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学園編
88 二回目のお城
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というわけで。
「完璧ですわ、お嬢様」
「そ、そうかしら?」
私はドレッサーの前でお着替え人形にされていた。
鏡には紫色のドレスを着た私がいる。
最近の流行りだというベルラインのドレスは、下方にたっぷりと布を使っているくせに、襟のところはまったくといっていいほど無く、スースーしている。
リボンやフリルといった可愛い系の装飾品はなく、ただ、耳飾りや首飾りのサファイアが大きくて重い。
長くて邪魔な髪は中途半端に結い上げられ、これまたでかいサファイアの髪飾りがつけてあった。
ちなみにこれらを買ってきたのはお兄様である。
まさか、使う機会があるなんて思いもしなかったが。
「そうです!お嬢様に敵う令嬢なんていやしません!サラお嬢様が世界一ですわ!!!」
ルイまでもが便乗してそう言い始めた。
せ、世界一は言い過ぎだわ……。
私は鏡のなかでいつもとあまり変わらないような自分をみてそう思った。
「さ、時間です。タファ様がお待ちですわ」
チェニーは残りの片付けを別のメイドに任せて、荷物を持った。
今日は、私のアイテムボックスは封印である。
エントランスに向かえば、お兄様が正装を身に纏って待っていた。
珍しく学園の制服でなく、洒落こんだ服装である。
「……お兄様、もしや意中のお相手がいらっしゃいますか?」
「何言ってるの?これは君の牽制用に決まっているだろう?」
ーーーは?
私に昨日、さんざん説得させたくせにまだそんな事を言うのかこのシスコンは。
「……にいに?」
「だ、だって。嫌なんだもん!」
最後の最後までぐずるつもりらしい。
ーーーはあ、しょうがないなぁ。
お兄様にも陛下からの出席強制書が届いていたので、同伴は免れない。
女性から男性に話しかけるのは貴族の世間的にいかがわしいとされているから、私から話しかけることはできない。
しかし、相手に話しかけたいという意志があっても、お兄様という氷の壁がいる。
誰も寄せ付けない、絶対零度の壁である。
「はぁ、お子様ですわね。いい加減妹離れしてくださいませ」
「無理だな」
即答するお兄様に溜め息をつきそうになった。
私は、もういいかと諦めていた馬車に乗り、王城に向かうのであった。
王城は相変わらずピカピカでさながらシンデレラ城のようであった。
庭が広くて、城内に入ったというのに、まだまだ馬車は止まらない。
ようやく止まったかと思うと、長蛇の列が待ち構えていた。
そうだよね、格家の令嬢たちが全員集結しているんだもん。
お兄様は今さら待つのも面倒だと思ったのか、馬車から出て、特別に別の道から案内を頼んで戻ってきた。
どうやら、客用の道と仕事用の道と別れているらしいので、その仕事用の道を使わせてくれるとのこと。
なにそれ、特別待遇過ぎない?
律儀に長時間待たされている令嬢たちが可哀想である。
私はお兄様をジト目で見つめたが、そしらぬ顔でにこりと微笑まれた。
「あっちから無理やり参加を強いてきたのに、待たせるなんてあり得ないでしょ?だから当然のことなんだよ」
なぁんにも当然じゃありませんわ。
小一時間待つことくらいできないですの?
そう思ってももう言ってしまったのだから仕方ない。
馬車は渋滞から外れて、すいすい進んでいく。
慌てて騎士の方が走ってきて、受付を済ませてお兄様の手を取り、会場へと足を進めるのであった。
「完璧ですわ、お嬢様」
「そ、そうかしら?」
私はドレッサーの前でお着替え人形にされていた。
鏡には紫色のドレスを着た私がいる。
最近の流行りだというベルラインのドレスは、下方にたっぷりと布を使っているくせに、襟のところはまったくといっていいほど無く、スースーしている。
リボンやフリルといった可愛い系の装飾品はなく、ただ、耳飾りや首飾りのサファイアが大きくて重い。
長くて邪魔な髪は中途半端に結い上げられ、これまたでかいサファイアの髪飾りがつけてあった。
ちなみにこれらを買ってきたのはお兄様である。
まさか、使う機会があるなんて思いもしなかったが。
「そうです!お嬢様に敵う令嬢なんていやしません!サラお嬢様が世界一ですわ!!!」
ルイまでもが便乗してそう言い始めた。
せ、世界一は言い過ぎだわ……。
私は鏡のなかでいつもとあまり変わらないような自分をみてそう思った。
「さ、時間です。タファ様がお待ちですわ」
チェニーは残りの片付けを別のメイドに任せて、荷物を持った。
今日は、私のアイテムボックスは封印である。
エントランスに向かえば、お兄様が正装を身に纏って待っていた。
珍しく学園の制服でなく、洒落こんだ服装である。
「……お兄様、もしや意中のお相手がいらっしゃいますか?」
「何言ってるの?これは君の牽制用に決まっているだろう?」
ーーーは?
私に昨日、さんざん説得させたくせにまだそんな事を言うのかこのシスコンは。
「……にいに?」
「だ、だって。嫌なんだもん!」
最後の最後までぐずるつもりらしい。
ーーーはあ、しょうがないなぁ。
お兄様にも陛下からの出席強制書が届いていたので、同伴は免れない。
女性から男性に話しかけるのは貴族の世間的にいかがわしいとされているから、私から話しかけることはできない。
しかし、相手に話しかけたいという意志があっても、お兄様という氷の壁がいる。
誰も寄せ付けない、絶対零度の壁である。
「はぁ、お子様ですわね。いい加減妹離れしてくださいませ」
「無理だな」
即答するお兄様に溜め息をつきそうになった。
私は、もういいかと諦めていた馬車に乗り、王城に向かうのであった。
王城は相変わらずピカピカでさながらシンデレラ城のようであった。
庭が広くて、城内に入ったというのに、まだまだ馬車は止まらない。
ようやく止まったかと思うと、長蛇の列が待ち構えていた。
そうだよね、格家の令嬢たちが全員集結しているんだもん。
お兄様は今さら待つのも面倒だと思ったのか、馬車から出て、特別に別の道から案内を頼んで戻ってきた。
どうやら、客用の道と仕事用の道と別れているらしいので、その仕事用の道を使わせてくれるとのこと。
なにそれ、特別待遇過ぎない?
律儀に長時間待たされている令嬢たちが可哀想である。
私はお兄様をジト目で見つめたが、そしらぬ顔でにこりと微笑まれた。
「あっちから無理やり参加を強いてきたのに、待たせるなんてあり得ないでしょ?だから当然のことなんだよ」
なぁんにも当然じゃありませんわ。
小一時間待つことくらいできないですの?
そう思ってももう言ってしまったのだから仕方ない。
馬車は渋滞から外れて、すいすい進んでいく。
慌てて騎士の方が走ってきて、受付を済ませてお兄様の手を取り、会場へと足を進めるのであった。
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