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Y200
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16人は最初の部屋に戻り相談をしていた。
最終的に決まったのは、5人、4人、3人、4人の順にパーティーを区切って進むという方針だった。
まあ、5、3、3、5かそれのどちらかになるよな。
9人が奥に進み、7人が部屋に残った。
5人が扉の先に進み、残りの4人が進める状態になったら、部屋で待機してる7人に伝えに行く。
待ってる3人が進める状態になったら、残りの4人を呼びに行く。
作戦としては間違ってないと思う。
同じ状況にいたら、俺も同じ提案に頷いてただろうと思う。
でも、ソファーに座って気持ちに余裕がある状態で、なおかつ、その先が1階層とは思えないくらいいやらしい状態だと知ってる俺からすれば、この考えが随分と楽天的だなと感じる。
余程水準が高い侵入者なら余裕なのかも知れないけど。
それならなんの不安もなく、なんの疑いもなくこの作戦に頷く理由も分かるのだけど。
さっき手に入った迷宮点は5、10、10、25、25、50点だった。
つまり、水準1が一人と2が二人だったという事だ。
ほとんど初心者同然のメンバーが三人もいたのだ、一番水準が高い奴でも5くらいなものだろうと予想する。
まあ、偉そうに言っておいてなんだけど、俺はまだたったの二回目なんだよな。侵入者の襲撃を受けるの。
さてさて、どうなることやら。
「おっ、一気に三人まで増えたぞ」
この扉から次の扉までに入れる残り人数は三人です。
2分ほどしてから数字が三から五に変わる。
この数分のタイムラグに、4人の男女は首を捻る。
「アッチャーとカラリリオパか?」
「あー、あの二人ならやりそ」
「あー確かにな。俺らを怖がらせようとしたってか」
「えー、ホントに? なんか変じゃない? 1分以上後だったよ? なんかあったんじゃない?」
「ははっ。ケーヒャは怖がり過ぎだよ」
「そーだよ大丈夫だって。あいつら4レベだぜ?」
「とりあえず、前の5人が突破したみたいなんだから、まずは部屋に戻ろうぜ?」
条件付き扉の前で、先に扉を通って行った5人がどうなったのか。
扉の前で待っていた4人には知る由もない訳で、彼らの会話は侵入者としては妥当な内容だったのかも知れない。
ただ、こういった時は、映画的には一番臆病で慎重な発言が正解だ。
そして、今回のケースも、彼らが考えうる一番最悪に該当するのだった。
残念ながら、アッチャーとカラリリオパという名前らしい二人を含む五人は、魔物に追い詰められて罠に掛かかり、噴き出てガスのせいで一時的に視力を失ってしまった。
最終的に二人は崖から落ちて、目が見えない状態で水の中で死亡、そして灰化した。
他の三人が先に灰化したのは、魔物に直接トドメを刺されたからだった。
普通の迷宮について、壁や執事に質問したところ、やはり通常の迷宮は階層が深くなるごとに魔物が強くなっていくのだそうだ。
浅い階層ではほとんど罠はないらしい。
それに立体的な迷路を造る者も少ないのだそうだ。
それが一般的で標準的な造りなんだそうだ。
だから、壁も執事も、迷宮造りについて質問すると、そういったオーソドックスでスタンダードな造りを勧めてくるのだろう。
まあ、アドバイスとして聞き入れて、階層を増やすのだけはすぐに取り入れて対応した。
ただ、その後は再び1階層の改装・改造に着手したのだ。
だってな?
壁や執事の言うことを聞いていたら温い迷宮しか造れないだろ?
分かるよ?
1階層は罠もほとんどなくて、魔物も弱ければ、初心者マークの侵入者でも水準を上げられるだろうし、入る度に1時間以上滞在してくれたら迷宮点も1点手に入る。
ある程度育った侵入者が、深い階層で死んでくれたら大量得点だ。
水準1の侵入者を灰化させれば、死亡時の得点と合わせて30点。
水準5まで育った侵入者を灰化させれば150点。
長い目で見れば後者の方が明らかにお得だ。
でもなあ、と俺は思うわけだ。
前々から思っていた事なんだけど、どんなロールプレイングゲームでも、主人公の成長を促すかのように、主人公のスタート地点は敵が弱いことが多い。
その結果どうなるか。
ゲームなんだから当たり前だけど、徐々に強くなって成長した主人公はゲームの悪者を倒して、見事ゲームクリア! となるわけだ。
現状、俺は迷宮主というものになってしまっていて、それはつまり、ゲームで言うところのボスキャラみたいなものなんだと思う。
ゲームみたいに主人公たちに親切設計をしてあげてたら、最終的に死ぬのは俺なわけだ。
駄目だろう。
いつか侵入者が実質的ボスキャラ、つまり最終階層の階層主の所までやって来て、それを倒したことで俺が死ぬ、ってことは理解したし、理不尽だとは思うけど覚悟はできている。
ただ、それを促すような仕組みの迷宮を造ってやる必要はないんだよ。
オーソドックススタイルは、得点が稼げて寿命を延ばせそうに感じるけど、それは侵入者の迷宮踏破の手伝いをしてることに他ならないんだって。
ゲームなら「クソゲー、こんなのクリアできるか!」とプレイヤーが匙を投げるくらいの狂ったレベルの難しさにしないとダメなんだよ。
幸いにも、侵入者が全く来なくても、毎日4点の迷宮点が手に入るようになってることだしな。
単に生き延びるだけじゃなくて少しずつ迷宮の拡張もできるし。
だから、ここは1階層で初心者を全滅させるような鬼畜な迷宮にしても問題なしなわけだ。
俺は、ここを外道と呼ばれるような超ハードなダンジョンに造りあげてやる!
最終的に決まったのは、5人、4人、3人、4人の順にパーティーを区切って進むという方針だった。
まあ、5、3、3、5かそれのどちらかになるよな。
9人が奥に進み、7人が部屋に残った。
5人が扉の先に進み、残りの4人が進める状態になったら、部屋で待機してる7人に伝えに行く。
待ってる3人が進める状態になったら、残りの4人を呼びに行く。
作戦としては間違ってないと思う。
同じ状況にいたら、俺も同じ提案に頷いてただろうと思う。
でも、ソファーに座って気持ちに余裕がある状態で、なおかつ、その先が1階層とは思えないくらいいやらしい状態だと知ってる俺からすれば、この考えが随分と楽天的だなと感じる。
余程水準が高い侵入者なら余裕なのかも知れないけど。
それならなんの不安もなく、なんの疑いもなくこの作戦に頷く理由も分かるのだけど。
さっき手に入った迷宮点は5、10、10、25、25、50点だった。
つまり、水準1が一人と2が二人だったという事だ。
ほとんど初心者同然のメンバーが三人もいたのだ、一番水準が高い奴でも5くらいなものだろうと予想する。
まあ、偉そうに言っておいてなんだけど、俺はまだたったの二回目なんだよな。侵入者の襲撃を受けるの。
さてさて、どうなることやら。
「おっ、一気に三人まで増えたぞ」
この扉から次の扉までに入れる残り人数は三人です。
2分ほどしてから数字が三から五に変わる。
この数分のタイムラグに、4人の男女は首を捻る。
「アッチャーとカラリリオパか?」
「あー、あの二人ならやりそ」
「あー確かにな。俺らを怖がらせようとしたってか」
「えー、ホントに? なんか変じゃない? 1分以上後だったよ? なんかあったんじゃない?」
「ははっ。ケーヒャは怖がり過ぎだよ」
「そーだよ大丈夫だって。あいつら4レベだぜ?」
「とりあえず、前の5人が突破したみたいなんだから、まずは部屋に戻ろうぜ?」
条件付き扉の前で、先に扉を通って行った5人がどうなったのか。
扉の前で待っていた4人には知る由もない訳で、彼らの会話は侵入者としては妥当な内容だったのかも知れない。
ただ、こういった時は、映画的には一番臆病で慎重な発言が正解だ。
そして、今回のケースも、彼らが考えうる一番最悪に該当するのだった。
残念ながら、アッチャーとカラリリオパという名前らしい二人を含む五人は、魔物に追い詰められて罠に掛かかり、噴き出てガスのせいで一時的に視力を失ってしまった。
最終的に二人は崖から落ちて、目が見えない状態で水の中で死亡、そして灰化した。
他の三人が先に灰化したのは、魔物に直接トドメを刺されたからだった。
普通の迷宮について、壁や執事に質問したところ、やはり通常の迷宮は階層が深くなるごとに魔物が強くなっていくのだそうだ。
浅い階層ではほとんど罠はないらしい。
それに立体的な迷路を造る者も少ないのだそうだ。
それが一般的で標準的な造りなんだそうだ。
だから、壁も執事も、迷宮造りについて質問すると、そういったオーソドックスでスタンダードな造りを勧めてくるのだろう。
まあ、アドバイスとして聞き入れて、階層を増やすのだけはすぐに取り入れて対応した。
ただ、その後は再び1階層の改装・改造に着手したのだ。
だってな?
壁や執事の言うことを聞いていたら温い迷宮しか造れないだろ?
分かるよ?
1階層は罠もほとんどなくて、魔物も弱ければ、初心者マークの侵入者でも水準を上げられるだろうし、入る度に1時間以上滞在してくれたら迷宮点も1点手に入る。
ある程度育った侵入者が、深い階層で死んでくれたら大量得点だ。
水準1の侵入者を灰化させれば、死亡時の得点と合わせて30点。
水準5まで育った侵入者を灰化させれば150点。
長い目で見れば後者の方が明らかにお得だ。
でもなあ、と俺は思うわけだ。
前々から思っていた事なんだけど、どんなロールプレイングゲームでも、主人公の成長を促すかのように、主人公のスタート地点は敵が弱いことが多い。
その結果どうなるか。
ゲームなんだから当たり前だけど、徐々に強くなって成長した主人公はゲームの悪者を倒して、見事ゲームクリア! となるわけだ。
現状、俺は迷宮主というものになってしまっていて、それはつまり、ゲームで言うところのボスキャラみたいなものなんだと思う。
ゲームみたいに主人公たちに親切設計をしてあげてたら、最終的に死ぬのは俺なわけだ。
駄目だろう。
いつか侵入者が実質的ボスキャラ、つまり最終階層の階層主の所までやって来て、それを倒したことで俺が死ぬ、ってことは理解したし、理不尽だとは思うけど覚悟はできている。
ただ、それを促すような仕組みの迷宮を造ってやる必要はないんだよ。
オーソドックススタイルは、得点が稼げて寿命を延ばせそうに感じるけど、それは侵入者の迷宮踏破の手伝いをしてることに他ならないんだって。
ゲームなら「クソゲー、こんなのクリアできるか!」とプレイヤーが匙を投げるくらいの狂ったレベルの難しさにしないとダメなんだよ。
幸いにも、侵入者が全く来なくても、毎日4点の迷宮点が手に入るようになってることだしな。
単に生き延びるだけじゃなくて少しずつ迷宮の拡張もできるし。
だから、ここは1階層で初心者を全滅させるような鬼畜な迷宮にしても問題なしなわけだ。
俺は、ここを外道と呼ばれるような超ハードなダンジョンに造りあげてやる!
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