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今日は4階層でゴブリン、ゴブリンキャスター、ジャイアントアントを狩りに狩りまくっている。
誰かに気を遣わないでやりたいようにやれるのは気分爽快だ。
拾った小魔石の数は、50を超えたところからはちゃんと数えてない。
滅多に出てこないジャイアントアントの巣を見つけられたのは運が良かった。
ジャイアントアントの巣ができる空洞は、最初にいる数匹ーー今回は4匹だったーーを倒せば、あとは巣穴が消滅するまでの間、巣穴から一匹ずつ出てくるという、俺にとってはボーナス仕様だった。
ジャイアントアントが巣穴から顔をだす度に、俺のウォーハンマーでモグラ叩きのように叩き続けた。
途中でレベルアップの声が聞こえたけど、一匹でも多く倒したかったから放置して叩き続けた。
更にもう一回レベルアップの声が聞こえたのとほぼ同時に巣穴は消滅した。
コイル
人族・オス・22年
正常
レベル15(能力点0・技能点9)
生命力20
精神力20
筋力度2
敏捷度2
器用度2
体力度10
感応度2
知覚度2
《鎚鉾3》
《鎚鉾派生・衝撃》
《鎚鉾派生・軽量化》
あと少しだ。
心地良い「仕事したなあ」感に浸りながら体力度に能力点を追加した。
持久力もそうだけど、この体力度っていうのは防御力にもかなり影響してるんじゃないかと思うようになったからだ。
先の階層に進むためには他の能力も上げていかないと通用しなくなる、所謂「詰み」状態になるかも知れなという不安もある、けど。
そうなったらそうなったで、今やってるみたいに行ける範囲で稼ぎ続ければいい。
スキルボードを確認する。
残念ながら《付与術士》も《占術師》もまだグレーアウトしたままだ。
でも、新しく《頑強》と《拡張》というスキルが増えていた。
スキル名から予測できるのは《頑強》は体力度関連だろうということだ。
これが防御力が上がるスキルなら、俺の「体力度が防御力に影響しているんじゃないか」という予想を更に強めることになる。
今すぐ取って検証したいけど、あと1レベルで目標の未使用技能点10点到達だからな……今は我慢だ。
《拡張》についてはどんなスキルなのかまったく検討がつかない。
そもそも、俺の何が影響して出てきたスキルなのかが分からない。
とりあえず、よく分からないものには手を出さないでおくことにした。
腹が減ってきたので2階層まで一気に戻る。
まだ検証回数が少ないんだけど、2階層に出てくる魔物の攻撃は、どうやら、俺にはもうまったく通らないっぽいからだ。
2階層に戻って来て、その空洞にいたジャイアントバットを難なく倒して……嘘。空を飛んでる敵の撃退はまだまだ俺には難しい。
まあ、ともかく巨大なコウモリを倒してからバックパックを地面に降ろし、そこから昼飯のおにぎりセットと水筒を取り出す。
おにぎりセットは800円。ダンジョン入口の側で、朝だけリヤカーで移動販売をしてくれてるバイキさんの所で買ったものだ。
バイキさんの店に行けば500円で売ってるものだけど、店はお昼くらいからしかやってないから、朝から潜る貧乏探索者は多少高くてもこれを買うしかないんだ。
ダンジョンの中だというのに、まったりのんびりとおにぎりを頬張る。今日の具は唐揚げか! これはテンションが上がるな!
おにぎり3個を完食して水筒の水を飲み干す。
少し休んだら、下に行く前に、忘れずに恵みの湧き水ポイントに行かないとな。
そんな風に今日の午後の予定を考えながら、一応、懐中時計を出して時間を確認する。
「うわ……」
つい声を出してしまった。
まだ昼くらいだと思っていたのに、時計の針は午後4時を指していたのだった。
あーーーーーああ!
はぁ…………
何もやる気がしない。
考えるのは、なんであんなバカをやったんだ、って後悔ばかりだ。
もう少し考えれば分かってたことだろうに。
俺は後衛。
前衛に守られなきゃ戦えないロールだってーの。
「…………はぁ」
俺がバカやって腕を無くしてから、もう一週間が過ぎた。
グッチは毎日診療所に来てくれたけど、世話をやかれ過ぎて「お前は俺の母親か」って感じだ。
診療所を出て、部屋に戻ってからは一緒に住み始めちゃったし、正直、少々うざい感じだ。
本当、少し放っておいてほしいんだけどな。
ってことで、グッチが買い物に出てる間に部屋を出てみた。
片手がないことで注目されるかと少し心配してたけど、ここには腕や足を無くした奴は結構多かったんだった。俺もその内の一人になったってだけで、誰かの視線に嫌な思いをすることは特になかった。
久々の外はいい気分転換になった。
財布はグッチに管理されてて1円も持ってないから何もできないけどな。
ただぶらぶらと歩き続けた。
特に行こうと思ったわけじゃなかったんだが、気がつけばダンジョンの入口に辿り着いていた。
診療所を出てから、1回だけコイルと会って話をした。
コイルは命の恩人だ。
それは今回のことだけじゃなくて、今までもずっと、危険な前衛を一人でやってくれていたことも含めてだ。
だから、俺がやらかしたバカな行動で怒っても仕方ないと思ってた。
グッチからは、グッチがコイルにかなり酷いことを言ったってことを聞いていた。
グッチ自身も、治癒系のスキルも魔法も持ってないのに、同じく治癒系を取ることができないコイルを罵倒しちまったんだそうだ。
なのに、最後に話した時、コイルは「今までありがとう。これからはお互い別々に頑張ろう」とだけしか言わなかった。
「ありがとうってきちぃな……」
もうお前とはやってらんねぇよって、怒鳴られて脱退された方が楽だったのによ。
もう、完全に別の目線で話してんだもんな。
俺らに対して怒らないのは、俺らのことに、もう、何の興味も関心もないってことなんだろう。
俺がバカばっかりやったせいだ。
俺は仲間を、友達を、一人失ったんだ。
誰かに気を遣わないでやりたいようにやれるのは気分爽快だ。
拾った小魔石の数は、50を超えたところからはちゃんと数えてない。
滅多に出てこないジャイアントアントの巣を見つけられたのは運が良かった。
ジャイアントアントの巣ができる空洞は、最初にいる数匹ーー今回は4匹だったーーを倒せば、あとは巣穴が消滅するまでの間、巣穴から一匹ずつ出てくるという、俺にとってはボーナス仕様だった。
ジャイアントアントが巣穴から顔をだす度に、俺のウォーハンマーでモグラ叩きのように叩き続けた。
途中でレベルアップの声が聞こえたけど、一匹でも多く倒したかったから放置して叩き続けた。
更にもう一回レベルアップの声が聞こえたのとほぼ同時に巣穴は消滅した。
コイル
人族・オス・22年
正常
レベル15(能力点0・技能点9)
生命力20
精神力20
筋力度2
敏捷度2
器用度2
体力度10
感応度2
知覚度2
《鎚鉾3》
《鎚鉾派生・衝撃》
《鎚鉾派生・軽量化》
あと少しだ。
心地良い「仕事したなあ」感に浸りながら体力度に能力点を追加した。
持久力もそうだけど、この体力度っていうのは防御力にもかなり影響してるんじゃないかと思うようになったからだ。
先の階層に進むためには他の能力も上げていかないと通用しなくなる、所謂「詰み」状態になるかも知れなという不安もある、けど。
そうなったらそうなったで、今やってるみたいに行ける範囲で稼ぎ続ければいい。
スキルボードを確認する。
残念ながら《付与術士》も《占術師》もまだグレーアウトしたままだ。
でも、新しく《頑強》と《拡張》というスキルが増えていた。
スキル名から予測できるのは《頑強》は体力度関連だろうということだ。
これが防御力が上がるスキルなら、俺の「体力度が防御力に影響しているんじゃないか」という予想を更に強めることになる。
今すぐ取って検証したいけど、あと1レベルで目標の未使用技能点10点到達だからな……今は我慢だ。
《拡張》についてはどんなスキルなのかまったく検討がつかない。
そもそも、俺の何が影響して出てきたスキルなのかが分からない。
とりあえず、よく分からないものには手を出さないでおくことにした。
腹が減ってきたので2階層まで一気に戻る。
まだ検証回数が少ないんだけど、2階層に出てくる魔物の攻撃は、どうやら、俺にはもうまったく通らないっぽいからだ。
2階層に戻って来て、その空洞にいたジャイアントバットを難なく倒して……嘘。空を飛んでる敵の撃退はまだまだ俺には難しい。
まあ、ともかく巨大なコウモリを倒してからバックパックを地面に降ろし、そこから昼飯のおにぎりセットと水筒を取り出す。
おにぎりセットは800円。ダンジョン入口の側で、朝だけリヤカーで移動販売をしてくれてるバイキさんの所で買ったものだ。
バイキさんの店に行けば500円で売ってるものだけど、店はお昼くらいからしかやってないから、朝から潜る貧乏探索者は多少高くてもこれを買うしかないんだ。
ダンジョンの中だというのに、まったりのんびりとおにぎりを頬張る。今日の具は唐揚げか! これはテンションが上がるな!
おにぎり3個を完食して水筒の水を飲み干す。
少し休んだら、下に行く前に、忘れずに恵みの湧き水ポイントに行かないとな。
そんな風に今日の午後の予定を考えながら、一応、懐中時計を出して時間を確認する。
「うわ……」
つい声を出してしまった。
まだ昼くらいだと思っていたのに、時計の針は午後4時を指していたのだった。
あーーーーーああ!
はぁ…………
何もやる気がしない。
考えるのは、なんであんなバカをやったんだ、って後悔ばかりだ。
もう少し考えれば分かってたことだろうに。
俺は後衛。
前衛に守られなきゃ戦えないロールだってーの。
「…………はぁ」
俺がバカやって腕を無くしてから、もう一週間が過ぎた。
グッチは毎日診療所に来てくれたけど、世話をやかれ過ぎて「お前は俺の母親か」って感じだ。
診療所を出て、部屋に戻ってからは一緒に住み始めちゃったし、正直、少々うざい感じだ。
本当、少し放っておいてほしいんだけどな。
ってことで、グッチが買い物に出てる間に部屋を出てみた。
片手がないことで注目されるかと少し心配してたけど、ここには腕や足を無くした奴は結構多かったんだった。俺もその内の一人になったってだけで、誰かの視線に嫌な思いをすることは特になかった。
久々の外はいい気分転換になった。
財布はグッチに管理されてて1円も持ってないから何もできないけどな。
ただぶらぶらと歩き続けた。
特に行こうと思ったわけじゃなかったんだが、気がつけばダンジョンの入口に辿り着いていた。
診療所を出てから、1回だけコイルと会って話をした。
コイルは命の恩人だ。
それは今回のことだけじゃなくて、今までもずっと、危険な前衛を一人でやってくれていたことも含めてだ。
だから、俺がやらかしたバカな行動で怒っても仕方ないと思ってた。
グッチからは、グッチがコイルにかなり酷いことを言ったってことを聞いていた。
グッチ自身も、治癒系のスキルも魔法も持ってないのに、同じく治癒系を取ることができないコイルを罵倒しちまったんだそうだ。
なのに、最後に話した時、コイルは「今までありがとう。これからはお互い別々に頑張ろう」とだけしか言わなかった。
「ありがとうってきちぃな……」
もうお前とはやってらんねぇよって、怒鳴られて脱退された方が楽だったのによ。
もう、完全に別の目線で話してんだもんな。
俺らに対して怒らないのは、俺らのことに、もう、何の興味も関心もないってことなんだろう。
俺がバカばっかりやったせいだ。
俺は仲間を、友達を、一人失ったんだ。
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