上 下
2 / 5

低温調理という魔法の言葉

しおりを挟む

ーある日突然、妻の料理が普通になったのだ。理由はデジタルで温度管理してるのだ。
俺は嬉しかった。これでもう大丈夫だと思った。
しかし、油断した。それは罠だった。
鶏肉を低温調理をしていたのだ。博識な方や食中毒に詳しい方は知ってる。
そうカンピロバクターだ。これは加熱しても菌自体は死んでいない。だから生き残った奴らは繁殖していた。
そして、妻は加熱が終わったと思って食わせてきた。特定条件が発動すると、中心温度が上がりきらず菌が生きるのだ。

「低温調理もキチンと知識を正しく理解し中心温度の確認は忘れずに
機械は壊れるし、いつもと同じでも冬等々の食材温度が冷たい
人の確認ミスが人の命を奪うから」

数日後に症状が表れる
腹痛・下痢・嘔吐・発熱などだ。
もちろん病院に行った。診断結果はカンピロバクター感染によるものだった。
そして症状が悪化した。
ギランバレー症候群になり一時期は生死をさまようほどヤバかった。
俺はベッドで点滴をしてもらいながら妻に説明をした。

「もう大丈夫だから、美味しい焼き肉行こうね。」
「うん。楽しみにしてるわ。」

退院後すぐに焼き肉屋に行って鶏刺しを妻は食べた。

案の定、妻がカンピロバクターに感染した。そして症状が悪化した。
体調を崩して入院した。
妻には毎日のように謝罪された。
「ごめんなさい。私がちゃんとしてれば良かったのに本当にゴメンナサイ」
「いいんだよ。気を付けてくれればいいんだ。」

そして、妻は亡くなってしまった。
あの時、一緒に焼き肉食べなければよかったのか? 


違うよね。こういう展開もあったかもしれない。妻は無事に生きている。
俺達は夫婦なんだから。
これからもずっと一緒だよ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あの日、さようならと言って微笑んだ彼女を僕は一生忘れることはないだろう

まるまる⭐️
恋愛
僕に向かって微笑みながら「さようなら」と告げた彼女は、そのままゆっくりと自身の体重を後ろへと移動し、バルコニーから落ちていった‥ ***** 僕と彼女は幼い頃からの婚約者だった。 僕は彼女がずっと、僕を支えるために努力してくれていたのを知っていたのに‥

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

処理中です...