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後日談
その後の話(濡れ場なし)
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「うわっ」
コンさんの部屋で俺と二人、くつろいでいる時、突然コンさんが何か汚いものを見たかのような声を上げた。
「……やっぱり全知全能ってのは良くないですね。この機能は切っておきましょう。」
そう呟いたコンさんに、俺はどうしたのかと問いかける。
「いえちょっと……今の僕は全知全能故に、ちょっと過去を見てしまったんです。」
「過去?何のだ?」
「……ニカさんの、過去を……。すみません、気になったので、つい……。」
それを聞いて、俺は血の気が引く思いをした。
あの淫らな日々をコンさんが見てしまったのか!!?!?神の権能を得たとはいえ、まだ生まれて一年にも満たない純粋な存在に、あれを!!?!!!??
コンさんは閉口している。どうやらその予想は的中しているようだ。
俺は震える声で言い訳をした。
「お、俺は、あの時ずっと、寂しかったんだ……だからあんな過ちを犯しただけで、コンさんにそれを求めているわけでは……」
「いえ、別に責めるつもりはないですけど……罪だとも思いませんし。」
コンさんは続ける。
「ただ……今まで見えていなかった側面が突然見えたから驚いただけで、そうですね……ニカさんは出会った時から、そういうとこありましたよね。」
「ぐっ……!」キスをされてそのままベッドまで連れ込んだ時は、流石に理性が吹き飛んでいたと、思い返して反省していたのに……!
「でも……そうですね、それも含めてニカさんなら、そういうところも含めて僕は愛しましょう。あの程度では僕は揺らぎませんから。」
コンさんはそう言って俺の側に寄り、俺を抱きしめた。
長年心に積もっていた雪が、溶けていくような心地がした。その暖かさに、つい涙が溢れてしまう。
「ほら泣かないでくださいよ。これからは、僕がずっと側にいますから。」
コンさんが塵紙を差し出してくる。それで涙を拭き取り、安心感に心を落ち着け、なんとか涙を引っ込めた。
「コンさん……ありがとう。こんな俺を愛してくれて……。」
「僕の方こそ、ニカさんが愛してくれて、昔も今もずっと幸せなんですよ。」
二人の間に暖かな沈黙が流れる。しかし、せっかくだから性について、もう少し詳しい話をしておこうと思い、俺の方から沈黙を破った。
「そういえば、こういうことについては、『今はしない』ということになっていたが……今の状況はどうなんだ?」
「ああ、それですか。それなんですけどね。」コンさんは続ける。
「あの時とは状況がかなり変わりました。僕は神の権能を失わない限り存在し続ける、永遠の存在になりました。」
「だから時間の猶予は沢山あるんですよね。」
「だからニカさんには、僕が人間の基準で成人するまで待ってもらおうと思ってます。」
「……えっ。」驚きで声が漏れる。それをよそにコンさんは続けた。
「もうすぐ僕は生まれて一年です。人間の成人の基準は二十歳なので、あと十九年間は、性的な接触は禁止です。」
「あと十九年、待ってくれますか?」
コンさんは整った顔で微笑んで、非常に残酷なことを告げた。この自慰狂いの俺に、あと十九年待てと。
確かに……理屈は通っている。俺はコンさんに善良であることを求めたのだから、俺もコンさんに善良さを求められるのは道理だ。そしてそれを満たそうとするのなら、未成年への性的接触はしてはならないことであるのは自明だ。
それに、コンさんは淫らな俺も愛すると言ってくれた。あの時感じていた寂しさとはこれで無縁のはずだ。だから理論上は性欲を満たすだけで心は満たされるし、それならば自慰をすれば十九年待てる━━そういう話なのは理解していた。
しかし━━辛い!ようやく人に抱かれるという夢が叶うと思ったのに、それを十九年おあずけを喰らうのは、筆舌に尽くしがたいもどかしさがあった。
だが、それでもコンさんの期待を裏切ってはならない。その思いが勝った俺は、引き攣った顔でこう答えていた。
「わかった。コンさんがちゃんと成人するまで待つよ。」
その答えにコンさんは満足そうに微笑み、再び俺に抱きついた。抱きしめるのはいいのか!?という疑問が真っ先に過ったが、胸の中の愛しく賢明な子供を、俺も抱きしめていた。
コンさんの部屋で俺と二人、くつろいでいる時、突然コンさんが何か汚いものを見たかのような声を上げた。
「……やっぱり全知全能ってのは良くないですね。この機能は切っておきましょう。」
そう呟いたコンさんに、俺はどうしたのかと問いかける。
「いえちょっと……今の僕は全知全能故に、ちょっと過去を見てしまったんです。」
「過去?何のだ?」
「……ニカさんの、過去を……。すみません、気になったので、つい……。」
それを聞いて、俺は血の気が引く思いをした。
あの淫らな日々をコンさんが見てしまったのか!!?!?神の権能を得たとはいえ、まだ生まれて一年にも満たない純粋な存在に、あれを!!?!!!??
コンさんは閉口している。どうやらその予想は的中しているようだ。
俺は震える声で言い訳をした。
「お、俺は、あの時ずっと、寂しかったんだ……だからあんな過ちを犯しただけで、コンさんにそれを求めているわけでは……」
「いえ、別に責めるつもりはないですけど……罪だとも思いませんし。」
コンさんは続ける。
「ただ……今まで見えていなかった側面が突然見えたから驚いただけで、そうですね……ニカさんは出会った時から、そういうとこありましたよね。」
「ぐっ……!」キスをされてそのままベッドまで連れ込んだ時は、流石に理性が吹き飛んでいたと、思い返して反省していたのに……!
「でも……そうですね、それも含めてニカさんなら、そういうところも含めて僕は愛しましょう。あの程度では僕は揺らぎませんから。」
コンさんはそう言って俺の側に寄り、俺を抱きしめた。
長年心に積もっていた雪が、溶けていくような心地がした。その暖かさに、つい涙が溢れてしまう。
「ほら泣かないでくださいよ。これからは、僕がずっと側にいますから。」
コンさんが塵紙を差し出してくる。それで涙を拭き取り、安心感に心を落ち着け、なんとか涙を引っ込めた。
「コンさん……ありがとう。こんな俺を愛してくれて……。」
「僕の方こそ、ニカさんが愛してくれて、昔も今もずっと幸せなんですよ。」
二人の間に暖かな沈黙が流れる。しかし、せっかくだから性について、もう少し詳しい話をしておこうと思い、俺の方から沈黙を破った。
「そういえば、こういうことについては、『今はしない』ということになっていたが……今の状況はどうなんだ?」
「ああ、それですか。それなんですけどね。」コンさんは続ける。
「あの時とは状況がかなり変わりました。僕は神の権能を失わない限り存在し続ける、永遠の存在になりました。」
「だから時間の猶予は沢山あるんですよね。」
「だからニカさんには、僕が人間の基準で成人するまで待ってもらおうと思ってます。」
「……えっ。」驚きで声が漏れる。それをよそにコンさんは続けた。
「もうすぐ僕は生まれて一年です。人間の成人の基準は二十歳なので、あと十九年間は、性的な接触は禁止です。」
「あと十九年、待ってくれますか?」
コンさんは整った顔で微笑んで、非常に残酷なことを告げた。この自慰狂いの俺に、あと十九年待てと。
確かに……理屈は通っている。俺はコンさんに善良であることを求めたのだから、俺もコンさんに善良さを求められるのは道理だ。そしてそれを満たそうとするのなら、未成年への性的接触はしてはならないことであるのは自明だ。
それに、コンさんは淫らな俺も愛すると言ってくれた。あの時感じていた寂しさとはこれで無縁のはずだ。だから理論上は性欲を満たすだけで心は満たされるし、それならば自慰をすれば十九年待てる━━そういう話なのは理解していた。
しかし━━辛い!ようやく人に抱かれるという夢が叶うと思ったのに、それを十九年おあずけを喰らうのは、筆舌に尽くしがたいもどかしさがあった。
だが、それでもコンさんの期待を裏切ってはならない。その思いが勝った俺は、引き攣った顔でこう答えていた。
「わかった。コンさんがちゃんと成人するまで待つよ。」
その答えにコンさんは満足そうに微笑み、再び俺に抱きついた。抱きしめるのはいいのか!?という疑問が真っ先に過ったが、胸の中の愛しく賢明な子供を、俺も抱きしめていた。
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