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2章 芸能界デビュー編
『モリタの秘境巡り』の撮影 3
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「ありがとうございます!」
俺は頭を下げて感謝を伝える。
「気にするな。大変な人がいるんだ。道を譲るくらいどーってことねぇよ」
そう言って車を端の方に寄せ、車一台分が通れるほどの道ができる。
このやり取りを数回ほど行い、皆んな道を譲ってくれたが、このペースだと渋滞解消まで30分はかかってしまう。
赤ちゃんと妊婦さんのために一刻も早く産婦人科に着きたいため、内心焦りを生んでしまう。
そのタイミングで俺の肩に“ポンっ”と手が乗る。
「兄ちゃん、俺も手伝ってやるよ」
「私も妊婦さんと赤ちゃんを助けたいからね」
「クロ様の必死な姿を見たら居ても立っても居られなくなりまして!微力ながらお手伝いします!」
必死過ぎて気が付かなかったが、気がつけば数人の方が車から降りて俺の近くにいた。
「っ!ありがとうございます!」
俺は車から降りて来た数人の方々へ頭を下げる。
「気にするな。どんどんお願いしてくからな!」
「そうね。一刻も早く産婦人科へ連れて行ってあげたいからね」
「任せてください!クロ様っ!」
そんな声と共に動き出した数人が渋滞で停まっている車たちに頭を下げてお願いしている。
「ありがとうございます、皆さん」
その光景に心が温まるのを感じる。
「って、今は傍観している場合じゃないぞ!まだまだお願いしないといけない車はあるんだから!」
そう思い俺は走り出す。
たくさんの人たちが手伝ってくれたおかげで車一台分が通れる道がどんどんできていく。
しかも後続車が端に避ける様子を見て勘づいた人たちが頭を下げてお願いしなくても避けてくれるようになり、俺が手伝い始めてから10分ほどで渋滞を切り抜けれる道が完成した。
「ありがとう……ございます……っ!」
完成した道を運転する男性が涙を流しながら感謝の言葉を言う。
「当然のことをしただけなので感謝の言葉は必要ありませんよ。それに俺だけではありません。たくさんの方たちが手伝い譲ってくれたから道が完成しました。なのではやく産婦人科へ向かってください。元気な赤ちゃんが生まれることを願ってます」
「ぐすんっ!ありがとうございます!」
涙を“ゴシゴシっ!”と拭いた男性が最後にもう一度感謝の言葉を言って車を走らせる。
「皆さん、ありがとうございました!」
俺は手伝ってくれた方や道を譲ってくれた方たちへ頭を下げる。
その後、ロケバスまでの道のりを譲ってくれた方々に感謝を伝えながらのんびり歩いた。
「ただ今、戻りました」
「「おかえり、クロくん」」」
俺をモリタさんと江本さんが出迎えてくれる。
「すみません、個人的な感情でモリタさんや江本さんを巻き込んでしまいました」
「そんなことで謝らなくていいよ」
「あぁ。それに俺たちは感心してるんだ。男性を助けるためすぐに行動し、見ず知らずの方たちへしっかりと頭を下げたクロくんを。これができる人はなかなか居ないからな」
「そ、そうですか?」
「あぁ。クロくんにとっては普通のことだろうけどな」
「やっぱりクロくんは白哉くんの血を受け継いでるね」
そう言って江本さんとモリタさんが笑う。
「父さんみたいになるのが俺の目標なので、そう言ってくれると嬉しいですね」
俺の父さんは困ってる人を見捨てない人だったので、父さんみたいになりたかった俺は昔、いろんな人の手助けを頑張ってた。
それこそ昔の俺は何でもできると思ってたため変な正義感を持っており、小学5年生の頃はイジメられてた南條さんを助けに入ったこともあった。
(俺自身に良いところなんてないと思ってたけど紫乃からは自慢の兄と言われ、モリタさんや江本さんからは目標にしていた父さんのようだと言われた。やっぱり俺にも良いところはあるんだな)
そう思い嬉しい気持ちとなる。
「じゃあ収録を再開するよ。まぁ、さっきまでの様子は撮らせてもらったけどね」
「えっ、撮ってたんですか!?」
「あぁ。もちろん、クロくんとモリタさん、妊婦の旦那さんしか映してないよ」
どうやら上手く編集したら使えるかもしれないと思った江本さんが一度止めたカメラを回し始めたようだ。
ちなみに旦那さんの方にはモリタさんと江本さんが番組撮影中であることを説明し、もしかしたら放送されるかもしれないことも説明して許可をもらっているようだ。
「な、なぜそんなことを……?」
「ははっ。備えあれば憂いなしっていうことわざがあるからな。備えるに越したことはないよ。それに俺の予想では良いネタになりそうだからな」
「周囲の人たちがスマホで動画を撮ってたからね。僕もそう思うよ」
「……?」
どの辺がネタになりそうだったかは分からないが、プロデューサーまで登り詰めた江本さんなので何か考えがあるのだろう。
そう思い詳しく詮索はしない。
「じゃあ撮影を再開しようか」
とのことで、『モリタの秘境巡り』の撮影を再開した。
俺は頭を下げて感謝を伝える。
「気にするな。大変な人がいるんだ。道を譲るくらいどーってことねぇよ」
そう言って車を端の方に寄せ、車一台分が通れるほどの道ができる。
このやり取りを数回ほど行い、皆んな道を譲ってくれたが、このペースだと渋滞解消まで30分はかかってしまう。
赤ちゃんと妊婦さんのために一刻も早く産婦人科に着きたいため、内心焦りを生んでしまう。
そのタイミングで俺の肩に“ポンっ”と手が乗る。
「兄ちゃん、俺も手伝ってやるよ」
「私も妊婦さんと赤ちゃんを助けたいからね」
「クロ様の必死な姿を見たら居ても立っても居られなくなりまして!微力ながらお手伝いします!」
必死過ぎて気が付かなかったが、気がつけば数人の方が車から降りて俺の近くにいた。
「っ!ありがとうございます!」
俺は車から降りて来た数人の方々へ頭を下げる。
「気にするな。どんどんお願いしてくからな!」
「そうね。一刻も早く産婦人科へ連れて行ってあげたいからね」
「任せてください!クロ様っ!」
そんな声と共に動き出した数人が渋滞で停まっている車たちに頭を下げてお願いしている。
「ありがとうございます、皆さん」
その光景に心が温まるのを感じる。
「って、今は傍観している場合じゃないぞ!まだまだお願いしないといけない車はあるんだから!」
そう思い俺は走り出す。
たくさんの人たちが手伝ってくれたおかげで車一台分が通れる道がどんどんできていく。
しかも後続車が端に避ける様子を見て勘づいた人たちが頭を下げてお願いしなくても避けてくれるようになり、俺が手伝い始めてから10分ほどで渋滞を切り抜けれる道が完成した。
「ありがとう……ございます……っ!」
完成した道を運転する男性が涙を流しながら感謝の言葉を言う。
「当然のことをしただけなので感謝の言葉は必要ありませんよ。それに俺だけではありません。たくさんの方たちが手伝い譲ってくれたから道が完成しました。なのではやく産婦人科へ向かってください。元気な赤ちゃんが生まれることを願ってます」
「ぐすんっ!ありがとうございます!」
涙を“ゴシゴシっ!”と拭いた男性が最後にもう一度感謝の言葉を言って車を走らせる。
「皆さん、ありがとうございました!」
俺は手伝ってくれた方や道を譲ってくれた方たちへ頭を下げる。
その後、ロケバスまでの道のりを譲ってくれた方々に感謝を伝えながらのんびり歩いた。
「ただ今、戻りました」
「「おかえり、クロくん」」」
俺をモリタさんと江本さんが出迎えてくれる。
「すみません、個人的な感情でモリタさんや江本さんを巻き込んでしまいました」
「そんなことで謝らなくていいよ」
「あぁ。それに俺たちは感心してるんだ。男性を助けるためすぐに行動し、見ず知らずの方たちへしっかりと頭を下げたクロくんを。これができる人はなかなか居ないからな」
「そ、そうですか?」
「あぁ。クロくんにとっては普通のことだろうけどな」
「やっぱりクロくんは白哉くんの血を受け継いでるね」
そう言って江本さんとモリタさんが笑う。
「父さんみたいになるのが俺の目標なので、そう言ってくれると嬉しいですね」
俺の父さんは困ってる人を見捨てない人だったので、父さんみたいになりたかった俺は昔、いろんな人の手助けを頑張ってた。
それこそ昔の俺は何でもできると思ってたため変な正義感を持っており、小学5年生の頃はイジメられてた南條さんを助けに入ったこともあった。
(俺自身に良いところなんてないと思ってたけど紫乃からは自慢の兄と言われ、モリタさんや江本さんからは目標にしていた父さんのようだと言われた。やっぱり俺にも良いところはあるんだな)
そう思い嬉しい気持ちとなる。
「じゃあ収録を再開するよ。まぁ、さっきまでの様子は撮らせてもらったけどね」
「えっ、撮ってたんですか!?」
「あぁ。もちろん、クロくんとモリタさん、妊婦の旦那さんしか映してないよ」
どうやら上手く編集したら使えるかもしれないと思った江本さんが一度止めたカメラを回し始めたようだ。
ちなみに旦那さんの方にはモリタさんと江本さんが番組撮影中であることを説明し、もしかしたら放送されるかもしれないことも説明して許可をもらっているようだ。
「な、なぜそんなことを……?」
「ははっ。備えあれば憂いなしっていうことわざがあるからな。備えるに越したことはないよ。それに俺の予想では良いネタになりそうだからな」
「周囲の人たちがスマホで動画を撮ってたからね。僕もそう思うよ」
「……?」
どの辺がネタになりそうだったかは分からないが、プロデューサーまで登り詰めた江本さんなので何か考えがあるのだろう。
そう思い詳しく詮索はしない。
「じゃあ撮影を再開しようか」
とのことで、『モリタの秘境巡り』の撮影を再開した。
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