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鑑定
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魔道具、魔具、神具とか呼び方は様々あるけど、詰まるところ、これらは「特殊な力を発揮する道具」という意味では同じ物らしい。
あえて違いを説明するのなら、魔道具は人が作り出した物で、魔具は現在の技術では作れない物、神具も現在の技術では作り出せない物で、尚且、特殊な力というのが神の奇跡にも近しい物だそうだ
僕は今、迷宮を出て外街のダルダロイに来ている。
ミツキがひょっこり帰ってきたりしないかな、とかを考えてのことじゃないよ。
魔道具や魔具を探しにやってきたんだ。そして、その鑑定をしてる人と会えたらいいな、というのも目的の一つだ。
《再生機》で再生できる場面は、戦闘の場面だけじゃないことが分かった。
前は共闘、それか敵として戦った時だけが対象だと思ってたんだけど、最近は会話をするとか、一緒に食事をしたとか、つまり、戦闘じゃなくても再生できるようになったんだよね。これは《再生機》を使い続けたことによるスキルの成長なのかも知れない。
まあ、会話中や食事中にスキルを使ってる人はほとんどいないんだけど。
でも、まったくいないわけでもないんだよね。《人物鑑定》《天秤》《偽装》《変装》《スリ》《詐欺術》《商談術》《誘惑術》《手品師》などなど。
これらは《危険感知》に引っ掛かるものもあるし、まったく感じ取れないものもある。だから、魔道具探しをするのに比較的スキル持ちが少ない外街に来たってわけなんだ。
作戦はこうだ。僕が「白竜の爪」の買い取り見積もりをお願いして、もしも相手が買うと行った場合、「これが何なのか知ってますか?」と聞く。そしてその返事を《天秤》で確認させてもらう。
我ながらいい作戦だと思ったんだけど、今は既に七店舗目だ。適当な目利きばかりで、「これが何なのか知ってるか」と聞くと、「知ってるけどそれ程の物じゃない。この値段で納得いかないなら帰ってくれ」で「嘘」、つまり知らなかったり、「何なのかは分からないけど、なかなかの品だと思うのでぜひ買い取らせてほしい」で「真実」、つまり本当に知らなかったりと、なかなか本物に出会うことができない。
まあ、途中で、魔力が無い人でも使える魔道具を何個か見ることができたので、まったくの無駄ではないんだけどね。それに以外に質のいい武器なんかも置いてあったりするし。
今日はそろそろ諦めようか。そう思って大きめの立派な宿屋に入った時だった。「いらっしゃいませ」の言葉が聞こえてきた瞬間、僕の《危険感知》が反応したので、咄嗟に《再生機》を使った。
どうやら、入口の奥に立っていた店員が、僕に《人物鑑定》を使ったようだ。
彼の目で観て見ると、今まで僕が使っていた《人物鑑定》よりもより多くの情報を見ることができた。
ソルト
人族
男性
一九歳
レベル三五
メールスフィアの迷宮の探索者。探索者ギルド所属。犯罪歴はなし。
迷宮巨大赤虎特殊討伐達成者
迷宮火吹きワニ特殊討伐達成者
迷宮巨大魔人像討伐達成者
五竜討伐達成者
《水魔法》《水弾》《水壁》《濃霧》《濁流》
これは……今まで出会った《人物鑑定》を使う人は、結構見れる人でもレベルとスキルまでだったんだけど、まさか。ギルドがどうとか、討伐した魔物の事まで見れるなんて。
スキルは《隠蔽》と《偽装》を使って《再生機》を隠した上で、《水魔法》だけを表示してある。実際、《隠蔽》と《偽装》をこういう使い方をしてる人がいたのを参考にしてるんだけど役に立ってる。
レベルも一〇下がって見えてるし問題ないかな。
しかし他の項目はどうしようか。ん~、まあ、本当のレベルとスキル以外は見られて困るものじゃないからこのままでもいいか。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは。あのとりあえず一泊お願いしたいんですけど部屋は空いてますか?」
「はい。すぐにご用意させていただきます。こちらへどうぞ」
こういう「いい宿」に来ると、僕の身なりがしょぼいからか、宿代は先払いですが、とか言ってくる所もあるんだけど、僕の情報を盗み見たからか、彼はそんな事は言ってこなかった。
スキルを使えるってことは、彼も過去には迷宮探索をしてたのかも知れない。だとしたら、レイドモンスターの名前くらいは知ってるんだろうし、それで得られる報酬のことも分かってるんだろう。
レイドモンスターの討伐報酬である金貨は、一枚三十万円で換金できるからね。なんか、金に微量の魔力が含まれてることと、そのコインの図柄が人気だから値段が高いんだとか。
そんなレイドモンスターを何体も倒してることが分かってれば、金の心配なんかしないよね。
僕は出された紙に名前を書いて、夕飯と朝食もお願いできるか確認してみた。もう夕方近いから無理かな、と思ってたんだけど、彼は「承ります」と丁寧に返事をしてくれた。
あえて違いを説明するのなら、魔道具は人が作り出した物で、魔具は現在の技術では作れない物、神具も現在の技術では作り出せない物で、尚且、特殊な力というのが神の奇跡にも近しい物だそうだ
僕は今、迷宮を出て外街のダルダロイに来ている。
ミツキがひょっこり帰ってきたりしないかな、とかを考えてのことじゃないよ。
魔道具や魔具を探しにやってきたんだ。そして、その鑑定をしてる人と会えたらいいな、というのも目的の一つだ。
《再生機》で再生できる場面は、戦闘の場面だけじゃないことが分かった。
前は共闘、それか敵として戦った時だけが対象だと思ってたんだけど、最近は会話をするとか、一緒に食事をしたとか、つまり、戦闘じゃなくても再生できるようになったんだよね。これは《再生機》を使い続けたことによるスキルの成長なのかも知れない。
まあ、会話中や食事中にスキルを使ってる人はほとんどいないんだけど。
でも、まったくいないわけでもないんだよね。《人物鑑定》《天秤》《偽装》《変装》《スリ》《詐欺術》《商談術》《誘惑術》《手品師》などなど。
これらは《危険感知》に引っ掛かるものもあるし、まったく感じ取れないものもある。だから、魔道具探しをするのに比較的スキル持ちが少ない外街に来たってわけなんだ。
作戦はこうだ。僕が「白竜の爪」の買い取り見積もりをお願いして、もしも相手が買うと行った場合、「これが何なのか知ってますか?」と聞く。そしてその返事を《天秤》で確認させてもらう。
我ながらいい作戦だと思ったんだけど、今は既に七店舗目だ。適当な目利きばかりで、「これが何なのか知ってるか」と聞くと、「知ってるけどそれ程の物じゃない。この値段で納得いかないなら帰ってくれ」で「嘘」、つまり知らなかったり、「何なのかは分からないけど、なかなかの品だと思うのでぜひ買い取らせてほしい」で「真実」、つまり本当に知らなかったりと、なかなか本物に出会うことができない。
まあ、途中で、魔力が無い人でも使える魔道具を何個か見ることができたので、まったくの無駄ではないんだけどね。それに以外に質のいい武器なんかも置いてあったりするし。
今日はそろそろ諦めようか。そう思って大きめの立派な宿屋に入った時だった。「いらっしゃいませ」の言葉が聞こえてきた瞬間、僕の《危険感知》が反応したので、咄嗟に《再生機》を使った。
どうやら、入口の奥に立っていた店員が、僕に《人物鑑定》を使ったようだ。
彼の目で観て見ると、今まで僕が使っていた《人物鑑定》よりもより多くの情報を見ることができた。
ソルト
人族
男性
一九歳
レベル三五
メールスフィアの迷宮の探索者。探索者ギルド所属。犯罪歴はなし。
迷宮巨大赤虎特殊討伐達成者
迷宮火吹きワニ特殊討伐達成者
迷宮巨大魔人像討伐達成者
五竜討伐達成者
《水魔法》《水弾》《水壁》《濃霧》《濁流》
これは……今まで出会った《人物鑑定》を使う人は、結構見れる人でもレベルとスキルまでだったんだけど、まさか。ギルドがどうとか、討伐した魔物の事まで見れるなんて。
スキルは《隠蔽》と《偽装》を使って《再生機》を隠した上で、《水魔法》だけを表示してある。実際、《隠蔽》と《偽装》をこういう使い方をしてる人がいたのを参考にしてるんだけど役に立ってる。
レベルも一〇下がって見えてるし問題ないかな。
しかし他の項目はどうしようか。ん~、まあ、本当のレベルとスキル以外は見られて困るものじゃないからこのままでもいいか。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは。あのとりあえず一泊お願いしたいんですけど部屋は空いてますか?」
「はい。すぐにご用意させていただきます。こちらへどうぞ」
こういう「いい宿」に来ると、僕の身なりがしょぼいからか、宿代は先払いですが、とか言ってくる所もあるんだけど、僕の情報を盗み見たからか、彼はそんな事は言ってこなかった。
スキルを使えるってことは、彼も過去には迷宮探索をしてたのかも知れない。だとしたら、レイドモンスターの名前くらいは知ってるんだろうし、それで得られる報酬のことも分かってるんだろう。
レイドモンスターの討伐報酬である金貨は、一枚三十万円で換金できるからね。なんか、金に微量の魔力が含まれてることと、そのコインの図柄が人気だから値段が高いんだとか。
そんなレイドモンスターを何体も倒してることが分かってれば、金の心配なんかしないよね。
僕は出された紙に名前を書いて、夕飯と朝食もお願いできるか確認してみた。もう夕方近いから無理かな、と思ってたんだけど、彼は「承ります」と丁寧に返事をしてくれた。
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