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Y201

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 結構な大所帯になってきたので、迷宮主部屋創造で部屋数を増やした。
 最初からある部屋をメインモニターのあるリビングルームにして、ちゃんとしたキッチン、俺の部屋、男性用の部屋、女性用の部屋、遊技場用の大きな部屋、それから大きな風呂場を造った。
 これによって元はワンルームマンションだったのが、今や3LDKに大きなプレイルームと大きな風呂付きの高級マンションに昇格している。

 そのプレイルームはかなり大きく造ってみた。
 端から端までは30メートル近くあり、奥の壁にはアーチェリーのまとが置かれている。
 昨日の夜、男性陣も含め、新たに誕生した女性陣と共に、弓矢を使った遊び(対決)は20メートルの距離で行うルールに決めた。
 今日これから初試射をする予定だ。
 ちなみに、優勝はきっとカノコになるんだろうなと思っている。
 彼女たちのレベルは同じだが、持たせた技能がね……いや、ほら、風の子だからさ。
 

傀儡人形
名前 ツノコ
水準 3
技能 人間化 土魔法 道具鑑定

傀儡人形
名前 ミノコ
水準 3
技能 人間化 水魔法 家事全般

傀儡人形
名前 ヒノコ
水準 3
技能 人間化 火魔法 軽業

傀儡人形
名前 カノコ
水準 3
技能 人間化 風魔法 弓術


 事前に周辺に人がいないことを確認してあるし、昨日からスタンピードが止まっているので、魔物の出処を追いかけてもここに辿り着くのは難しい状況だろう。
 もちろん、外を確認してきてくれたのは半蔵と才蔵だ。

 ちなみに、アーチェリーの的や弓矢は銀貨で購入している。

 仕組みは謎なんだが、例の紙に書かれていた「銀貨10枚」を口にすると、モニターに「銀貨残高10枚」と表示され、壁にインターネット通販のような画面が表示されたのだ。
 その画面から欲しい物を選択すると、銀貨残高が足りてさえいれば、銀貨残高が減るのと引き換えに、部屋にあるテーブルの上に物が現れるのだ。

 ちなみに一週間分の食料を銀貨で買おうと思ったら、うまく調整しても銀貨で15枚はかかることが分かった。
 だから、今後も「食料一週間分」は使い続けることになるだろう。
 ただ、迷宮点1点で手に入れられる「食料一週間分」では味わえないような美味い食材やデザートなどを手に入れることができる。
 うまく使い分けていきたい。

 ちなみにちなみに、ゴーレムたちはダンジョンからエネルギーを吸い上げているそうで、人間の食べ物を摂取する必要はないそうだ。
 ただ、食べ物の美味い不味いは分かるらしく、美味いものは大好きなんだそうだ。

 今から行われる弓勝負にも優勝者のみが手に入れられる副賞が用意されていて、それは女性陣が選択したチーズケーキと紅茶だ。
 まだ食べたことが無いはずの物なのに、俺の記憶がベースになっているのか、それとも見た目で美味そうに感じたのかは分からないが、彼女たちは迷いなくそれを選んだのだった。

 ちなみにちなみにちなみに。
 チーズケーキは俺の好物の一つだし、紅茶もそうだ。

 ……こんなことを考えてたら、アールグレイのロイヤルミルクティーが飲みたくなってきたな。
 執事か家事全般のどちらかの効果なんだろうけど、執事が作ってくれるロイヤルミルクティーは美味いんだよなぁ。

「ほらほら! 始めよっ?」

 元気なカノコは造る時のイメージでは19歳の女子大生のはずだったが、思ったよりも精神年齢というかノリが若々しい。

「負けないからねー。あたしがチーズケーキを貰う!」

 ヒノコのイメージは24歳の元気で健康的で汗と笑顔が似合うスポーツインストラクターだ。こちらも思ってたよりも少しだけ幼いように感じるな。

「ほらほら二人とも慌てないで。私たちで作ったルールをちゃんと守りましょう?」

 ミノコは29歳の保母さんや看護婦さんがイメージ元だ。ミノコに関してはボチボチ思ってたのと近い感じになってるんじゃないだろうか。

「はぁ。私は弓じゃなくて《ロックスピア》で参加してもいいかしらね?」

 ツノコは34歳の仕事ができる女、冷たいようで、でも親切な図書館のお姉さんをイメージして造った。冷たいというよりも少し怖い雰囲気があるな。

    ここにナイスダンディの執事とナイスミドルの半蔵と才蔵が加わる。

 美男美女ばかりで、俺一人が残念な子だ。

 しかも、どうやったって、弓勝負に勝てる気がしない。
 ダンジョンマスター権限で自分用のチーズケーキを買うことはできるけど、できれば勝利して美味しくいただきたいものだけど。




「むむむ……」

 ヒノコは《軽業》があるから運動神経は良いはずだけど、やはり弓矢を扱うのはそんなに得意ではないようだ。

「おっかしいなー。カノコが圧勝すると思ってたのにぃ」

 意外や意外、と言ったら失礼な話だが、ツノコと才蔵が《弓術》を持っているカノコと互角の勝負をしていた。
 ここまでに全員が4射ずつ終わっていて、この三人が皆中していた。
 ここで言う皆中というのは、全部の矢が的のど真ん中の赤い部分に当たってる、という意味で使っている。
 何故なら、半蔵とヒノコも的には全射当たっているからだ。

 ちなみに俺は、3射目が的に当たっただけだ。それでも全射外さなかった事で結構満足している。
 ……いいんだよ。俺は元々単なる会社員だったんだから。
 初めて射った矢がサクサク当たる訳がないんだ。
 次は俺が取り組んでいるフリーランニングで勝負しようかな。
 それだって、半蔵才蔵カノコには勝てる気がしないけど。
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