スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部

文字の大きさ
上 下
137 / 146
4章 エルザリア王国編

vsドラゴン20体 5

しおりを挟む
 俺は障壁内でドラゴン10体を20分ほど相手にしていた。

「はぁ……はぁ……っ!『星剣技』四の型〈旋空〉~四連~」

 肩で息をしながら『星剣技』を発動し、目の前に迫ってきたブレスを斬る。

(マズイ。このままではいずれ気力と体力が尽きる)

 賢者さんのサポートとカインがドラゴン十数体と戦った時の記憶を活かしながら戦っているが、時間が経つにつれてダメージを負っている。
 ユメたちがどんな状況か把握できる暇もない。

『マスター!後ろです!』

「っ!」

 その時、危機感のこもった賢者さんの声が脳内に響き、振り返ると目の前にドラゴンの尻尾があった。

「かはっ!」

 気を抜いていたわけではないが思考が停止した一瞬の隙をつかれた。
 何とか急所を避けることはできたが防御などできず、意識が飛びそうなほどのダメージを受け障壁に激突する。

『マスター!上です!』

「っ!『星剣技』三の型〈輪舞〉!」

 すぐに真上から迫るドラゴンの鉤爪を回転斬りで防ぐが、体勢が悪く押し負けてしまい、鉤爪による攻撃を左肩に受け、左肩から血が噴き出る。
 かなり肉を抉られたようだ。

「ぐっ!」

 痛みにより顔しかめるが、ドラゴン10体は攻撃を辞めない。

『正面から【竜の息吹】、左右から【竜の鉤爪】が来ます!』

「ホント休ませてくれないなぁ!」

 痛みを堪えつつ右手で剣を持ち直し、まずは正面のブレスを防ぐ。

「うぉぉぉっ!『星剣技』四の型〈旋空〉!」

 一本の斬撃を飛ばしブレスを真っ二つにする。
 そして左右から迫っている鉤爪を星剣技で防ぐ。

「『星剣技』三の型〈輪舞〉!」

 回転して鉤爪を防ぐが2体同時に鉤爪を防ぐのは難しかったようで“キインッ!”と俺の身体がのけ反ってしまう。

「しまっ!」

 ガラ空きとなった俺の胴体をドラゴンが見逃すはずもなく、俺の腹部に渾身の尻尾攻撃を見舞う。

「かはっ!」

 俺は尻尾攻撃により再び障壁へ激突。

(ヤバいっ!意識がっ!)

 攻撃の威力を殺すことはできず、障壁に激突した反動で地面に倒れる。

『マスター!【竜の鉤爪】が来ます!』

 そんな俺にドラゴン1体が鉤爪で攻撃を仕掛ける。

(ここまで……か)

 抗おうとするが先ほど攻撃を受けた左手はピクリとも動かず、今まで受けたダメージや『星剣技』の疲労によって、全身が言うことを聞かない。
 そのため目の前に迫る鉤爪を眺めるだけとなる。

(多分、ヨルカさんが助けてくれるだろうな)

 そう思い安堵すると同時に情けなさが芽生える。

(それでいいのか?ヨルカさんに頼ってばかりで……)

 常に俺や婚約者たちのことを考えてくれるヨルカさんに俺は頼ってばかり。

(カインが見てたら怒られそうだな。女の子に無茶ばかりさせてることに)

 カインが勇者パーティーの一員として冒険していた時は率先して危険なことを担い、ヨルカさんやリリィさん、ラティファさんを常に守ってきた。
 その意志を注ぐ俺がヨルカさんに頼りきってはいけない。

(だったら何故俺は寝てる!今、立ち上がってヨルカさんに『俺たちのことは常に見守らなくても大丈夫だ』って伝えるべきだろ!)

 そう思うと自然と力が湧いてくる。
 その気持ちに応えるように。

「うらぁぁぁぁっ!」

 俺は気合いで立ち上がる。

『〈火事場の馬鹿力 Lv.1〉がレベルアップしました』

 そのタイミングで俺の身体が光り、システム音が鳴り響く。

(っ!痛みが軽くなった!理由は分からんがこれならイケる!)

 俺は全身の痛みが軽くなったことを実感し、気合いで回避に移る。
 さすがに神経回路が損傷した左腕は動かないが、それをカバーするように立ち回る。

「グォ!?」

 俺が転がるように回避したことが予想外だったのか、ドラゴンが驚きの声を上げる。

(いまっ!)

 〈火事場の馬鹿力〉によってステータスが上昇した俺は足に力を入れ、流れるようにドラゴンの懐へ潜り込む。

「『星剣技』三の型〈輪舞〉!」

 驚いているドラゴンの懐へ容易に潜り込んだ俺は『星剣技』を披露。

「グォォ……ォォォ……」

 弱点である無防備な懐に渾身の一撃を見舞い、ドラゴンが魔石へと変わる。

『レベルアップしました』

 そして脳内がレベルアップを教えてくれる。

「ふぅ、まずは1体」

 重症の俺が流れるようにドラゴン1体がを討伐したため、周囲のドラゴンたちが動かず様子を見ている。
 その機会を活かし、息を整えると同時に賢者さんに話しかける。

(急に痛みが軽くなったんだけど、これって〈火事場の馬鹿力〉がレベルアップしたから?)

『解、〈火事場の馬鹿力 Lv.1〉が〈火事場の馬鹿力 Lv.2〉に上昇しております。それにより、ステータスの上昇値が10%から11%に伸び、疼痛半減が付与されております』

「なるほど。それであまり痛みを感じることなく動けるようになったのか」

―――――

〈火事場の馬鹿力 Lv.2〉

 追い込まれ窮地に立たされた状況下において、普段では想像できない力を発揮し、困難を乗り越えた者に与えられる称号。
 自分の身体に限界が来た時に気持ちが折れてなかった場合、全ステータスが11%上昇する。またアドレナリンというホルモンの分泌を高め、痛みを半減する。

ーーーーー

(ありがたい効果だ)

 ステータス上昇により約45,000のステータスが約49,500へと上昇する。

「ここから第二ラウンドだっ!」

 そう気合いを入れた。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

最強美少女達に愛されている無能サポーター 〜周りの人から馬鹿にされ続けてもう嫌なのパーティメンバーの天才たちが離してくれない〜

妄想屋さん
ファンタジー
 最強の美少女パーティメンバーに囲まれた無能、アルフ。  彼は周囲の人の陰口に心を病み、パーティメンバー達に、 「このパーティを抜けたい」  と、申し出る。  しかし、アルフを溺愛し、心の拠り所にしていた彼女達はその申し出を聞いて泣き崩れていまう。  なんとかアルフと一緒にいたい少女達と、どうしてもパーティを抜けたい主人公の話。

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

毎日スキルが増えるのって最強じゃね?

七鳳
ファンタジー
異世界に転生した主人公。 テンプレのような転生に驚く。 そこで出会った神様にある加護をもらい、自由気ままに生きていくお話。 ※ストーリー等見切り発車な点御容赦ください。 ※感想・誤字訂正などお気軽にコメントください!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

処理中です...