勘違いをしていた私のせいだった。
でも、まだまだだったんだよね。
そりゃそうだよね。
何ヶ月も一緒に過ごしてたのに、コイルから何もされてないんだもん。
結構スキスキアピールはしてきたつもりなのに。
いつも一緒にいたから、やらしいお店に行ってないことは知ってるし、男が好きってわけでもなさそうだから、単に私たちを大事にしてくれてるんだろうなって、そう思ってたんだけど……
あー駄目だ。考えてると泣きそうになる。
私たちはコイルのことを知ってるようで知らない。
どちらかと言えば事なかれ主義で、嫌なこととでも受け入れることがあるけど、どこかに限界線みたいなのがあって、それを超えると強制排除か自主退場する。
穏やかで優しそうに見えるけど、そう見えてるうちは、その人に対して興味がない証。
それなりに長く一緒にいて分かったことはこれくらいかも知れない。
「ヌーコちゃん。マヨイちゃんを誘って黒石版を見に行かない?」
お出掛けから帰ってきたブンちゃんが、帰ってくるなりそう言った。
と言う事は、彼女は黒石版を見てきたってことだ。
だって、普段なら「図書館に行かない?」と聞いてくるからだ。
ブンちゃんは、少し回りくどいというか、持ってる情報に彼女の私見が入らないように気を付けているというか、とにかく、まずは私たちの目で情報を確認させたがる。
私たちは週に一回は図書館に行く。
コイルがそうしてたように、情報収集を怠らない事と、静かな所でゆったりと過ごす時間を作るためだ。
そして、図書館にはつい三日前に行ったばかりだ。
ブンちゃんは今まで、図書館を利用したことが無かったらしくて、黒石版の存在自体を知らなかったと言っていた。
神剣にいた頃はニンジャと呼ばれていたそうだけど、こんな普通の情報に気が付かないなんて意外に抜けてるのかな、と思ったけど、よくよく考えたら、私もコイルに教えてもらうまでは、訓練所でちらっと聞いたかな、程度の知識しかなかったし、入館料が高いから入ったことは一度もなかったっけ。
座禅を組んでいるマヨイちゃんに声をかけて、お昼ご飯を食べがてら、三人で図書館に行くことにしたのだった。
ニッパラダンジョン 魔王ダダルーヤ討伐に懸賞金2千万円
オーウチジュク跡 魔物街化
ハンゾーナガタミツケダンジョン スタンピード レベル3
ギンザアサクサダンジョン、シンジュクアケボノバシダンジョン スタンピード レベル2
「げっ……って魔王って何よ」
「ヌーコ」
「うん、ダダルーヤって、あのダダルーヤだよね……えーと、ダダルーヤンを名乗っていた殺人鬼が魔王化? した? アブクマダンジョン街(以下アブクマ)で管理局員殺しをして消息を断っていたダダルーヤであることを、元アブクマの探索者が確認。ダダルーヤはニッパラダンジョン内で魔物の軍団を使って籠城。現在、低階層に強力な魔物が増えてきている……」
「ここで管理局の人を殺してた? 魔物を従えている?」
あたしとマヨイちゃんは混乱中だ。
あのダダルーヤが魔王っていったい……
「あら? あなたたち、ダダルーヤを知ってたの?」
アレキサンドライトと言うギルドは、アブクマでは神剣と同じくらい名の通ったギルドだったらしい。
だから、そこのメンバーだったダダルーヤのことを、元々神剣に所属してたブンちゃんが知ってるのは不思議じゃない。
ちなみにアレキサンドライトは、最近ではダンジョンに潜らず、魔術師ギルドとして魔法の研究をしているらしい。
……でも、アイツと私たちの間に何があったのかなんて、さすがのニンジャでも知らないはず。
こんな記事を見せて何が言いたいんだろう。
もしかして、元アブクマの探索者がコイルじゃないかって言いたい?
「でも見て欲しいのはその下の記事よ」
私の考えなんかお見通しなのか、ブンちゃんは小さく首を横に振りながらそう言った。
中央都付近のスタンピードが複数起きてるのは確かに気になる記事だけど、それは私たちに関係ないよね。
となると、残る記事は一つ。
「オーウチジュク跡、魔物街化しているのが確認されるが、魔物が何処で湧いているかは不明。経過観察中に魔物が増えている様子はなし」
ブンちゃんはそう言うけど、私は毎日気が気ではなかった。
コイルがいなくなってもう二ヶ月も経つんだよ。
コイルのことだから魔物にやられたとかはないと思うけど、ダンジョンに住み着いて出て来ないとか、アブクマを離れてて帰って来ないんじゃないかとか、他所に女を作ってんじゃないかとか、心配することは山ほどある訳で。
でも、「暫く一人にさせてほしい」という言葉に頷いちゃったからね。
もちろん、パーティーは解散しないし、帰って来ないとかはなしだからね、と言うお願いと約束はしてあるけど。
帰ってきた時に、コイルの横に知らない女が立ってたら意味がない。
あああ、不安だよ。
マヨイちゃんは最初のうちは「コイルが帰る場所はここ」とか言って余裕振ってたけど、他所で女を作ってる可能性を強調して話してからは日に日に情緒不安になってきてるみたい。
だいたいね、剣の練習してる時に無理矢理キスしたくらいで正妻気取りしてたから、ちょっといい気味だ。
あの時は本気で大喧嘩したからね。
人にはよく「抜け駆けするな」とか言ってたくせに、自分があんな抜け駆けするなんて!
まあ、それはブンちゃんの入れ知恵があったことが後で分かって、三つ巴の戦いになって、その中で色々と本音が出たおかげ? で、雨降って地固まるみたいな感じにはなったけど。
まあ、その時にブンちゃんはコイル狙いじゃないことが分かったのも収穫だった。
ブンちゃんは、ここにダンジョンができる前からアブクマに住んでる人で、とにかく地元愛が強い人らしい。
家族や好きだった人たちが住んでいたこの土地を守りたい。
だからここで戦い続けてる。
強い人にここで戦い続けてもらえるように動いてる。
あ、これは本音だな、ってなんとなく分かっちゃって、じゃあ、もう既成事実を作ってパーティーに引き入れるしかないな、って思ったんだよね。
既成事実っていっても変な事じゃなくて、パーティーしか知り得ない情報を共有しようって思ったんだけど……そんな事を勝手にしたのが駄目だったみたい。
既成事実を後でコイルに話したら、その日からコイルが私たちを見る目が変わってしまった。
もちろん、コイルの情報だけを選んで話したわけじゃなかった。
私の先読みのこともスキルの一つとして話したし、マヨイちゃんに至っては職業スキルの《戦術士》を持ってることを話していたくらいだし。
私たちはもう一心同体。
この数ヶ月でそんな関係になれていると勘違いをしていた私のせいだった。
でも、まだまだだったんだよね。
そりゃそうだよね。
何ヶ月も一緒に過ごしてたのに、コイルから何もされてないんだもん。
結構スキスキアピールはしてきたつもりなのに。
いつも一緒にいたから、やらしいお店に行ってないことは知ってるし、男が好きってわけでもなさそうだから、単に私たちを大事にしてくれてるんだろうなって、そう思ってたんだけど……
あー駄目だ。考えてると泣きそうになる。
私たちはコイルのことを知ってるようで知らない。
どちらかと言えば事なかれ主義で、嫌なこととでも受け入れることがあるけど、どこかに限界線みたいなのがあって、それを超えると強制排除か自主退場する。
穏やかで優しそうに見えるけど、そう見えてるうちは、その人に対して興味がない証。
それなりに長く一緒にいて分かったことはこれくらいかも知れない。
「ヌーコちゃん。マヨイちゃんを誘って黒石版を見に行かない?」
お出掛けから帰ってきたブンちゃんが、帰ってくるなりそう言った。
と言う事は、彼女は黒石版を見てきたってことだ。
だって、普段なら「図書館に行かない?」と聞いてくるからだ。
ブンちゃんは、少し回りくどいというか、持ってる情報に彼女の私見が入らないように気を付けているというか、とにかく、まずは私たちの目で情報を確認させたがる。
私たちは週に一回は図書館に行く。
コイルがそうしてたように、情報収集を怠らない事と、静かな所でゆったりと過ごす時間を作るためだ。
そして、図書館にはつい三日前に行ったばかりだ。
ブンちゃんは今まで、図書館を利用したことが無かったらしくて、黒石版の存在自体を知らなかったと言っていた。
神剣にいた頃はニンジャと呼ばれていたそうだけど、こんな普通の情報に気が付かないなんて意外に抜けてるのかな、と思ったけど、よくよく考えたら、私もコイルに教えてもらうまでは、訓練所でちらっと聞いたかな、程度の知識しかなかったし、入館料が高いから入ったことは一度もなかったっけ。
座禅を組んでいるマヨイちゃんに声をかけて、お昼ご飯を食べがてら、三人で図書館に行くことにしたのだった。
ニッパラダンジョン 魔王ダダルーヤ討伐に懸賞金2千万円
オーウチジュク跡 魔物街化
ハンゾーナガタミツケダンジョン スタンピード レベル3
ギンザアサクサダンジョン、シンジュクアケボノバシダンジョン スタンピード レベル2
「げっ……って魔王って何よ」
「ヌーコ」
「うん、ダダルーヤって、あのダダルーヤだよね……えーと、ダダルーヤンを名乗っていた殺人鬼が魔王化? した? アブクマダンジョン街(以下アブクマ)で管理局員殺しをして消息を断っていたダダルーヤであることを、元アブクマの探索者が確認。ダダルーヤはニッパラダンジョン内で魔物の軍団を使って籠城。現在、低階層に強力な魔物が増えてきている……」
「ここで管理局の人を殺してた? 魔物を従えている?」
あたしとマヨイちゃんは混乱中だ。
あのダダルーヤが魔王っていったい……
「あら? あなたたち、ダダルーヤを知ってたの?」
アレキサンドライトと言うギルドは、アブクマでは神剣と同じくらい名の通ったギルドだったらしい。
だから、そこのメンバーだったダダルーヤのことを、元々神剣に所属してたブンちゃんが知ってるのは不思議じゃない。
ちなみにアレキサンドライトは、最近ではダンジョンに潜らず、魔術師ギルドとして魔法の研究をしているらしい。
……でも、アイツと私たちの間に何があったのかなんて、さすがのニンジャでも知らないはず。
こんな記事を見せて何が言いたいんだろう。
もしかして、元アブクマの探索者がコイルじゃないかって言いたい?
「でも見て欲しいのはその下の記事よ」
私の考えなんかお見通しなのか、ブンちゃんは小さく首を横に振りながらそう言った。
中央都付近のスタンピードが複数起きてるのは確かに気になる記事だけど、それは私たちに関係ないよね。
となると、残る記事は一つ。
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