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職業スキル
8 《付与術師》
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やっぱり、自分以外の生物には効かない事もあるな。
《付与術師》で相手の能力を下げる、所謂デバフと呼ばれる使い方のネガティブなポイントについて考える。
まあ、今も考えてたように、対象のレベルや抵抗力次第では魔法が弾かれることもある。
相手がよっぽど油断していて、魔法をかけられること自体に意識が向いてなければすんなりかかる事もあるが、基本的に生物が持っている生存本能というか、自衛の為の反射的な防御というのがあるから、意識が向いてないからと言っても100%成功するとも言えない。
今のところ分かっているのは、油断してるところよりも、何かほかのことに集中してる時のが成功率が高めだということくらいだ。
逆に、自分の能力を上げるバフ系の《付与術師》はほぼ間違いなく成功する。
ただ、これにもネガティブなポイントがある。
それは、能力を上げた分だけあとで反動が来ることだ。
身体能力を上げた場合は筋肉痛や頭痛で苦しむことになるからな。
それに、能力度を一時的に上げたとしても、それを有効に使いこなすスキルがないとあまり意味がない。
《付与術師》には肉弾戦を補助できるスキルがないからな。やっぱ同じSRなら《魔法剣士》がよかったわ。
はぁ……。
まあ、嘆いてもクラスが変わる訳じゃなし、これで成果をだして成り上がるしかない。
頭を切り替えないと。
で、何が出来るかって考えれば、やっぱり能力を上げたり下げたりすんじゃなくて、着てる鎧を軽くしたり、より硬くして身を守ること。
そして部下の武器の硬さや切れ味を上げてやること、だ。
そうしておけば大抵の敵には負けないだろう。
ただ、怖いのは部下の裏切りだ。
だから強い武器を作って渡すだけ、という事にはならない。
まー、その問題点もこないだのテストで解消できそうだけどな。
「重さを羽のように軽くする」
「硬さを3倍にする」
「付与術師に攻撃しようとすると装備が外れなくなる」
「付与術師に攻撃しようとすると装備箇所が麻痺する」
前に仕込んでおいたこのヘルムを装備したヤツがやっと来たからだ。
俺のことを知らないヤツにも効くのか確認したくて、2つ下の階層のチェストに入れておいたもんだ。
被れば見た目はただのヘルムだ。
顎の下から胸の辺りまで、保護するように鎖帷子が付いてるから、単体で見ると胸像みたいな形なんだけどな。
ただ、持てばその異常な軽さに驚いたろうし、試せばその硬さにも驚いたことだろう。
ダンジョン産のマジックアイテムと思ったかも知れない。
いや、実際に魔法の効果が付与されてるんだからマジックアイテムなのか。
半分、呪いみたいな効果だけど。
俺に攻撃を仕掛けない限りは、かなり強力なマジックヘルムとして気に入って使ってもらえてたんじゃないだろうか。
しかしあれだ。
敵方に俺が作ったアイテムを持ってるヤツがいると戦いが凄く楽になるな。
ただ、あのヘルム程あからさまな効果がある物は今後は警戒されるかも知れない。
もっとうまくこっそり敵を弱体化できる物を作らないとな。
もっと低階層にチェストを置くのもいいかも知れない。
さて。
でも、まずは部下に被せる「裏切ったら麻痺するヘルム」を作らないとな。
直属の20匹分。
で、ヘルムを被ったヤツに渡す武器も作らないと。
鞭ばっかりで働け働け言っても聞きゃしないからな。
分りやすい飴も用意してやらないと。
しかし、20匹分か。
なかなかハードだな。
でも、直接戦いたくない俺は、こうやって配下の連中を強化しておかなければ生き残れない。
他にもやることがあるから、そればかりに時間を割けないけど……まずは小隊長分の4個から作るか。
はぁ。
はぁぁ。
僕はまた溜息をついてしまった。
良くないと思いつつ、スキルボードを開いては、灰色のままの《付与術師》を見ては溜息をついてを繰り返している。
《付与術師》器用度、感応度をレベル✕2点増加・付与魔法
何度読んでも凄い職業スキルだ。
これを見る度に、付与魔法が使えるようになったらあれを作ろうこれを作ろう、とか、支援魔術師として今以上に活躍する自分の姿を思い浮かべてニヤケてしまう。
これが現れたのはレベル14になった時だったかな。
それからは技能点を貯め続けてるんだけど、まだ取れるようにならない。
今はレベル17。
技能点はもう4点も貯まってるってのに。
そのせいか、最近は仲間から「なんで新しい魔法を覚えないんだ」って責められるようになってきてる。
特にリーダーが《ヒール》を取れ取れ言ってきてウザい。
まあ、ヒーラーを兼任させたい考えはよく分かるよ。
いれば前衛の死亡リスクは激下がりするだろうから。
でも、職業スキルを取るチャンスがあるなら挑戦したいじゃないか。
だから、《ヒール》も《キュア》も《アンチ》もリストに無いんだと伝えたら、「《応急手当》持ってるのに《ヒール》がないのかよ?」と呆れられてしまった。
でもさ、考えてみなよ?
キミは魔法系スキルを一つも取ってないじゃない?
その理由はキミの取得可能スキルリストに、魔法がないからなんでしょう?
僕が「攻撃魔法を使える人があと二人くらいいたらいいのにね。え? キミ、攻撃魔法が一つもないの? マジで?」ってキミに言ったらどう思うのかな?
とは言えないし、言わないけど。
でもさ、適材適所というか、役割ってのがあるでしょ?
僕はこのパーティーに攻撃呪文使いとして参加してるんだから。
今は単なる「土魔法の使い手」の僕だけど、《付与術師》が手に入ったら今のパーティーを抜けて新しく僕のパーティーを作るんだ。
《付与術師》で相手の能力を下げる、所謂デバフと呼ばれる使い方のネガティブなポイントについて考える。
まあ、今も考えてたように、対象のレベルや抵抗力次第では魔法が弾かれることもある。
相手がよっぽど油断していて、魔法をかけられること自体に意識が向いてなければすんなりかかる事もあるが、基本的に生物が持っている生存本能というか、自衛の為の反射的な防御というのがあるから、意識が向いてないからと言っても100%成功するとも言えない。
今のところ分かっているのは、油断してるところよりも、何かほかのことに集中してる時のが成功率が高めだということくらいだ。
逆に、自分の能力を上げるバフ系の《付与術師》はほぼ間違いなく成功する。
ただ、これにもネガティブなポイントがある。
それは、能力を上げた分だけあとで反動が来ることだ。
身体能力を上げた場合は筋肉痛や頭痛で苦しむことになるからな。
それに、能力度を一時的に上げたとしても、それを有効に使いこなすスキルがないとあまり意味がない。
《付与術師》には肉弾戦を補助できるスキルがないからな。やっぱ同じSRなら《魔法剣士》がよかったわ。
はぁ……。
まあ、嘆いてもクラスが変わる訳じゃなし、これで成果をだして成り上がるしかない。
頭を切り替えないと。
で、何が出来るかって考えれば、やっぱり能力を上げたり下げたりすんじゃなくて、着てる鎧を軽くしたり、より硬くして身を守ること。
そして部下の武器の硬さや切れ味を上げてやること、だ。
そうしておけば大抵の敵には負けないだろう。
ただ、怖いのは部下の裏切りだ。
だから強い武器を作って渡すだけ、という事にはならない。
まー、その問題点もこないだのテストで解消できそうだけどな。
「重さを羽のように軽くする」
「硬さを3倍にする」
「付与術師に攻撃しようとすると装備が外れなくなる」
「付与術師に攻撃しようとすると装備箇所が麻痺する」
前に仕込んでおいたこのヘルムを装備したヤツがやっと来たからだ。
俺のことを知らないヤツにも効くのか確認したくて、2つ下の階層のチェストに入れておいたもんだ。
被れば見た目はただのヘルムだ。
顎の下から胸の辺りまで、保護するように鎖帷子が付いてるから、単体で見ると胸像みたいな形なんだけどな。
ただ、持てばその異常な軽さに驚いたろうし、試せばその硬さにも驚いたことだろう。
ダンジョン産のマジックアイテムと思ったかも知れない。
いや、実際に魔法の効果が付与されてるんだからマジックアイテムなのか。
半分、呪いみたいな効果だけど。
俺に攻撃を仕掛けない限りは、かなり強力なマジックヘルムとして気に入って使ってもらえてたんじゃないだろうか。
しかしあれだ。
敵方に俺が作ったアイテムを持ってるヤツがいると戦いが凄く楽になるな。
ただ、あのヘルム程あからさまな効果がある物は今後は警戒されるかも知れない。
もっとうまくこっそり敵を弱体化できる物を作らないとな。
もっと低階層にチェストを置くのもいいかも知れない。
さて。
でも、まずは部下に被せる「裏切ったら麻痺するヘルム」を作らないとな。
直属の20匹分。
で、ヘルムを被ったヤツに渡す武器も作らないと。
鞭ばっかりで働け働け言っても聞きゃしないからな。
分りやすい飴も用意してやらないと。
しかし、20匹分か。
なかなかハードだな。
でも、直接戦いたくない俺は、こうやって配下の連中を強化しておかなければ生き残れない。
他にもやることがあるから、そればかりに時間を割けないけど……まずは小隊長分の4個から作るか。
はぁ。
はぁぁ。
僕はまた溜息をついてしまった。
良くないと思いつつ、スキルボードを開いては、灰色のままの《付与術師》を見ては溜息をついてを繰り返している。
《付与術師》器用度、感応度をレベル✕2点増加・付与魔法
何度読んでも凄い職業スキルだ。
これを見る度に、付与魔法が使えるようになったらあれを作ろうこれを作ろう、とか、支援魔術師として今以上に活躍する自分の姿を思い浮かべてニヤケてしまう。
これが現れたのはレベル14になった時だったかな。
それからは技能点を貯め続けてるんだけど、まだ取れるようにならない。
今はレベル17。
技能点はもう4点も貯まってるってのに。
そのせいか、最近は仲間から「なんで新しい魔法を覚えないんだ」って責められるようになってきてる。
特にリーダーが《ヒール》を取れ取れ言ってきてウザい。
まあ、ヒーラーを兼任させたい考えはよく分かるよ。
いれば前衛の死亡リスクは激下がりするだろうから。
でも、職業スキルを取るチャンスがあるなら挑戦したいじゃないか。
だから、《ヒール》も《キュア》も《アンチ》もリストに無いんだと伝えたら、「《応急手当》持ってるのに《ヒール》がないのかよ?」と呆れられてしまった。
でもさ、考えてみなよ?
キミは魔法系スキルを一つも取ってないじゃない?
その理由はキミの取得可能スキルリストに、魔法がないからなんでしょう?
僕が「攻撃魔法を使える人があと二人くらいいたらいいのにね。え? キミ、攻撃魔法が一つもないの? マジで?」ってキミに言ったらどう思うのかな?
とは言えないし、言わないけど。
でもさ、適材適所というか、役割ってのがあるでしょ?
僕はこのパーティーに攻撃呪文使いとして参加してるんだから。
今は単なる「土魔法の使い手」の僕だけど、《付与術師》が手に入ったら今のパーティーを抜けて新しく僕のパーティーを作るんだ。
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